ソメイヨシノだけじゃない!桜の種類を知り、今年のお花見を楽しむ。
そろそろ桜の季節の到来だ。
花見を計画している人もすくなくないはずだ。
誰と何処で花見をしようか? 名所はどこか?
そんなことを考え、調べていることだろう。
ここ日本は、桜の種類が実に豊富だ。
開花の時期も、種類によって若干異なるのは何となくお気づきだろう。
だが、花見で愛でるその桜、あなたは、その種類を分別できるだろうか?
景色を華やかに色めかせ、我々を癒し楽しませ、ぱっと散っていく桜たち。
もっと知ってあげようではないか。
桜の花の基礎知識を知り、愛でる。
桜の花の色、花びらの数、大きさ、咲き方など、違いを気にしたことはあるだろうか?
“桜色”と一口に言うが、色は、淡紅~紫紅まで濃淡があり、純白や黄色・緑色の花もある。
花の大きさは、小輪(2.5㎝以下)~大輪(3.5~6㎝)などさまざま。
花びらの数は、5枚~300枚を超えるものまである。
咲き方には、花びらが重ならずに咲く「一重咲(ひとえざき)」、幾重にも重なり合う「八重咲(やえざき)」があり、ポンポンのような八重咲を「菊咲き」と呼ぶなど、咲き方もさまざまである。
これらを少し頭の片隅に置くだけで、楽しみ方も変わるのではないだろうか?
河津桜(カワズザクラ)
原木は伊豆半島の河津町にあり、毎年1月・2月頃から咲き始める早咲きの桜。
花期が1ヶ月以上と長く楽しめる。
濃いピンク色の大きな花が咲き、華やかな印象の桜。
東京都内・関東でも見られ、3月中旬まで見ごろ。
およその開花時期:2月~3月上旬
見分け方:淡紅色~濃紅色/大輪/一重咲
江戸彼岸(エドヒガン)
春の彼岸(3/20前後)の頃に花を咲かせるのでこの名がついた。
野生の桜で、樹齢1000年~2000年を超える長寿、巨木も多い。
ソメイヨシノと似ているが、多種に比べると早咲きで、花を先に咲かせて葉が出る。
およその開花時期:3月中旬
見分け方:白色~淡紅色/小輪/一重咲/がくの付け根が膨らんでいる
枝垂桜(シダレザクラ)
エドヒガンの変種が多く、枝が柔らかいため重みで枝が垂れる桜。
滝のようにしだれる妖艶な美しさは、古くから日本人に親しまれてきた。
別名「糸桜」とも呼ばれ、ベニシダレ、ヤエベニシダレ、シダレソメイヨシノなど色々な種類がある。
およその開花時期:3月下旬
見分け方:白色~淡紅色/小輪/一重咲
大島桜(オオシマザクラ)
桜の栽培品種を生み出す役割を果たし、ソメイヨシノ・サトザクラなど多くの品種の母種になっている。
オオシマザクラがなければ、現在の多くの品種が存在しなかったと言われる。
花と葉を同時に咲かせるのが特徴。
葉は香りが良いため、桜餅を包む葉に使われている。
開花時期:4月上旬
見分け方:白色/大輪/一重咲
染井吉野(ソメイヨシノ)
江戸時代末期、東京・染井村(豊島区)の植木職人が、オオシマザクラとエドヒガンを交配し「吉野桜」としたが、奈良の吉野山の桜と混同することから「染井吉野」と名づけられた。
自生できないため、接ぎ木などで繁殖させることで“日本の桜の8割を占める代表的な桜”となった。
気象庁による桜の開花予想は、主にソメイヨシノの開花が基準。
およその開花時期:4月上旬
見分け方:淡紅色/中輪/一重咲/開花後に葉が出る
山桜(ヤマザクラ)
古くから山に自生する野生の桜で、日本の最も代表的な桜の原種の一つ。
昔の花見はヤマザクラであり、和歌や俳句にも詠まれ親しまれた。
ソメイヨシノと見た目は似ているが、「吉野の桜」は本来、山桜を指す。
別名「シロヤマザクラ」とも呼ばれる。
およその開花時期:4月中旬
見分け方:白色~淡紅色/中輪/一重咲/開花と同時に葉が出る
八重桜(ヤエザクラ)
八重咲きになる桜の総称で、花びらの数が多く、鈴なりの花をつける豪華さが特徴。
花びらの数は10枚~300枚を超えるものもあり、別名「ボタンザクラ」「菊桜」とも呼ばれる。
野生ではなく、里で栽培されていることから「里桜」とも言われ、多くの種類が生まれている。
花は塩漬けに利用しやすく、散った後も楽しめる。
およその開花時期:4月上旬~下旬
見分け方:白色~紅色/小輪~大輪/八重咲・菊咲
二度桜(ニドザクラ)
揖斐二度桜(イビニドザクラ)として知られ、国の天然記念物指定の桜。
一本の木に「早咲き」の一重咲と八重咲、「遅咲き」の八重咲の「二段咲き」で、4種類の花をつけるのが見どころ。学術的にも貴重な桜。
一年に二度咲くという意味ではなく、外側の花がしぼんだあとに、内側の花芯のつぼみが開花する。
「二度楽しめる」珍しい桜。
およその開花時期:早咲きは4月中旬
二段咲きは4月下旬
見分け方:白色・淡紅色・濃紅色など多彩/中輪/一重咲・八重咲
駿河台匂(スルガダイニオイ)
香りが少ない桜の中で、「匂い桜」と言われる桜があり、その中でも香りが強い桜。
東京駿河台に原木があったことが名前の由来。
一度は姿を消したが、住民の努力で現在、駿河台の桜並木として復活している。
花びらの先端の細かな切れ込みから、心やすらぐ芳香が立ち込める。
およその開花時期:4月下旬
見分け方:白色~極淡紅色/大輪/一重咲き
おわりに
なぜか、心惹かれてしまう「桜」。
ピックアップしたものは、ほんの一例であり、現在、日本の桜は400~600種類にも上ると言われる。
フト、通勤途中で見かけた桜の種類が分かれば、それもまた素敵な発見だ。
豊かな桜が見られる素晴らしい日本の春。
今年のお花見は、複数の種類を愛でることを目的に、まるでスタンプラリーのように桜の種類を決めてスポットを探す。
同じ桜を見るために、桜前線にあわせて旅行する。
飲みに行くだけではなく、桜に会いに行くようなお花見を企画をしてみてはどうだろう。
この時期にしかできない、優雅な遊びになるはずだ。