ワークライフバランスの本義は「そこそこ働く」ではない!本来の意味を理解し、仕事と休暇をポジティブに書き換えよ
粋な大人、仕事も趣味を楽しむ大人、余裕のある大人。
そんな大人を想像して真っ先に思い浮かぶのがヨーロッパの人々である。平日の17時からカフェのテラスでコーヒーを飲み、公園で友人たちと酒を交わし、家に帰って家族と過ごし、休日には友人の家族とホームパーティーを楽しみ、長期休暇には国外へ旅行に出かける。
この日本との大きな違いはなんなのだろうか? その秘密はワークライフバランスにある。
日本にこの概念が輸入されて久しいが、どうもいまだに勘違いされているように思われる。ワークライフバランスは、「そこそこ働いて、プライベートもそこそこ楽しむ」と思われていることが少なくない。
でも本当はもっとポジティブで有益な価値観なのだ。
もちろん仕事の時間とその成果には相関関係があるだろう。
一夜漬けで仕事をしたらそれだけの成果は期待できる。だからワークライフバランスが絶対的に正しいわけではない。
しかし、ワークライフバランスは長期的な視点で考えられた価値観であり、自分だけではなく他者も恩恵を受けるものなのである。
労働時間が短い方が仕事の成果が上がる
近年の調査では、労働時間を短縮した方が仕事の効率が上がって、パフォーマンスが上がるという結果が出ている。
たとえば、デンマークでは「残業させると罰金」という法律があるが、それほど国が力を入れるほど、残業は良くないという価値観がヨーロッパでは一般的。
さらに、仕事を病欠する従業員も激減し、長期的には企業にとってもいい影響をもたらすことがわかっている。
プライベートの時間に学んだことが仕事に生かされる
人は日々様々なことに気づき、感じ、考えながら生きている。
もし平日のほとんどをオフィスで過ごし、休日も少し働いてずっと家に休んでいるのであれば、インスピレーションが減って、仕事のクリエイティビティが落ちるだろう。
また、小さな世界で閉じこもって生きることはリスクにもなり得る。たとえば社内で人間関係が悪くなったり、社内トラブルに巻き込まれたら、他の世界にアクセスする手段がなく、逃げ道がなくなってしまう。プライベートな時間は仕事のためにも大切なのだ。
家族もハッピー
もしあなたは毎日14時間働き、家には専業主婦の奥さんと小学生の子供が待っているとしよう。これは現在でも一般的な家庭像だが、とても効率悪いことはあまり指摘されることがない。
まずその理由の一つは、あなたが何らかの理由で働けなくなれば収入源はゼロになってしまうからである。
でも、もしあなたが働く7時間を奥さんが働いたらどうだろうか? 子供が学校に行っている間に2人で7時間ずつ働いた方が、リスクが分散されて、仕事もいい結果が出るのではないだろうか。
二人三脚の方が家庭が安定し、よりハッピーなのかもしれない。
自分だけでなく、社会にとっても良い
労働時間を減らした方が、消費が減少することもわかっている。
その理由は、自分の時間が増えることで、どのように時間を活用しようか考えるようになり、むやみに消費しなくなるからだという。
人は忙しすぎて思考する時間が減る方が、マスメディアや広告に踊らされて過剰な消費してしまうのかもしれない。
そして、消費が下がるということは、二酸化炭素の排出量が減るということもでもあり、環境にとっても良いとも言える。
「時は金なり」という言葉がある。
でも、経済を回せばお金は無限に増える一方で、人生は有限。その視点に立てば、お金より時間の方が相対的に価値が高いとも考えられる。
ならば、その時間をうまく切り分けて、いいバランスを保とうというのはとても合理的ではないだろうか。
仕事に打ち込む人生も素晴らしいけれど、仕事の他に自分の生活も楽しむ人生もまた素晴らしい。
これは正しさではなく、好みの問題である。
どちらの人生を生きたいかは、あなた次第である。