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【武田双雲さんインタビュー】宇宙そのものが“粋”。あらゆるものから“粋”を見出して楽しむ

見るものすべてがキラキラした20代

武田双雲さんは東京理科大学理工学部情報科学科の卒業。普通なら書道家ではなく、エンジニアを目指すと思うのですが…。

アインシュタインが大好きで、宇宙工学や物理が好きでした。好奇心旺盛で、子どもの頃は『宇宙って本当にあるんだろうか』とか『人間はなぜ、生きているんだろう』とかばかり考えていました。
そういう意味では理系なんですが、理系人間でもなかったんですよ。人間界にあまり興味がなかっただけなんです。
「就職活動」というものも知りませんでした。友達のみんなが就職先を決めているのに、僕は就職活動をしていなかった。友達からびっくりされました(笑)。「就職活動する」という感覚がなかったんです。『何それ? 就職のために活動するの?』みたいな感じで。
僕は注意欠陥のようで、いわゆる「空気が読めない」性格なんです。人間の枠組みやルールが見えないタイプなんです。
大学の研究室ではセキュリティの暗号について研究をしていました。その研究室の教授が「武田君は面白いな。就活してないんだ。それはまずいね。じゃ、君は身体が大きいから、大きなNTTに推薦してあげるよ」と言ってくれて。それでNTTに入社しました。

でも、NTTではエンジニアではなくて営業。これは会社命令で?

僕はコンピューターにまったく興味が持てなかったんです。NTTでは「営業したい」と自分から志望しました。NTT東日本は川崎にあったのですが、川崎というのは古い街で、石油プラントなどもある工場地帯なんですね。そんなお客さんのところに行くのが楽しそうだと思ったんです。
営業に行くと見るもの見るものはじめての世界でした。僕はアルバイトもしたことがなかったし、熊本の田舎から来たので、世の中のことをまったく知らなかったんですよ。見るたびにキラキラしちゃって。運送会社の倉庫を見るだけでキラキラしちゃう。『僕の知らない人が、いろんなことしている』と、初めて世の中にリアリティが持てました。『地球人ってこんなに面白いんだ』って宇宙人みたいな感覚でしたね(笑)。
NTT時代はすごく興奮していたんですけど、空気が読めないものだから「この会議に意味はあるんですか?」とか平気で言っちゃって、社内ではうとまれていました(笑)。

子どもの頃の夢はなんだったんですか?

夢なんてなかったですね。将来というものを考えたことが、今もない(笑)。明日のことも考えていない。今しか見れない性格なんです。
書道はその場で時間かけずにパッとできるからやれているんだと思います。彫刻家とか画家だったら無理だったと思います。時間をかけてじっくり作るというのは無理。プラモデルも作ったことないし、組み立て家具も作れない。絶対に途中で飽きる。感動のエネルギーだけで、直観力で、その場でパッとやりたい。瞬間、瞬間で生きているタイプなんです。

転機のキッカケは女性社員の涙

ある女性社員の名前を書いたことが書道家への切っ掛けとなったのだとか?

僕は何でも楽しむタイプなんです。
電話のメモ書きを墨をすって筆で書いていました。面白いかなと思って(笑)。部署内の人には何も言われなかったんですけど、会社に噂が広まって、他の部署のお姉さんやおばさんが来て何か書くことをせがまれるようになりました。
ある女性の社員が「私の名前を書いて」と言ってきたんですね。書いてあげると「今までは自分の名前が嫌いだったけど、書いてもらった字を見て初めて自分の名前が好きになれた」と涙目で言うんです。それを聞いた瞬間、自分のなかに稲妻が走っちゃって。
その日に辞表を書いて退職しました。

それで書道家になろうと?

書は3歳から書道家の母や他の先生に習っていました。
趣味ですけどね。でも、書道家という職業は知りませんでした。社会の枠組みとか肩書、人間の社会を知らないから。会社を辞めるということがどういうことかも、まったくわかっていませんでした。
今もそうですけどね(笑)。
周りが「武田さんは書道家ですね」と言うから『ああ、書道家なんだ』と思っているだけで。
不思議な感覚ですね。物事に捉われない感覚というか。

22歳でNTTに勤められ、24歳で退社されて、実家に戻ってお母様・武田双葉さんの書道教室で書を学ぶわけですが、よくお母様は許してくれましたね。

許すも何も、両親とも全肯定の人だから、僕に対して何も否定しないんです。危ないことをすると注意はしますけど、成績とか生き方とかについて何も言われたことがない。成績が悪くて叱られたこともなければ、良くて褒められたこともない。うちの両親も変わっていますね。

実家に戻ってなんと言ったんですか?

僕は興奮していて「人類がさ」とか言ってて。母親は「なんばゆっとんね、あんた」って(笑)。僕の熱量がすごくて毎日、鼻血が出るくらい興奮していました。名前が嫌いという現象が面白い。それが好きになるということがもっと面白い。AからBにできるということに興奮していました。
全人類の名前を書いてやろうと思ったんですが、インターネットで調べてみたら当時、60何億人。「やべぇ、ちょっとムリ」って、すぐにやめました。
でもその時は『書かなきゃ』と思ったんです(笑)。
母親は見守ってくれていたと思います。影ながら応援してくれて、そうとう心配していたと思うんですけどね。

ストリートで気づいたこと

熊本から神奈川に戻ってストリート書家を始められた?

熊本には半年くらいいて、神奈川に来ました。書いた時の相手の反応が見たかったんです。家で練習だけしていても面白くないじゃないですか。
理系だから実験して反応が見たいと思ったんです。何かを極めたいという思ったわけではなくてね。
ストリートでは酔っ払いも来るし、ヤンキーも来る。失恋したばかりの女の子も来て、書いたら泣いてくれて。
『こういう反応するんだ』って驚きの連続でした。
書くだけでは反応してくれないんだけど、会話をした後に書くとみんな喜んでくれるというのもわかりました。
それに自分の気持ちが反映されるんですね。たとえば自分が不安のままでは上手くいかないんだけど、自分が穏やかな気分だったり、ポジティブな気持ちでいるとお客さんは寄ってくるし、反応も変わるんですよ。
『世の中って自分の波動で出来ているんだな』と気づきましたね。

それは面白いですね。

内面と外面はリンクしているから、『一番、いい心構えは何か?』というのを研究していて、それはわかりやすく言うと自分の波動が整っていたり、エネルギー値が高い状態、穏やかだったり、ハッピーだったり、感謝していたり。わくわくするような、いいときの感情でいるときが上手く行く、って自分の統計データー上でわかりました。
ストリートで研究できましたね。『じゃ、僕がこういう波動で筆を握れば、こういう結果が生まれるだろう』っていう計算式が出来たわけです。

それが現在でもつながっているわけですね。

そうです。人類に影響を及ぼすような「書」が書ける、という展望は見えたので、あとはそれを広げるだけだと思っています。

行動力がありますね。

よく、行動力があると言われるんですが、思いついたらやっているだけなので、行動に意味はないんです。
僕にすれば歯を磨くことも書道をやることも何も変わらないんですね。
逆に会社を辞めることやストリートに行くことで度胸があるとか、行動力があると言われることがわからない。僕には他の人にはあるブレーキがないのかもしれないと思っています。

シンプルに「楽しむ」ことが大事

総てがフラットなんですね。

仕事にも区別がないというか、自分が何かをやる、というより、エネルギーを結ぶ媒介者になれればいいかなと思っています。
自分がシャーマンなのが一番、いいと思っていますね。
仕事に失敗したりヘンな問題にぶつかるとかもないです。書道で悩んだこともない。
シャーマン体質だから一発で書くし、迷いがゼロなんです。
書いているときはエネルギーが無限状態で、ノイズが限りなくゼロに近い状態です。あまり、自我がないのかもしれませんね。

これから未来、どんなことをしたいという夢はありますか?

夢とかはないです(笑)。僕が関わることでみんなが楽になったり、結果として良い感動が広がっていけばいいなとは思っています。

今、書道教室を開校していますが、生徒さんを見るとみんな力が入っているんですね。下手に思われたくないとか、失敗が怖い、というブレーキがいっぱいあるんです。じゃ、そのブレーキはどうすれば外れるのかなと常に考えています。
企業の講演に呼ばれることがあるんですが、伝えることはシンブルで「楽しみましょう」なんです。自分の価値付けとか意味付けを一回捨てて、電車に乗ることを楽しみ、着替えることを楽しみ、歯を磨くことを楽しむ。楽しいことを見つけるのではなくて、楽しいという波動で生きる。世の中ってなんにでも感情を張り付けようとしているだけなんですね。良い会社とか悪い会社というのは実はないんです。

気持ちの持ち方だけだと。

みんな意味付けし過ぎです。良い人とか悪い人とか。気持ち次第です。

最後に武田さんにとって“粋”とは?

“粋”って、米と九と十と書くわけですが、なんでか気になりますよね(笑)。
宇宙そのものが“粋”だと思います。
神様みたいな人がデザインしたものが“粋”。
全てにおいて“粋”は存在している。コップにしても、洋服にしても、自分の髪の毛にしても。そのなかから“粋”を見出すというか、感動する、ということですよね。「神様、“粋”だな~」みたいな(笑)。ご先祖もそうですよね。
総てのものはいきなりあるんじゃなくて、いろんな人が作って、いろんな人がコラボレーションして生まれてきて、知らない人たちが作ってくれたのが「世の中」。
人だけでなく動物や植物も含めて。全てが“粋”ですよね。

武田双雲(たけだそううん)
本名:武田大智、1975年6月9日、熊本県熊本市の生まれ。書道家。
3歳から、書家である母・双葉に師事。
熊本マリスト学園高等学校、東京理科大学理工学部情報科学科卒業。東日本電信電話株式会社(NTT東日本)に営業マンとして2年半勤務。その後、母・武田双葉の書道教室で1年間書を学ぶ。
神奈川でストリート書家としてスタート。
墨を使った大字パフォーマンスがテレビなどに取り上げられ、NHKの大河ドラマのタイトル字などデザイン書の分野で注目される。
NHK大河ドラマ「天地人」の題字、スーパーコンピューター「京」のロゴ、クリネックスティシュー至高シリーズ「羽衣」の羽衣の字、『劇場版 HUNTER×HUNTER -The LAST MISSION-』の手ぬぐいの題字、セガ(後のセガ・インタラクティブ)「戦国大戦」のロゴ及び武将カードの名前の字、JRA「第56回宝塚記念」ファン投票の題字などを手掛ける。
公式サイト:https://www.souun.net/
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