神楽殿の伝統と現代が調和。 ビジネスの神も宿る『赤城神社』の歴史と魅力とは?
軒並み続く商店街の活気。
路地裏を抜けた先にある閑静な住宅街。
木漏れ日からさす光が心地よい豊かな木々。
一歩外れば飯田橋や市ヶ谷といったオフィス街があるとは思えない、豊かな街並みが広がる神楽坂。
ひとまわり年上な雰囲気を楽しみに、あなたも何度か足を運んだことがあるのではないだろうか。
そんな伝統が息づく場所にある『赤城神社』。
“江戸大社”のひとつとされ、昔から多くの人々から親しまれている。
最近では、新国立競技場を手がける”隈研吾”がデザインしたとして注目される赤城神社。
今回は、その歴史と魅力に迫ってみよう。
江戸の三社のひとつ、赤城神社。
まずは、赤城神社の歴史から紐解いてみよう。
もともと、赤城神社があったのは牛込見附付近。
現代の早稲田鶴巻町とされている。
現在の場所、新宿区赤城元町に牛込氏が遷したのは弘治元年(1555)。
一説によれば、「秩父の山や夕日が綺麗に見え、神々が降り立つに相応しい場所」であることが、所在地を遷した理由とされている。
実際、ここは東京23区のなかでも海抜が2番目に高い場所。
社からは広く開けた空と神楽坂の街並みを臨める、絶好の癒しスポットだ。
天和3年(1683)には、徳川幕府によって”江戸大社”のひとつに。
日枝神社、神田明神とともに”江戸の三社”と称され、祭礼における山車や練物が江戸城に入ることも許されていた。
それほどまでに、赤城神社は由緒正しき神社なのだ。
「なんとなく、有名なのは知っていた」という人が大半で、わざわざ足を運んだことはないと思う。
しかし、商店が立ち並ぶ神楽坂から徒歩数分。
こんなにも身近な場所に徳川幕府からも認められた神社があることを、知っておいてもらいたい。
ビジネスの神も宿る、赤城神社。
赤城神社の御祭神は2つ。
殖産興業、厄難消除、学問芸術の神である”磐筒雄命(いわつつおのみこと)”。
天保13年に御社殿が全焼した経緯もあって、とりわけ火防の神として慕われている。
また、相殿として祀られている”赤城姫命(あかぎひめのみこと)”。
一説によれば神社を遷した牛込氏(大胡氏)の息女ともいわれている。
特に注目したいのは、境内にある末社。
“宇迦御霊命(うかのみたまのみこと)”を祀った出世稲荷神社があるのだ。
磐筒雄命の殖産興業と共に、産業・仕事の躍進祈願にもってこい。
近隣のビジネスマンが多く訪れるらしく、実際、平日の昼間にも関わらず、スーツを着た男性が多く訪れていた。
社の脇にある絵馬も、どちらかといえば仕事関係。
新しいTV番組のヒット祈願や出版社があることから書籍の販促祈願などが見られる。
転職を控えていたり、新しいプロジェクトを任されたり、仕事の幸先を望んでいるなら、あなたもお参りしてみてはいかがだろうか。
その声が神に届かないとしても、青空の下で祈りを捧げれば、きっと晴れやかな気持ちで新しい一歩を踏み出せるはずだ。
伝統と現代が調和した、赤城神社。
あなたのなかで、神社とはどのようなイメージだろうか。
威厳のある古びた社、生い茂る御神木、静かで薄暗い……そんなところだと思う。
しかし、赤城神社は全てにおいて真逆。
ガラスの壁に覆われた社はスタイリッシュで現代的。
広く開かれた空は、青空を思いっきり仰げる。
また、社務所の隣にはカフェが併設され、上階にはマンションが建っている。
まさしく、伝統と現代が見事に調和した、新しい形の神社なのだ。
少子化や寄付の減少など、神社を取り巻く現実は厳しい。
そこで、赤城神社の宮司・風山栄雄氏は
従来の方法ではいずれ廃れる。
残すべきものを残すためにも、時代に合わせて新しい要素を取り入れなければならない。
と考えた。
実際、現在マンションが建っている場所には、もともと幼稚園を運営していたが少子化の煽りを受けて閉園したそうだ。
そこで、”赤城神社 再生プロジェクト”をスタート。
赤城神社の全面建て替えを担ったのが、建築家・隈研吾だ。
地域・環境に密着、融合した建築美は、古風な神社というイメージをがらりと変えた。
平成23年(2011)には、グッドデザイン賞を受賞。
赤城神社が新しい歴史を刻み始めた瞬間である。
隈研吾の建築作品のひとつとしても十分に堪能できるので、じっくりと鑑賞してはいかがだろうか。
おわりに
赤城神社に併設されている、“あかぎカフェ”もオススメ。
和風……と思いきや、メニューはイタリアンが中心。
「新しい要素を取り入れたい」という気持ちを、カフェにも表したのかもしれない。
ランチ(11:30〜14:30)は、”本日のお肉の煮込み + フォカッチャ or ライス or バケット”のセットや”トマトクリーム煮込みハンバーグ ペンネ添え”など。
ディナー(17:00〜)は、”茨城県産サツマイモのリゾット”、”牛ほほ肉の赤ワイン煮込み”、”群馬県産せせらぎポーク肩ロース肉のロースト”など、本格的。
ちなみに、”抹茶クリームあんみつ(ほうじ茶付き)”といった和スイーツもあり。
また、定期的に各種イベントも開催。
社で披露する落語を聞ける”あかぎ寄席”や新鮮野菜などが並ぶ”あかぎマルシェ”など、常に新しい神社の形を模索し続けている。
数十年後には、併設されているマンションの契約が終了。
その後は更地にし、木々を植え、再び鎮守の森を復活させる予定だ。
何百年先も神楽坂の地で人々を見守り続ける、赤城神社。
是非、あなたも足を運んでもらいたい。
住所:上に同じ
電話:03-3235-6067
営業時間:
平日/10:00~22:00
土/11:30~22:00
日祝日/11:30~19:00
定休日:火曜日
http://www.akagi-cafe.jp/