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【わび・さび】の意味を説明できる?理解しておきたい日本独特の美意識

日本庭園や茶器などに触れた際、「わびさび」を感じたことはあるだろう。
「わびさび」…日本独特の「美意識」を表す言葉だというのは、何となく分かる。
だが、それを、はっきりと説明できるだろうか?
古くから伝わる日本独特の美意識と言われるが、西洋思考の感性とどう違うのか? 
概念的とも思える「わび・さび」とは、一体何なんだろう。

わび・さびとは?

「わびさび」を、一つの言葉として認識している方は少なくないだろう。
本来、「わび」と「さび」それぞれ言葉の意味は大きく異なる。

わびは「侘しさ」、さびは「寂しさ」から来た言葉。
「さび(寂び)」は“古びる、色あせる、枯れる”など「表面的」なこと。

「わび(侘び)」は“気落ちする、悲嘆、鬱々”など「内面的」なことの意であった。

どちらも一見、ネガティブな意味に感じる。
だが、粗末で寂しい様子や感情が、やがて茶の湯や禅などに見る“精神性の豊かさ”と捉えられるようになり、日本人独特の感性として根付いていった。

簡素なものの趣を味わう心は、何となく“日本人らしい感性”であることは分かる。
だが、ともすると高尚なイメージが、しないだろうか。
日本人が、「わびさびとは?」と聞かれ、口ごもり、明確に言語化できないのは、そもそも知的な言葉で教えてもらっていないからだ。

外からWabi・Sabiを説いた

わびさびを、明確な言葉にした外国人がいた。
米国人編集者「レナード・コーレン」は、海外向けに本を書き、日本人にも説明できなかった「わび・さび」を説いて見せた。
90年代に“Wabi-Sabi”ブームを引き起こした本書がそれだ。
実は20年の時を経て、翻訳版が出版されている。
日本語に編訳されており、非常にWabi・Sabiが明確化されている。

侘びと寂びの違いから、わびさびを知る。

日本人は、侘びと言えば寂びの意味も含まれ、逆も同様とし、単に「わびさび」と言う。
何となくの感性や心は、確かに言語化は難しい。
コーレン氏は、「侘び」と「寂び」は別々のものと示したうえで理解を説く。

氏は、「わびさび」に最も近い印象を持つ英語は「rustic」…シンプル・人為的でない・素朴な・表面が粗い、などを意味するが、これは、“わびさび美学の一部しか表していない”と言う。
まず、わびさびの「物質的な特徴」を示した。

「自然なゆらぎ、イレギュラー、親密、飾り気がない、現実的で素朴」などを挙げている。
だが、単に素朴でシンプルなことが、わびさびということではない。
むしろ、不格好であり、色はくすみ、汚れや傷を持つなど、醜いものであるかもしれない。

「わびさびの心」の1つは、「不可避の受容」だと説いている。
この世のものは、時間の経過とともに劣化していくもの。それは避けられないこと。
時の流れを思わせるものを、単に劣化したものとして見るか、そこに美しさを感じるか。

「さび」は、簡素や粗末になったもの。
「わび」は、さびの美しさを見出す心。

両者が溶けあって、はじめて【わびさび】なのである。

わびさびと西洋哲学との違い

もっと具体化するために、何が「わびさび」で、何がそうでないかを理解するためのヒントも与えてくれた。
わびさびは、モダニズムと比較すると分かりやすいかもしれないと言う。
「差異」として説いた一部を抜粋する。

 モダニズム      わびさび
・論理的、合理的   ・直感の世界
・大量生産      ・一点もの
・未来志向      ・即今志向
・テクノロジーを美化 ・自然を美化
・人工素材      ・天然素材
・鋭く正確で一定   ・ソフトで曖昧     
・行き届いた管理   ・劣化や消耗を受け入れる 
・恒久的       ・あらゆるものに季節感がある

             モダニズムとの比較より

わびさびが、西洋思考と対局化した美意識だということに、あらためて気づく。
ただこれを見ると、日本から“【わびさび】が消えつつある”と感じずにはいられない。

なぜ、【わびさび】が必要なのか?

自然が織りなす「寂れたもの」と「それを美しいと思う心」
この両者による「わびさびの世界」は、決してデジタルでは表現できない、また感じることができないと言う。

デジタル形式では、わびさびが必要とする無限大の繊細さに応えることができない。
何かがデジタル化されるためには、事象の分析と「0」と「1」からなるバイナリコードへの変換という
2段階の手続きを必要とする。繊細さの度合いは、バイナリコードの記述量によって決まる。
  (中略)
デジタル形式でコード化するには、無限の検出感度が必要となるだろう。

どんどん、暮らしがデジタル領域に染まっていくが、わびさびを教えてはくれない。
コーレン氏は、日本のみならず、未来を危惧して本書を書いた。

一定の色、形、肌触りに慣れてしまえば、微妙な変化やゆらぎに、どんどん鈍感になっていくだろう。
刺激の多い現代、簡素なものや、何気ない自然の風情を、美しいと感じることがどれほどあるだろう?
意識して見ないと目にも入らなくなる。
わびさびとモダニズム、どちらが良い、悪いということではないだろう。
だが、「繊細さ」「微妙さ」を察知する感性は、失いたくないものだ。

おわりに

はかないもの、簡素なものが放つ美しさを、見直すキッカケを本書は教えてくれる。
【わびさび】は、古さや極端な質素さを強要するものではない。

ハレとケを意識する暮らしの中で、いかに、ケ(普段)の中に心の充足を見出せるか。
時には、足すことではなく、引くことで豊かさを得ること。

外から「わびさび」を教えてもらうことで、本来、我々日本人が持っていた感性・美意識がよく分かる。
手に取り、読んでみてはいかがだろうか。
きっと、日々の暮らしのヒントになるはずだ。

Wabi-Sabi わびさびを読み解く
for Artists, Designers, Poets & Philosophers
レナード・コーレン (著), 内藤ゆき子 (翻訳)

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