知った気になってない?今こそ心に刻んでおきたい諺「百聞は一見に如かず」
あなたは、普段「諺」を意識しているだろうか?
それらを、仕事や暮らしに生かしている人は多くはないのではないだろうか。
まして、知っているつもりの諺でも、誤った解釈や、ほんの一部の意味しか知られていないことも多い。
先人達の知恵の宝庫として生まれた多くの「諺」。
せっかくならその意味をちゃんと理解し、ヒントを探ってみよう。
今回は「百聞は一見に如かず」をピックアップしてみる。
「百聞は一見に如かず」意味を再確認
「百聞は一見に如かず」とは、“何度も人から聞くよりも、一度でも実際に自分で見た方がよくわかる”ということ。
さらに、“何ごとも自分の目で見て確かめるべきだ”という、2つの意味合いがある。
由来は、中国・漢の時代の将軍であった趙充国(ちょうじゅうこく)の言葉とされる。
趙充国は、当時反乱を起こしたチベット系民族の羌(キョウ)族を鎮圧するための戦略を、漢の宣帝から尋ねられた。
宣帝は相談するのみで、すでに70歳を超えていた趙充国を戦地に行かせるつもりはなかった。
だが、趙充国は「その将は自分しかいない」と答え、さらに言った。
百聞は一見に及ばない。
前線は遠く、戦略を立てにくい。私自身が戦場を視察して地図に描き、戦略を奉ります
漢書「趙充国伝」:訳
宣帝から許しを受けた趙充国は、早速自ら現地へ赴き、緻密な戦略のもと戦は成功し、反乱は鎮静した。
趙充国が、人から聞いたことや想像だけで判断すれば、ことは成し遂げられなかったかもしれない。
諺(ことわざ)には、「戒め」や「教訓」としての意味合いが多いのだ。
「百聞は一見にしかず」には続きが存在
後世になり、「百聞は一見にしかず」に続き、以下が付け加えられた。
百見は一考にしかず
何度も見るだけでなく、自分で考えることが必要である。
百考は一行にしかず
いくら考えても、実行に移さないと変わらない。
百行は一効にしかず
行動を起こすだけでなく、成果を得られてこそ意義がある。
百効は一幸にしかず
どんなに成果を上げても、幸せに繋がらなければ意味がない。
百幸は一皇にしかず
自分だけが幸せではなく、みんなが幸せでなければならない。
付け加えられたものは、全て出所不明だ。
しかし、趙充国の成しえたことであろう。
その元となる「百聞は一見にしかず」と併せて、知っておきたい言葉である。
おわりに
「百聞は一見にしかず」からの一連の諺は、各々意味がありながらも連携している。
幸せな人生を送るためには、自分で、見て、考え、行動し、結果を得なければならない、という事を示している。
これは、情報があふれている今だからこそ、大切な教訓であろう。
諺自体は、知っただけではなく、あなたなりの解釈を問われていると捉えてみてはどうだろう。
ふとしたときのヒントになるはずだ。