断れずに安請け合いで、トラブル発生? … 相手を“不快”にさせない 正しい仕事の断り方
仕事は、依頼と要望があってこそ成り立つ。
だが、そのすべてを引き受けることなどできないだろう。
しかし、頼まれごとをされると断れない、つい無理をしてでも引き受けてしまう…。
結果、自分のタスクをこなせず、相手にも迷惑をかけてしまった… そんな経験はないだろうか。
仕事がデキル人は、上司や取引先に対しても、断り上手な人が多い。
断っているのに、なぜか結果的に相手を満足させたり、信用が増したりする人がいる。
断れない人と、上手に断れる人との違いは何だろうか?
ビジネスシーンに不可欠な「正しい断り方」を確認してみよう。
断わることを恐れない、これが基本。
断ることが苦手な人は、断わること、それ自体を恐れるという。
人間関係が壊れる…自分の価値が下がる…その後にも影響が及ぶ…
そんな不安がつきまとい、「断るくらいなら受けた方がいい」という心理が働いてしまう。
だが、ビジネスにおいて、依頼や誘いを断ったからと言って、二度と仕事が来ないなんてことはない。
むしろ、安請け合いをして中途半端な仕事をすることで、信頼をなくし、“仕事がなくなる”方が、圧倒的に多いのだ。
恐れるべきはむしろ、「断らないことによって起こるデメリット」の方ではないだろうか。
不快にさせない正しい断り方3つのポイント
断る際、謝罪が重要だと思いがちだが、それは少し異なる。
もちろん謝罪は必要だが、単に謝るだけだと、相手はその後、どうするべきか困るからだ。
頼んだ相手は、あなたを大人として、1人のプロとしての対応を求めている。
だからこそ、謝るに終始する断り方では、意味がないのだ。
相手を不快にさせず、次につながる断り方を押さえておこう。
1.否定的な言葉を使わない
最も避けたいのは、はなから拒否するような後ろ向きな言葉だ。
「無理です」「できません」「分かりません」…
これらは「やる気がありません」と同義。
「いたしかねます」などの、丁寧語にしたところで同じだ。
言葉遣いとしては正しくとも、かえって仇となるケースも少なくない。
カドが立たない断り方のポイントは、即答を避けることだ。
上司から急な指令が来た時は、「今Aの仕事にとりかかっていますが、お急ぎでしょうか」など。
優先順位を相談する。
取引先であれば、「お話は承りました。早速社内で検討し、○日までにご連絡してもよろしいでしょうか」など。
「上に確認しないと、お応えできません」で終わるのはご法度。
決裁権がないなら尚更、子供の使いだと思われかねない。
担当として“できる限り役に立ちたい”という思いを含む、肯定的な言葉使いを工夫しよう。
結果、断ることになっても、あなたの株が下がることはない筈だ。
2.理由を述べる
断るとは、拒絶や辞退の他に「了解・承諾を得る」という意味がある。
「断りもなしに」などと使うが、この心情は、「きちんと説明してほしい」ということだ。
断わる理由となる事情や状況を、具体的に説明することは礼儀である。
単に、立て込んでるなどの曖昧な理由だけでは、ないがしろにされた気分になるからだ。
併せて、相手の“損失を配慮した理由”を伝える。
今回は、納期に間に合ない、質を下げてしまう、結果、多大な迷惑をかけることになってしまう…
相手を思っての断りだと伝われば、また次につながるはずだ。
ただし何度も断れば、どんなに理由を説明したところで、頼むだけ無駄だ、となってしまう。
多用は通用しないことを心しよう。
3.代案・提案をする
上級な断り方は、断っても相手を満足させることにある。
例えば、急な残業を頼まれた場合、決して、できないと言わない。
「今日は難しいのですが、明日の午前中ならできます。いかがでしょうか」など、代案の提案が大切だ。
断り上手な人は、自分のコアは崩していないが、相手を不快にもさせていない。
特に、難しい取引の場面、事前に代案を用意する。
「その代わりに」と、相手のメリットになる他のサービスや付加価値などを提案し、交渉する。
むしろ、代案が功を奏することも往々にしてあるのだ。
日頃から、相手と真摯に向き合っていれば、何かしら応えが見つかるだろう。
それはきっと、あなたの自信にもつながる筈だ。
おわりに
限られた時間の中で、舞い込む依頼や誘い。
身はひとつ。
やむを得ず断るという仕事がついて回る。
相手も人間。感情的にさせてしまったら、最後。
だからこそ、相手がどんなことを求め、どんな価値観でやっているか。
日々の人間観察が重要となる。
信頼関係を失墜させないためにも、断り方の流儀を身につけることは必要だ。
だが、テクニックやロジックだけでは、真の信頼は得られない。
カドを立てず、上手に断るための最大のコツは、他ならぬ相手への配慮ではないだろうか。