山水の情景をアナタのデスクに…盆栽の魅力に触れその扉を
「盆栽」といえば、地味で手間がかかる・晩年の趣味というイメージではないだろうか?
もともと盆栽は、日本では粋な趣味とされていたが、いつしかお年寄りものとして浸透してしまった。
だが、海外では、そのイメージは真逆だと言ってもいい。
特に、欧米において「BONSAI」は、若い人たちの“憧れのアート”だという。
すでに海外では90年代から盆栽ブームが起こり、多くの外国人が日本に弟子入りしている。
今や「盆栽」は、世界的な芸術として、人気は高まるばかりだ。
日本でも若い人の愛好家も増えているが、あなたはその魅力をご存じだろうか?
もはや、盆栽の世界観を知らないのは、ちょっと時代遅れなのかもしれない。
またひとつ、世界中の人が夢中になる日本の伝統文化「盆栽」の今に触れてみよう。
盆栽の歴史とは?
盆栽は、中国で生まれ、唐の時代の遺跡から鉢植えの壁画が発見されているほど歴史は古い。
呼び名は「盆景」と言われ、小さな盆(鉢)の中に木や花を飾り、山水の情景を盆の中で表したことが起源とされ、すでに芸術として楽しまれていた。
日本には平安時代末期頃に伝来。貴族の趣味として親しまれる。
江戸時代には庶民にも広まり、禅仏教の精神によって磨かれ受け継がれてきた。
日本の盆栽の技術は、世界に認められる伝統芸術として発展し続けている。
すでに30~40年前から、欧米には盆栽協会があるほど根強い人気となり、1989年に埼玉県での第1回を皮切りに、4年に1度「世界盆栽大会」が行われるまでになった。
盆栽と鉢植えの違い・その魅力とは?
盆栽と鉢植えは、同じく植物を鑑賞するものではあるが、思想が大きく異なる。
鉢植えは、植物の生きた美しさ自体を楽しむもの。
「盆栽」は、器の中に“自然の風景を凝縮させ、その空間を楽しむ”ものとされる。
盆栽は、その佇まいが実に多様だ。
樹形は、真っすぐに伸びる、傾いている、曲線を描きながら伸びる、根元から別れるなど…
幹の立ち上がり、根の張り具合、枝ぶり、葉の繁り方、苔のはえ方や色…
それらが変化を続け、樹齢数百年を超えるものもある。
盆栽の魅力は、限られた空間に、四季の移ろい、自然の雄大さを“仕立てていく”ことにある。
盆栽の種類を知る。
盆栽の種類は、松柏盆栽、雑木盆栽、花物盆栽、実物盆栽、草物盆栽と、大きく5つに分けられる。
松柏(しょうはく)盆栽
クロマツ、ゴヨウマツ、アカマツ、エゾマツ、シンパク、イチイ、スギ、ヒノキなど。
盆栽と言えば松が代表的だが、松柏盆栽は、緑の葉が一年を通して繁る「針葉樹」の盆栽の総称。
長寿で風格があるのが特徴。
雑木盆栽
モミジ、カエデ、ケヤキ、チリメンカズラ、ブナ、コナラなど、主に「落葉樹」の盆栽。
器の中で四季の移ろいを楽しめる。
花物盆栽
サクラ、ウメ、ツバキ、サルスベリ、フジ、ツツジなど、「花と香りを楽しむ」盆栽。
開花の時期は室内盆栽としても人気。
実物盆栽
カリン、ヒメリンゴ、ウメモドキ、クチナシ、サクランボなど、「実のなる」盆栽。
小ぶりでも立派に実をつける様が感慨深い。
草物盆栽
一年草、多年草、多肉植物、高山植物など、「身近な草花」で楽しめる盆栽。
短期間に育てられる手軽さから、盆栽のひとつとして近年人気。
無限の世界を作れる「盆栽」の世界へ
盆栽は、どの木や植物が良いということはない。
自分の好きなもの、育てる環境によって選べばよい。
大きさは、さまざまだが、庭がなければ、ベランダなどで手軽に栽培できる小ぶりの盆栽がオススメ。
樹高20cm以下の「小品盆栽」、樹高10cm以下の「ミニ盆栽」などなら、小スペースで栽培できる。
「苔盆栽」や「水中盆栽」なども人気だ。
盆栽は、専門店だけでなく、ホームセンターやネット通販でも広く販売されている。
小石や飾り小物などを使えば、独自の世界観を表現できる。
楽しみ方は無限だ。
盆栽は、“常に変化する生きた芸術”である故、完成形がない。
だから、いつまでも夢中になれる…最も粋なアートではないだろうか。
これまで盆栽を至近距離でじっくりと見たことのない人は、その奥深さと繊細さを目の当たりにすれば、きっと納得がいくはずだ。
忙しく、自然やアートに触れる機会などないなら、これを機に一歩踏み出してみてはどうだろう。
盆栽美術館やイベントに足を運んでみる。
家の中やオフィスのデスクに、盆栽をひとつ置いてみるのはいがかだろうか。
きっと、新しい感性の扉を開くキッカケになるはずだ。
〒331-0804埼玉県さいたま市北区土呂町2-24-3
電話:048-780-2091 FAX:048-668-2323
開館時間:
(3月~10月)午前9時~午後4時30分 ※入館は午後4時まで
(11月~2月)午前9時~午後4時 ※入館は午後3時30分まで
休館日:木曜日(祝日の場合は開館)年末年始、臨時休館日あり
http://www.bonsai-art-museum.jp
http://world-bonsai-saitama.jp/