成功のヒントは「感謝」か?…“心理学”と“諺”から読む。
あなたは、「心理学」に興味があるだろうか?
占いやオカルトめいたもの…と捉えている方も少なくはずだ。
実は、心理学にはビジネスの成功のヒントが、多く隠されているのだ。
それぞれ「成功」の定義は異なるが、共通点は、あなたが行ったことが評価され、商品が売れる・企画が通る・社内が上手くいくことではないだろうか?
ある心理学の法則「返報性の原理」をご存じだろうか?
これは、ビジネスはむろんのこと、人間同志の繋がりの上で、最も重要な原理と言えるかも知れない。
「返報性の原理」とは?
人には、「受けた恩は返したくなる」という心理がある。
人から何かをしてもらうと、相手に「お礼をしなければ申し訳ない」「しないと気が済まない」という気持ちが芽生える。
これを「返報性の原理」といい、アメリカの社会心理学者ロバート・B・チャルディーニが、セールスやマーケティングにおいて、人が導かれる心理・行動の1つとして提唱している。
さらに「返報性」には、「好意の返報性」と「嫌悪の返報性」がある。
自分に好意を寄せてきたり、高く評価されると、相手に対して好感を持つ。
逆に、自分を嫌っていたり、悪い評価をする相手には嫌悪感を抱く。
特に「好意の返報性」は、ビジネスや恋愛テクニックなどでもよく言われるキーワードだ。
だが、この法則には、見誤まってはいけないポイントがある。
あなたもその法則から例外ではない。
返報性の原理に基づいたビジネスの代表的な手法が、「無料」でサービスを提供することだ。
試食、無料体験、試供品、景品などから、ついつい買ってしまうことがあるだろう。
購入前の消費者にとって、無料でサービスを施され、尚かつ相手が一生懸命であれば、「断っては悪い…」という心理が働く。
結果、本人が“自ら購入を決断”し、売り上げに繋がるという成功を得る。
これは有効な戦略の一環であり、あらゆるビジネスで活用されていることだ。
だが「返報性」の活用は、有効な手段である反面、過剰に行えば、相手の心理的負担になることもある。
してやったんだから当然の如くと、購入を強要すれば、無理やりの契約だとトラブルにもなりかねない。
これは、自分がされる側にも、する側にもなる可能性があるのだ。
また、「好意の返報性」についても、好きな人に好意を積極的に示せば、相手にも好きになってもらえる…というものでもない。
優しくしたり、何度もプレゼントを贈ったところで、相手にとって迷惑であれば、逆効果だ。
返報性の原理は、見返りを期待したり、暑苦しさが見えたとき、この法則の効力は薄れるのだ。
諺にも存在する「返報性の原理」
「返報性の原理」は、いくつかの「諺」にも見られる。
損して得取れ
目先の得だけを考えて、自分さえよければいいと思えば、かえって大きな損をすることがある。
一時的には損をしてでも、懸命にやれば認められて、やがて、良い事が回ってくるという意味。
もともとは、人徳としての「損して徳取れ」という意味だと言われる。
情けは人のためならず
情けをかけることは人のためにはならない、という解釈は誤り。
人には、利害なしに親切にせよという教え。
人に情けをかける(親切)は、その人のためになるばかりでなく、巡り巡って、やがて自分に良い報いとなって返ってくる。
気は心
ほんの少しではあるが、真心を込めるという意味。
料金にはないサービスや、さりげない思いやりなど“粋な計らい”のこと。
高価なものや多くの量じゃなくても、真心や誠意は相手に伝わっていくもの。
これらが示しているのは、“与えるのが先”ということだ。
とはいえ、ビジネスはきれいごとではやっていけない。
実のところ、施した相手から、ダイレクトに返ってくるという保障などない。
だが、不思議なことに、良くも悪くも自分のしたことは、結果、自分に返ってくるのも世の法則だ。
おわりに
学問としての「心理学」、先人達の知恵である「諺」。
表現は異なるが、真意は同一だ。
成功の根底を探ってみれば、「喜ばれることを喜ぶ」精神ではないだろうか。
ビジネスが発展している人達の間には、自然に「感謝のラリー」が続いているはずだ。
恩義や人情をわきまえない人を“人で無し”と言うほど、「返報性」は基本的な人間心理の1つである。
何かを得ようとした時、人の「心理の原理」を活用することは、成功の扉の1つとなるだろう。
だが、単にテクニックに頼れば、相手に見透かされてしまうもの。
それもまた、人間心理の一面だ。