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人を動かす力の源は質問力…坂本龍馬に学ぶ「聞く技術」

幕末を疾風の如く駆け抜けた坂本龍馬。「日本を洗濯したい」という強い想いを胸に大政奉還の立役者となり、260年続く徳川の時代を終わらせた黒幕の一人である。

ドラマやマンガにも度々登場し、日本史を代表する人物となっている。もし坂本龍馬が現代にいたら、おそらく優秀な営業マンになっていたことは容易に想像できる。
なぜなら、彼の行動力や情報収集は人並み以上で、事実、薩長同盟の仲介役や貿易など幾多の交渉ごとをまとめてきたからだ。

そこで今回は、龍馬に学ぶ「聞く技術」と題し、現代のビジネスシーンで通じるテクニックを紹介したいと思う。
幕末の風雲児は、いかにして人の心を動かしてきたのだろうか。

他人の発想力ほど価値あるものはない

龍馬は、一見すると独創的な想像力の持ち主かと思いきや、彼は他人の考えを応用することで自分の能力を高める人物だったことがわかる。
つまり、観察力が鋭く、吸収力の強い勉強家であったわけだ。龍馬の生涯を一言で表すならば、「出会い」。
能力を吸収するために、さまざまな人物と出会い、自分のレベルを高めていく。

そして、他人の能力を吸収して学ぶ際、彼は次のようなことを実践している。

●優れた人物の考えを真似して、そのまま自分の考えとする
●優れた人物の考えを取り入れ、不足している要素を付け足す
●優れた人物が考えた計画は、たとえ否定的な内容でも一度は実行してみる

結果を出している人の真似をすれば、大なり小なり結果がついてくるという考え。
結果を残している人にはそれなりの理由があり、言語力、行動力、段取り、情報収集など、可能な限り真似をして考える力を養った。

「何を、どのように考え」「どう動くのか」それらの思考が行動の源になるのだ。
龍馬はそのことに気づき、優れた人物の考えを応用して自分の思考能力を磨き上げていく。

幾人もの優れた人物と出会い、それぞれの考えを取り入れることで、龍馬ならではの独創的な発想力が生まれたと言ってもよい。
他人の良いところを最大限に吸収し、真似て動いてみることで応用力がつき、自分が望む結果へと結び付けていった彼は高いスキルをもった営業マンと言えるだろう。

龍馬は生涯で4,600km歩いていると言われている。その半分の2,3000kmは26歳から31歳までの5年間で歩いた距離。
ちなみに4,600kmはおよそ地球一周分の距離だが、これだけ歩けば様々な人たちと巡り合ったことは容易に推測できる。

好意をもってもらうためには相手を知ることから始める

人間関係において「好意」とは友好関係を左右する大切な要素。
龍馬は幅広い分野の人達と人付き合いしている。そして、枠にとらわれず誰とでもセッションしている。

彼が人間関係を築くうえで重要視していたことが「相手を知る」ことだった。
どんな食べ物が好きで、どんな趣味があるのか、たわいもないことでもリサーチするのだ。

相手が興味を持っていること、関心のあること、好きなことなど、心地良く感じることを質問し、相手の人間性や人柄などを確かめていた。
たとえば、「肌が綺麗だね。何か特別な手入れ方法でも?」と、相手を不快にさせない+聞かれて嬉しい質問を投げかけ、答えさせるのが上手かったと言えるだろう。

質問する=興味をもつ、そうすることで相手は「自分に関心を示している」ととらえ、関心を示すことでお互いに好意が芽生えやすくなるのだ。

また、龍馬の質問力には目を見張るものがあり、相手が求めている質問を投げかけ親密度を深めるというテクニックが隠れている。
優れた質問力は他にも様々な効果をもたらす。

●何気ない質問から思いもよらない有力情報を得られる
●議論の切り札となり、問題解決の糸口となる
●自分自身をコントロールできる
●他人をコントロールできる

セールスにおいても質問力は交渉の武器になるだろう。
相手の考えを察して、テンションをコントロールすることができるような内容の質問であれば商談に大きな影響をもたらす。

また、人間関係においても、たとえば部下を怒る際など一方的に叱責するのではなく、答えを誘導するような質問を投げかけることで本人に注意点を自覚させることができるのだ。

これは、他人をコントロールする良い例と言っていいだろう。
ポイントは、目的を明確にしたうえで的確な質問をするということ。これを忘れてはいけない。

意思を動かす質問力

龍馬の交渉は、まず質問から始まる。「なぜ」「どうして」という疑問から相手の欲求をリサーチし、「これならどうだ?」と投げかけるのです。

あくまでも押しつけではなく質問形式で提案するというテクニック。誘導し、自分で判断したと錯覚させるのが狙いである。

人から押し付けられると拒みたくなるが、自分で判断したことは承認しやすくなる。それが龍馬の「意思を動かす質問力」であろう。

ビジネスマンにとって質問力は強い武器になる。シナリオに沿って相手を誘導できるように、日頃から質問力を磨いておきたい。

質問力に求められる3つの要素とは?

状況に応じた質問

無益な質問は避け、相手が興味を示さない質問もNG。T(時間)P(場所)O(場合)を前提とし、状況に応じて質問することが重要である。

ニーズをリサーチする

的外れなセールスをしない秘訣は、相手のニーズを知ること。はじめは相手が答えやすそうな質問から投げかけていき、次第に確信的な欲求を探るのが好ましい。

交渉に入る前は感情を動かす質問

相手のイメージをコントロールすることは非常に大切。相手が求めている「理想」や「願望」をイメージさせるような質問を投げかけてゴールをつくっておくのだ。

いかに相手の頭の中にイメージを膨らますことができるかがポイントになる。
こちらの質問によって相手が自ら創り出したゴールを植え付けておくことで誘導しやすくなるだろう。

しかし、そのゴールは、質問によってイメージさせたこちらが望むゴールでなければならない。そのための準備が、状況に応じた質問とニーズのリサーチということになる。

聞き方にもコツがある

質問の投げかけ方は一つではない。まずは「オープンクエスチョン」。
情報収集や相手の欲求を探る際に効果的で、会話を展開したいときにも有効的な手法である。

たとえば、「○○の映画に興味ある?」とアバウトな質問がオープンクエスチョン。これに対し、二者択一で答えを誘導するのが「クローズド・クエスチョン」だ。

「今週の金曜日、○○の映画に行かない?」こう聞くことで、「YES」か「NO」の二択で相手が答えられるように誘導するわけである。

オープンクエスチョンは選択肢が多くなるので答えが散漫的になるが、クローズド・クエスチョンなら目的が明確になり、ゴールへと導きやすくなる。
会話の主導権を得たい場合や相手の考えを絞り込んでいきたい時などに有効だ。革新的な質問を迫るときにはクローズド・クエスチョンのほうが有効だろう。

龍馬も、このクローズド・クエスチョンで相手の意思を動かしている。「わしと一緒に徳川を倒さんか?」「わしのこと嫌いか?」と、ストレートに相手の真意を確かめる場面が多い。

交渉でもセールスでも、質問力は重要なカギになる。
今回ご紹介したテクニックを身につければ、おそらく今よりもビジネス・スキルが向上するだろう。

それぞれのポイントが重要なのだが、すべては質問力を高めることに繋がっていく要素だ。
あらゆるシーンで応用できるスキルなので、ぜひ参考にしてみてはいかがだろうか。

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