「美味い!」だけ?…味を伝える表現力アップで、人との食事をさらに楽しく
旬の魚、彼女の手料理、話題のお酒…。
誰かと、美味しい料理を食せば、話題も広がり、楽しい時間を過ごすことができる。
それは、誰もが経験していることだろう。
人と人とのコミュニケーションにおいて、最も重要なのはシチュエーションは「食事」といっても過言ではないだろう。
ただ、いくら美味しい料理が並んでも、会話が弾まなければ、楽しい食事会にはならないはずだ。
その食事会における相手とのコミュニケーションの糸口として、「料理の感動を相手と共有する」というのは、有効的な手段だ。
あなたは、そんな「感動の共有」を「ウマい」「美味しい」だけの単調な言葉に頼っていないだろうか?
今回は、意識しないと意外と難しい“おいしいの表現”について見直してみたい。
美味しいは“五味”と“五感”
味には、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」の五味があるのはご存じだろう。
果たして、「おいしい」と思わず口から発してしまうのは、、五味すなわち舌だけで感じている感情なのだろうか?
料理の盛り付け、匂い、食感など、あらゆる感覚、五感が働いて発する言葉ではないだろうか?
人は、食を通して感性の共有や共感で、話題が広がることで、楽しい時間を過ごすことができるのではないだろうか?
英語には、good、tasty、deliciousa、wesome など味の表現分けが存在するが、日本語には存在しない。
だからこそ五感を伝えることを意識しないと、美味しさの共有にならない。
ただし、日本語には外国語にはない、五感を伝える繊細な表現がたくさんあるのだ。
感覚をフルに使って
1.見た目の感動を
「新鮮」「鮮やか」「贅沢」「キレイ」「みずみずしい」「つやつや」「こんがり」「脂が乗ってる」など。
料理が出てきた瞬間、食材自体の魅力、美しい盛り付け、器など、見た目を言葉にする。
「おいしそう」「ウマそう」に加え、見た目の表現は、食事の始まりをより盛り上げるだろう。
2.香りの感動を
「香ばしい」「芳しい」「ほのかな」「○○のいい匂い」「スパイシー」「爽やか」「フルーティー」など。
香りについての言葉は、味覚系よりは少ないが、本能的な感情を伝えることが可能だ。
3.食感の感動を
「ホクホク」「もちもち」「ふわふわ」「しっとり」「とろーり」「サクサク」「シャキシャキ」「コリコリ」「プリプリ」など。
日本語の特徴とも言える、たくさんのオノマトペ(擬音語・擬態語)。
微妙な食感やおいしさが、リアルに伝えることが可能だ。
「歯触り」「舌触り」「喉ごし」などには音がついてまわるため、食感系の表現が定着している。
あなたもきっと使っていると思うが、オノマトペは共感しやすく場を楽しくするだろう。
4.風味の感動を
「豊かな」「やさしい」「○○が広がる」「飽きのこない」など。
風味とは、食べた時に口から鼻に抜ける際の、味覚と嗅覚を総するもの。
鼻をつまんで食べると味気ないのは、風味を感じないからだ。
にじみ出る味わいを伝えてみよう。
5.日本人なら旨味を
「コクがある」「まろやか」「ふくよか」「奥深い」「繊細」「後味を引く」「染みわたる」など。
「旨味」は、出汁に代表される、日本で発見された味覚だ。
今や「旨味=UMAMI」として世界共通の公式用語となっている。
いわゆる「コク」とは、複雑な味の重なりによってできるもの。
昆布や野菜、きのこ類、魚や肉類などから出る、グルタミン酸をはじめとする「旨味物資」を併用する事で、何倍にも旨味に相乗効果をもたらす。
何とも言えない奥深い旨みを伝えれば、会話にも奥深さが増すだろう。
おわりに
「おいしい」「ウマい」の一言が、決して悪いのではない。
だが、おいしいを表現する他の言葉を添えることは、会話を楽しく弾ませてくれる大事な要素。
この食事を楽しもうとする気持ちがなければ、うまさの表現は出てこないだろう。
おいしいの表現は、きちんと言葉にすれば、作り手への敬意にもなる。
今回記載した表現は一例に過ぎない。
手料理、デート、接待などでも、人との食事の際に、あなたのウマいを表現できたなら、あなたとの食事は楽しく、心地よい時間になるはずだ。