<オトナの旬食手帳> 冬の大根は医者いらず?! 二日酔いにも効く、隠れたスーパーフード”大根”の魅力に迫る。
北海道に次いで、千葉県、青森県で生産されている大根。
お味噌汁に入っているとほっこりするし、煮物、サラダ、お鍋など、様々な料理で大活躍だ。
1年中スーパーに並んでいるので軽視しがちだが、実はとても栄養価が高く、寒い時期を乗り切るために欠かせない野菜である。
今回は、そんな冬の野菜の代表格である大根の魅力と美味しく頂けるお店をご紹介しよう!
普段食べている大根の名前、答えられる?
大根は大根だ!
そう、どのスーパーに行っても値札には「大根」とだけ記載されている。
しかし、大根の種類はなんと100種類以上。
あなたが普段から当たり前のように購入して食べている大根にも、ちゃんと名前がある。
是非、覚えてあげてほしい。
最も一般的な大根は、葉の付け根部分が青くなっている『青首大根』。
生産量の9割を占めており、1年を通してスーパーの棚に並べられている。
水分が多くて柔らかく、煮崩れもしにくく、おろし にしても辛味が少ないという万能っぷりだ。
そのほか、ほんの一部だか大根の品種を紹介しよう。
美濃早生(みのわせ)大根
夏に収穫される夏大根の代表格。
3~10月と長期間に渡って生産されており、播種してから50~60日程度で収穫される。
辛味が強く、甘みが少ないため、煮物などに適している。
練馬大根
5代将軍綱吉がつくらせた、長さ70㎝にもなる大根。
沢庵禅師(1573-1645)が禅宗の漬物として『たくあん漬け』を伝えたとされており、実際、水分が少ないので漬物に適している。
今では少量の生産者に委託栽培されている保存種で、希少価値が高い。
聖護院大根
京都の伝統野菜に指定されている丸い大根。
青首大根と比べて、肉質がとても柔らかいにも関わらず、煮くずれがしないのが特徴。
田楽や煮物に最適で、ほんのりとした甘みととろける口当たりを楽しめる。
辛味が少ないので、スティックなどの生食も美味。
ちなみに、フレンチやイタリアンのサラダに使われている『ラディッシュ』も大根の仲間。
大根を英語でラディッシュと呼ぶ。
カブの仲間ではないので、覚えておこう。
お酒を飲むなら、大根も一緒に飲もう!
大根はとても栄養価の高い野菜。
特に、『ジアスターゼ』と呼ばれる“でんぷん分解酵素”が他の野菜と比べて多く含まれている。
消化を助け、胃酸過多、胃もたれ、胸やけに効果覿面。
二日酔い予防のため、居酒屋などに大根を使った料理があれば一緒に食べたほうがいい。
二日酔いになってしまったら、大根を“おろし”にして、湯豆腐の上に乗せて食べるのがオススメだ。
ちなみに、日本には正月七日に無病息災を祝って『七草粥』を食べる習慣があるのはご存知だと思う。
そのうちの『スズシロ』とは大根のこと。
正月に疲れた胃袋を整える目的も含まれた七草粥にピッタリの野菜なのだ。
また、葉っぱの部分の栄養価はとても高い。
βカロチン、ビタミンC・E、カリウム、カルシウムを多く含んでいる。
使い道が分からずに捨ててしまいがちだが、適当に刻んで味噌汁にでも入れるといいだろう。
大根は、最も甘くなる寒い時期に食したい。
品種改良が進んで、季節に関係なく収穫できる大根。
しかし、最も美味しいのは寒い時期。
夏場は辛味が強いのに対し、冬場はみずみずしさと甘さが際立ち、煮物、サラダ、漬物などにもピッタリだ。
また、大根は部位によって味が違う。
上部(葉)は、甘いから生色向き。
中央は、クセがないからおでん・煮物向き。
下部(根)は、辛いから味噌汁・煮物向き。
料理をする際に意識すれば、より美味しく出来上がるはずだ。
旬の大根を食す、オススメのお店
『京つけもの もり』
美味しい野菜からしか、美味しい漬物はつくれない。
そんな想いのもと、自家農園で栽培している京野菜を漬物にして販売している『京つけもの もり』。
オススメは冬の時期に獲れる伝統野菜・聖護院大根を丸ごと使った『七味聖護院大根』。
べったら漬けとは違う、大根の持つ本来の甘みと七味のピリッとした辛さが絶妙にマッチしている。
京都や大阪にある各実店舗のほか、通販も行っているので遠方の人も購入できる。
http://www.kyoto-mori.com/
住所:〒616-8384 京都府京都市右京区嵯峨天龍寺造路町2
電話:075-861-7336
営業時間:9:00~20:00(季節により、延長あり)
定休日:年中無休
住所:〒530-8350 大阪府大阪市北区角田町8番7号 地下2階
電話:06-6313-1419
営業時間:10:00~20:00(金・土は21:00まで)
定休日:阪急百貨店に準じる
『新橋 かま田』
一度語らせたら止まらない、おでん大好き店主が営むお店。
薄口醤油を使った関西風のあっさりとしたおでんを味わえる。
出汁の肝となる鰹節や食材の切り方、茹で方、茹で時間など、細部に渡るこだわりが多くのリピーターを生んでいる。
店主曰く一番手のかかるタネの『大根』。
味がしっとりと馴染み、口に入れた瞬間にホロホロと溶けてしまう。
これが1個150円から食べられるのだから驚きだ。
他のタネにも強いこだわりが込められているので、店主に尋ねてみるといいだろう。
http://tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13079995/
電話:03-3502-5133
営業時間:17:00~22:30
定休日:日曜・祝日
『りんご茶屋』
生産量ランキング2位の青森県。
全国の中で作付面積と出荷量が最も多く、大根を使った郷土料理も豊富だ。
なかでも、津軽地方・下北地方でベーシックなのが『じゃっぱ汁』。
津軽海峡や日本海で獲れるタラのじゃぱ(=あら)を、大根を始めとした野菜と一緒に煮込む鍋料理だ。
とても有名なので、県内にあるほとんどの居酒屋などで食べられるが、『りんご茶屋』は“津軽民謡”と“津軽三味線”の生演奏を聴きながら地元の味覚を楽しめる。
思う存分“青森”を体験するためにも、旅行で訪れた際に是非利用したいお店。
JR「青森駅」から徒歩15分という好立地なのも見逃せない。
http://r.gnavi.co.jp/9fys8y7n0000/
電話:017-776-7402
営業時間:18:00〜24:00
定休日:日曜(不定休のため、お問い合わせください)
ちなみに、大根を使った郷土料理はたくさんある。
同じく青森県には、大根・山菜・豆腐を細かく刻んで煮込んだ『けの汁』。
平成19年に富山県の郷土料理に認定された『ぶり大根』。
山形県には、凍み大根・ニシン・ジャガイモなどを甘辛く煮た『凍み大根の煮物』。
石川県には、2014年にトレンドとなったおろし大根たっぷりの『雪見鍋』。
大根の産地や寒い地方に赴いた際には、郷土料理という括りでグルメを探してみるのもいいだろう。
おわりに
冬場の野菜は、夏場の野菜に比べて栄養価が高いものが多い。
それは、野菜たちが厳しい寒さを耐え凌ぐため、自身に蓄える栄養を高めて頑張っている証拠。
大根も同じて、寒い時期のほうが、みずみずしさと甘さが際立つ。
私たちは、そんな野菜の恩恵に預かっているというわけだ。
忙しさにかまけて旬の食材を逃してしまいがちだが、冬の大根は舌にも健康にも美味しい。是非、味わってもらいたい。