部下を育てるために、管理職が押さえておきたい必須コミュニケーションスキルとは?
部下と良好な関係を築くために必要なこと。
それは、“褒める”というコミュニケーションだ。
部下だけでなく、同僚、奥さん、彼女、子ども、両親、あなたに関わる全ての他者とより良い関係を築くために不可欠である。
しかし、照れ臭かったり、方法が分からなかったり、褒めることへの苦手意識を抱いている人が多いのも事実。
そこで、今回は部下を褒める上で意識してもらいたい3つのポイントをご紹介しよう。
スグに実践できるので、是非とも試してもらいたい。
「褒めて育てる」が管理職の役目。
『サーベイリサーチセンター』が、職場における“褒める効果”について調査した。
「褒めることで、部下のやる気が高まるか?」という質問に対して、全体の9割が「高まる+やや高まる」と回答。
逆に、「叱ることで部下のやる気が高まるか?」に対しての回答は3割と低くなった。
一昔前までは”叱って育てる”のが当たり前だったが、今では”褒めて育てる”が主流となっている。
あなたの後に続く後輩をいかに上手く育て、仕事を継がせていくか。
そして、会社の売上や成長へと繋げていくか。
そこには、”褒める”というコミュニケーションが欠かせないのだ。
しかし、一方で、「部下を褒めにくいと感じた経験があるか」という問いには、7割近くが「ある」と回答。
「褒める部分が見つからない」「褒めるタイミングがつかめない」といった意見が多かった。
褒め方が分からない、と悩んでいるのはあなただけではない。
また、逆に褒めるのが得意と思っていても、部下が満足しているとは限らない。
これから紹介する”ポイント”を参考に、円滑な褒めるコミュニケーションを実現してほしい。
調査期間:2014年3月27日~4月3日
調査対象:日本全国の20~59歳の男女個人(民間企業の正社員および公務員の正規職員)
有効サンプル:246件
http://news.mynavi.jp/news/2014/05/21/109/
褒め方のポイント その1:相手の視点で褒める。
人間関係を円滑にするための基本中の基本。
自分の視点ではなく、相手の視点に立って物事を判断するのが大切だ。
先述の調査で「褒める部分が見つからない」という意見が見られたが、これは自分の視点で部下の行動を見ている可能性がある。
年齢と共に様々な経験を積み重ねてきたあなたは、仕事ができて当たり前。
そんなあなたの視点からすれば、部下の行動は非効率的すぎてイライラするかもしれない。
しかし、それを部下に押し付けたところで何も好転しないだろう。
褒める基準は、自分ではなく、相手。
部下の一つひとつの行動の中に、何らかの長所を見つけよう。
誰もがはじめは初心者であることを思い出してほしい。
また、「自分の指示した通りに、自分の思った通りに動いたから褒める」のは間違いだ。
自分が満足したから褒める、を繰り返してしまうと、部下はあなたに喜んでもらうために仕事をするようになってしまう。
それでは元も子もないので、気をつけてほしい。
褒め方のポイント その2:“感謝”の言葉からはじめる。
怖いなぁ、苦手だなぁ。
そんな上司から感謝の言葉をもらい、嬉しすぎて興奮した。
若かりし頃、あなたにもそんな経験があるのではないだろうか。
褒めることに若干の抵抗感を抱いている人は、まずは「ありがとう」と感謝を伝えることから始めてみよう。
簡単なことかもしれないが、部下でもなく、同僚でもなく、上司からの感謝の言葉は、その人の人生を左右するほどの大きな影響力があることを覚えておきたい。
とはいえ、ただ単純に「ありがとう」と言えばいいわけではない。
「ありがとう」の言葉だけを連発しているとマンネリ化して、「本当かな……」という疑念を生む可能性もあるので注意しよう。
部下のどのような行動に対して、あなたは感謝の言葉を伝えたいのか。
“どのようなプロセスを経て、評価するに至ったのか”という点を、しっかり説明するのが大切である。
何らかの理由を付け加えることで、部下の感じる嬉しさは2倍に跳ね上がる。
「いい上司だなぁ」と尊敬されるし、「それを活かしてもっと頑張ろう」という意欲を湧かせられるのだ。
褒め方のポイント その3:新鮮なうちに褒める。
褒めるタイミングは、「褒めたい」と思ったとき。
小さくても、大きくても、部下が褒めるに値する成果を出したときは、その場ですぐに評価しよう。
後々になると賞賛の気持ちが半減するし、最悪の場合、忘れてしまうことだってある。
あなたからの褒め言葉は、部下にとって、目に見えるやりがいなのだ。
また、出来るなら部下の評価はみんなの前で行うべき。
朝礼や会議の席など、チームのメンバーが集まっている場所で褒めると効果が倍増する。
ただ、1人だけをやたら褒めまくるのは良くない。
さらりと賞賛し、他の人へのフォローや評価を忘れないようにするなど、チーム全体のバランスを保つようにしよう。
もちろん、みんなの前で、大声で怒鳴ることはご法度。
あなたへの信頼度が一瞬にしてなくなるし、全員の士気を下げる。
今回は褒め方だけにフォーカスを当てたが、”叱り方”にも注意してこそ、管理職の鏡である。
おわりに
従業員の”笑顔”が要となる、スターバックスコーヒー。
自然なホスピタリティーを生み出すため、同社では従業員同士のコミュニケーションも大切にしている。
そのために用いるのが、『GABカード』。
参加する、思いやりを持つ、歓迎する、心を込めて、豊富な知識を備える。
これら5種類があり、それぞれに該当する働きを見せた従業員に、「褒める」「感謝する」などの意味を込めたメッセージを添えてプレゼントする。
面と向かって褒めるのは照れ臭い、どうしてもぶっきらぼうになってしまう。
そんな人は、社内に『擬似GABカード』を取り入れてもいいかもしれない。
とはいえ、第1ステップは「ありがとう」と伝えることから。気軽に始めていこう。