「真の大人」になれている?…最低限おさえておきたい葬儀参列のマナー
大人になっても、慣れないこと。
その1つが「葬式」に参列することではないだろうか?
他の冠婚葬祭と大きく異なるのは、準備期間もマナーチェックをする時間が、圧倒的に短い。
知らせを受け、参列したものの…意外とマナーを知らない。
すでに遅し。もう葬儀は始まっている。
マナーを調べるために、その場でスマホを…最低最悪のマナー違反だ。
葬儀参列は、大人度が問われるシチュエーションと言って過言ではないはずだ。
今回は、葬式の基本マナーについて紹介する。
葬式は、仏式でも宗派や地域によって異なる部分もあるが、最低限のマナーは同じだ。
失礼にならないよう、あなた自身が恥をかかないために、確認しておこう。
通夜、葬儀、告別式の違いとは?
「通夜」は、葬儀の前夜に、故人の家族・近親者・知人が故人と最後の夜を過ごす儀式。
「葬儀」は、遺族や近親者が故人を弔い、成仏を祈る儀式。
「告別式」は、皆が故人と最後のお別れをする儀式。
葬式は、「葬儀ならびに告別式」と称し、一般の会葬者を迎えての追悼儀式とすることが多い。
近親者、故人と特に親しい人は、通夜と葬式の両方に出席することが望ましい。
葬式に参列する服装マナーとは?
葬式には、喪服(ブラックフォーマル)がベストであるが、用意がないという人も多いだろう。
その場合、服装は以下の点を押さえておこう。
・シャツは白
・ネクタイは黒無地、タイピンはつけない
・靴下、靴は黒無地。靴は金具や光沢のあるものは避ける
・結婚指輪以外のアクセサリー、ゴールドの時計などははずす
・ハンカチは白か黒
・香水はつけない
・コートや手袋は革や毛皮は避ける(殺生を意味するため)
訃報を聞き急いで通夜に駆けつける場合は、紺やグレーのダークスーツでもよいが、基本的には葬儀と同じである。
受付・香典の渡し方
葬式も遅刻をしないことがマナー。
余裕を持って、案内時間前に到着し、受付で記帳をする。
香典はむき出しにせず、“ふくさ”に包んで持つ。
受付で記帳を済ませたら、ふくさから香典袋を取り出し、表書きの名前が相手に読める向きに。
お悔やみの言葉を添え両手で差し出す。
通夜の会場に受付がない場合、香典は遺族にお悔やみの言葉を述べ、手渡す。
または、焼香時に祭壇に供えてもよい。
通夜と葬式の両方に参列する場合、香典は2度渡す必要はなく、一方は記帳だけでよい。
お悔やみの言葉のマナー
「この度はご愁傷様です。心からお悔やみ申し上げます」などが一般的。
故人と親しくしていた友人、会社の上司、同僚などは、遺族にお悔やみを述べ、「何かお手伝いできることがありましたら、遠慮なく申しつけて下さい」など。
言葉少なめでいい。心を込めて丁寧に述べよう。
使ってはいけない言葉として、「死ぬ」「死亡」「生存中」といった直接的な言葉は避ける。
「お亡くなりになる」「他界」「ご生前」などに置き換える。
また、不幸が続くことを連想させる「忌み言葉」も使ってはいけない。
「重ね重ね」「たびたび」「くれぐれ」「ますます」などの重ね言葉に注意しよう。
焼香の作法について
焼香は、故人を弔うために香を焚くこと。
焼香には、「立礼焼香」「座礼焼香」「回し焼香」の3つの形式がある。
それぞれの作法を知っておこう。
立って行う「立礼焼香」
椅子式の式場では、立礼焼香であることが多い。
⒉焼香台の前に進み、遺影に合掌、一礼
⒊右手の親指・人差し指・中指の3本で抹香(まっこう)をつまむ。
⒋手を返して目の高さまであげる(おしいただくという)
⒌香炉に静かに落とす。これを1~3回繰り返す。
(回数は宗派により異なる。混雑している時は丁寧に1回でもよい)
⒍遺影に合掌、一礼
⒎後ろへ下がって僧侶・遺族へ再度一礼して戻る。
座って行う「座礼焼香」
畳の式場では「座礼焼香」が多く用いられる。
⒉座布団に座る前に、遺族と僧侶に両手をついて一礼
⒊祭壇の遺影に合掌、一礼
⒋膝立ちで祭壇の前の座布団に座り、立礼と同じ方法で焼香を行い、合掌
⒌前を向いたまま立ち上がらず、座布団から降りて、遺影に一礼
⒍僧侶、遺族に一礼し、中腰のまま席に戻る。
回し(廻し)焼香
回し焼香は、座ったまま盆に乗った香炉を、順番に渡しながら行う形式。
⒉自分の膝の前に置き、遺影に向かって合掌、一礼
⒊立礼焼香と同じ方法で焼香し、合掌
⒋盆を両手で持ち、次の方へ回す。
焼香は、どの形式でも対応できるよう、3つの作法を知っておこう。
うろたえ、心ここにあらずにならないように。
ご遺族への配慮を忘れずに
遺族は悲しみにくれ、葬式での心労、疲労も重なっている。
故人の亡くなった経緯(死因)を聞かないこと。
遺族と親しくとも長話をしない。
久々に会った知り合いと、近況や仕事の話などの世間話は慎むなど、場をわきまえる。
これら遺族への配慮も、最低限のマナーである。
おわりに
葬式に参列する機会は、さほど多くない。
だが、年齢を重ね、仕事関係の人脈が広がると、葬式に参列するケースは増えるだろう。
稀にしかないことだが「大人」であることを必要とされるのが、葬式だ。
葬式においての礼儀は、故人と遺族を思う心。
作法は、身だしなみから慣習など、身に着けるべき知識であろう。
そのことを、頭の片隅に置いていただければ幸いだ。