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子孫繁栄のために旅に出る種子達の世界を垣間見る

生き物は子孫を残すために、さまざまな行動をしているのは想像がつくだろう。
それは、動物に限ったことだけではない。
植物も同様だ。
では、自分で動くことができない植物が子孫繁栄のために、種子が「旅に出る」というのをご存じだろうか?
旅の目的は「種子散布」。未来を見据えて種まきの如く、種子は自らより遠くへ行こうとする。
その手段は、風に乗って行く「風散布」、川や海流に乗る「水流散布」、動物を利用する「動物散布」、コロコロ転がる「重力散布」、自力で弾けて飛ぶ「自発散布」などさまざまだ。
自然の力を利用し、時には自力で、知恵を駆使しながら新天地へ降り立つ。
動けない植物の繁栄の裏舞台は、想像以上にアクティブだ。
今回は、そんなユニークな「種子の旅」をご紹介したい。

種子散布の意義とは?

種子があえて親元から旅立つには、今の環境に甘んじていてはいけない理由があるからだ。
ご存じのように、植物は光合成によって生きている。
もし種子がその場に落ちてとどまればどうなるか。

狭い場所に何本も生えれば、土の養分が足りなくなる。
親の木の日陰になるため、光合成も上手くできなくなる。
そのうえ病気が発生すれば、周辺にもうつり、皆死んでしまうこともある。
だからこそ種子たちは、広範囲に渡って子孫が生きていくのに適切な「新天地」を求めるのだ。

何気なく見ているが、おなじみのタンポポの綿毛や、遠く海流に乗ってくるヤシの実なども種子散布の代表例だ。
種子によって散布旅行の仕方は異なるが、それぞれ独特で巧みな戦略が潜んでいる。

竹コプターようなプロペラ「オオバボダイジュ」

シナノキ科のオオバボダイジュは、総苞(そうほう)と呼ばれる葉のような器官に、ぶらさがるように果実ができる。
やがて旅立つにふさわしい1~2個の種子が残った状態になると、総苞ごと風に乗って回転しながら旅立って行く。
まるで竹コプターに種をぶら下げるようにして、風に乗りながらクルクルと飛行する。
その様は、まるで意思をもって飛んでいるようにすら見える。

グライダーのように飛ぶ「アルソミトラ」


翼(よく)を持つ種子の中でも世界一大きいと言われるウリ科のアルソミトラ。
1つの果実の中にはおよそ400個もの種があり、種子たちを出来るだけ広い範囲に散らばせるため。
なんとこの翼は、高い木から風がなくとも、まるでグライダーのように飛ぶのだ。
決して鳥ではない。種子でありながら自力でやってのける強者。
もちろん風の力を借りれば、尚遠くへと行ける。
現在のグライダーや飛行機は、その昔アルソミトラの種子の原理をヒントに造られたと言われている。

小さな蝶のように舞う「キリ」

SciTechCollectionさん(@scitechcollection)が投稿した写真

キリは日本の樹木の中でも大きな葉をつけることで知られているが、種はわずか3mmほどでとても小さい。
キリの種子には、種皮が発達した翼があり、薄い膜質は小さな蝶か花びらが舞っているかに見える。
もともと種が小さいため翼も大きくはならないが、風の力を借りながらできるだけ遠くへ行こうとする。

葉の船に掴まって飛ぶ「アオギリ」

@_tomocolor_が投稿した写真

アオギリは、もともと袋状だった果皮が種子を包む状態だが、やがて果皮が裂けて笹船のようになる。
葉っぱだけのように見えるが、船の葉の淵には、種子がしっかりと摑まるように付いている。
乾燥してバラバラになると、一枚ずつ種子を乗せて風と共に旅立っていく。

果実を食べさせて種子を排泄させる

あえて鳥や動物に実を食べさせ、種子を糞(フン)と共に別の場所に排泄させることを目論む。
そのため種子の周りの果実は、鮮やかな赤い色や、いい匂いをさせて動物を引き寄せる。
ハナミズキ、ナンテン、ウメモドキをはじめとする赤い果実や、熟した黒い果実を好むが、中には食べられるところはほとんどないのに、色だけ鮮やかにして引き寄せる色仕掛けもするほどだ。
消化できずに排泄された種子は、糞という肥料も用意された環境で育つことができる。
果実は、鳥や動物に種子を運んでもらうめの報酬だ。

人や動物の移動を利用

@wisteria1347が投稿した写真

キク科のオナモミなどは、通称「ひっつき虫」といわれ、人間の衣服や動物に付着して散布される。
山などに行くと気づけばくっついていたり、子供の頃に遊んだ人もいるだろう。
またリスやアリなど、食料を貯蔵する習性を利用して運ばせる戦略もある。
食べ残しや、うっかり置き忘れられた種子が発芽するのを待つという寸法だ。
種子にとって動く人や動物は、利用価値の高い存在なのだ。

おわりに

子孫を残そうとする本能は、動物も植物も変わりはない。
だが、親のスネをかじっていたのでは家族もろとも全滅する…それを知ってか、種子は家族のために身ひとつで旅立っていく。
しかし、環境の変動は常に起こっているし、道中も決して楽ではないはずだ。
まして新しい環境が、必ずしもいいかどうかは分からない。
それでも可能性を信じて進む。

降り立った場所では、今度は新参者として、周りとの共存という適応力が問われることになる。
一筋縄ではいかないが、そうやってみんな生きているのだ。
種子だけではなく、それは人間も同様だ。

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