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日本の音風景を求めて、音を愉しむ装置「水琴窟」

自然を上手く生活の中に取り入れ暮らしてきたのが、日本人ではないだろうか?
四季を感じる庭園や盆栽などが代表例の1つだ。

木々だけでなく、水もその対象だ。
庭園に見る竹の音がコンと響く鹿威し(ししおどし)は良く知られている。
元来、鳥獣を追い払う農具であったが、後に風流を愉しむための装置として、今なお、親しまれている。

水琴窟(すいぎんくつ)をご存じだろうか?
「水琴窟」は、水の音を愉しむための、日本独特の装置である。
日本庭園文化における最高技法の1つとされ、その不思議な音色に多くの人が魅了される。
今回は、知っておきたい音の文化「水琴窟」の魅力をお伝えしたい。

水琴窟とは?

「水琴窟」は、地中に埋めた甕(かめ)に、水滴が落ちる際の“音の響き”を楽しむ音響装置である。
その反響音が、“琴”の音色に似ていることから「水琴窟」と呼ばれている。

その魅力は、甕(かめ)に水滴が落ちる余韻音だ。
水琴窟から響く音は、一滴の水滴が落ちると、約1秒間もの残響音がある。
この1秒という数字は、質の良いコンサートホール並みであり、人が最も心地よいと感じる長さとされる。

古人はすでに、それを感覚的に知っていたのだろう。
「水琴窟」には、わびさびの風流を愉しむ、日本人ならではの美意識と遊び心が伺える。

水琴窟の歴史とは?

「水琴窟」は、江戸時代初期の庭師によって考案されたと言われる。
本来、茶室の入り口に、手水鉢を備えた蹲踞(つくばい)の排水を目的とした「銅水門」が起源とされる。
それは排水装置にとどまらず、地中から響く風流な音を愉しむ「音響施設」として親しまれた。

明治時代には、庭園の施設として日本各地に盛んに設置される。
だが、時代とともに廃れ、その繊細な音色は、いつしか幻の音風景となった。

しかし近年、「水琴窟」の音文化を後世に伝える動きにより再び蘇り、各地で人気を見せている。
「水琴窟」の音は、環境省の「残したい“日本の音風景100選”」に選定されている。

水琴窟の仕組みとは?

出典: flickr:pika1935

「水琴窟」の仕組みは、洞窟をイメージすると分かりやすい。
天井から染み出た水が、床の水たまりに落ちたとき、エコー音がするのと原理は同じだ。

「水琴窟」は、空洞の中に落ちた水滴の反響音を、地上に聞こえるように設計される。
甕(かめ)の底に水門となる小さな穴を開け、それを蹲踞(つくばい)の下に、逆さに伏せて埋める。

地中の底には一定の水がある状態にし、甕の穴から水滴が落ちた音が反響するという仕組みである。
甕の形状、材質、空間、底にたまった水位などにより、音色は実にさまざまとなる。

水琴窟で癒される。

“琴”の調べのような「水琴窟」の音色。
まるで土の中に小さなコンサートホールが隠されているような神秘的な響き。
水のしずくが、待ち受ける水面と溶け合う。その瞬間の重なり合う残響音が美しい。

普段は聞くこともない音。
でも、なぜか懐かしく心地いい音。
楽しげでもあり、少し寂しげでもあり、何かを語りかけているような…
聞く人の心によって、いろいろな響きとなるだろう。

そんな、水琴窟で癒されてみてはいかがだろうか。
水滴が生み出す音の美しさ、幽玄の世界を感じることができるだろう。

水琴窟を聴きに足を運んでみよう。

【岐阜県】卯建の町 旧今井家・美濃史料館

江戸時代中期から和紙問屋を営んできた商家「旧今井家」の旧家をそのまま保存。
奥座敷から眺める中庭にある水琴窟は、日本の音風景100選の1つにも選ばれている。

所在地:〒501-3729 岐阜県美濃市泉町1883
TEL:0575-33-0021
営業期間:4月~9月=9:00~16:30
     10月~3月=9:00~16:00
※入館は閉館時間の15分前まで
休館日:12月~2月の火曜日
国民の祝日・休日の翌日、12月29日~1月3日
    ※火曜日が祝日・休日の場合は開館(12月29日~1月3日は除く)
参考サイト:http://www.mino-city.jp/jp/tourist/construction01.html

【東京】品川歴史館

品川歴史館の建設中に、敷地から水琴窟が発見されたことを契機に、再び水琴窟が見直される。
庭園では、梅・桜・紅葉など四季折々の様相と共に、水琴窟の音色を楽しむことができる。

所在地:〒140-0014 東京都品川区大井6-11-1
TEL:03-3777-4060
営業時間:9:00~17:00 (入館は16:30まで)
休館日:月曜・祝日 (日曜と重なった場合は開館、月曜と重なった場合はその翌日も休館 )、年末年始
HP:http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/jigyo/06/historyhp/midokoro/niwa/niwa.html

【東京】日原鍾乳洞

関東最大級の鍾乳洞。東京に残された自然の博物館として幻想的な景観を繰り広げている。
設置された水琴窟は、厳かな鍾乳洞の雰囲気の中で、より優雅な音を楽しむことができる。

所在地:〒198-0211 東京都西多摩郡奥多摩町日原1052
TEL:0428-83-8491
営業時間:4/1~11/30 8:00~17:00
     12/1~3/31 8:30~16:30
休業日:(年末年始12/30~1/3)
HP:http://www.nippara.com/nippara/syounyuudou/suikin/suikin.html

【京都】大橋家庭園

水に関わる施設は水琴窟のみという独特の庭園。
2つの水琴窟が備えられているのが特徴。微妙な違いを聞き比べることができる。

所在地:〒612-0806 京都市伏見区深草開土町45-2
TEL:075-641-1346
営業期間:10:00~16:30
定休日:水曜日、木曜日、8/14~8/16、12/26~1/3
参考サイト:http://www.kyoto-ga.jp/kyononiwa/2009/09/teien003.html

【滋賀】比叡山延暦寺

比叡山延暦寺は、東塔、西塔、横川の三つに区分されている。
水琴窟は東塔の「阿弥陀堂」のお堂の前にあり、美しい響きを聞くことができる。

所在地:〒520-0116 滋賀県大津市坂本本町4220
TEL:077-578-00010
参拝時間:3月~11月 8:30~16:30
     12月 9:00~16:00
     1~2月 9:00~16:30
HP:http://www.hieizan.or.jp/keidai/toudou

おわりに

鹿威しは知っているけれど、「水琴窟」をはじめて知ったという方も少なくないだろう。
「水琴窟」は、日本全国津々浦々に存在する。
その魅力に取りつかれ、自宅での設置を試みている人もいるほどだ。

日々、雑踏や雑音にまみれる中、耳から入る音の影響など考えないかもしれない。
時には、耳を澄ませて繊細な音を聞くことは、五感の鈍化を防ぐためにも必要なことだろう。

お近くにある「水琴窟」で耳から癒しを感じてみてはいかがだろうか。
その不思議な音色を聞けば、聴き比べを求めてみたくなるかもしれない。
休日の新たなお出かけのテーマとなるのではないだろうか。

■参考サイト:
全国水琴窟データベース
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