自然を縫って歩く旅。初心者でも楽しめる「ロングトレイル」の魅力とは？オススメコースは？

ロングトレイルとは、自然や文化を楽しみながら、山や街道を長距離にわたって歩く旅のこと。
登山ブームに伴い、じわじわと日本でも愛好者を増やしている、今話題のアクティビティだ。

基本的に、コースや装備品は登山のそれとなんら変わらない。
ただひとつ違う点は、登山がひたすら登頂を目的に、高い山へと挑むのに対し、ロングトレイルはそこまで高峰を登ることに対するこだわりはない。
頂上は一つの通過点。目的は、山や街道を縫うように歩き、景色を楽しむことなのだ。

現在は欧米を中心に盛んだが、最近は日本でもロングトレイルのルートの整備が進められている。欧米のトレイルが、長距離でハード、肉体を追い詰めるものである一方、日本では短距離のコースが多い。
また、鉄道ルートに隣接していることも多く、長いコースの一部分だけを歩いたり、複数回に分けて完歩するなど、多様な楽しみ方があるのが日本のトレイルの特徴である。

では、実際に初心者でも簡単にチャレンジできるコースは？
日本ロングトレイル協議会のウェブサイト(http://outdoor-ld.jp/lta/)では、全国のトレイルが紹介されている。
今回はその中でも、登山初心者が楽しめる人気のコースを３つ紹介する。

1.関西の名山を結ぶ　「ダイヤモンド トレール」

大阪平野中南部に位置する、金剛葛城山地と和泉山脈の一部の稜線上に設けられた自然歩道で、二上山から槇尾山までの全長45.4km。スルーハイク（一度に踏破すること）には二泊三日が必要。
つつじの名所である大和葛城山、ササハラの広がる中葛城山、岩湧山からは大阪平野を展望できるなど、自然を堪能するのにぴったりのコースだ。
関西では親しまれている有名なルートであり、ハイキングコースとしてよく整備されている。
初心者でも安心して歩くことができるだろう。大阪を取り巻くトレイルなので、都市部からアプローチもしやすい。

アクセスは、二上山からスタートする場合、大阪駅から１時間程度の近鉄南大阪線「上ノ太子駅」が最寄りだ。

2.歩荷と牛馬が行き交った歴史の道　「塩の道トレイル」

海に面した新潟県糸魚川市と、長野県松本市の城下町を結ぶ120kmの街道。
古くは京都からの北前船が運んできた塩や海産物が、この道を通って松本まで運ばれていたことからそう呼ばれるようになった。北アルプスを望みつつ、街道の歴史と文化に触れ合いながら歩ける。

スルーハイクには７日を擁するが、トレイルと並行してJR大糸線が走っているため、10kmごとのデイハイクも可能だ。少しずつこの道の魅力を感じるのもいい。

北端の魚川市からスタートするのであれば、アクセスは糸魚川駅。
東京駅から北陸新幹線で２時間半程度、大阪からは北陸本線で４時間程度である。南端の最寄りは松本駅には、東京駅から、中央本線・特急スーパーあずさで２時間半程度、大阪からは名古屋経由で３時間程度。
http://sionomichi-trail.com

3.修験者が歩いた道をゆく　「国東半島峯道ロングトレイル」

大分県・国東半島の山々にある修験者のための古道を整備したのがこのトレイル。
総全長は、豊後高田市の「熊野磨崖仏」から、国東市の「両子寺」まで約135kmにも及ぶ。
昔、修験者が昔、修行のために練り歩いたコースがベースとなっているゆえに、神社・仏閣が点在し、また野山の景観が特に素晴らしい。悠久の時を感じながら歩を進めてゆける。

アクセスは飛行機で羽田空港から一時間半。名古屋の中部国際空港や、大阪伊丹空港からは一時間。それぞれのコースまではバスや車を利用する。
http://www.kunisakihantou-trail.com

初心者向けのツアーや、アウトドアブランドの講習会もある

もちろん、ここで紹介した以外でも魅力的なトレイルはたくさんある。
トレイルによっては初心者向けのツアーも定期的に開催されているので、ぜひウェブサイトを参考にしてほしい。
また、アウトドアブランドがスポーツ洋品店などで講習会を行っていることも。
人との出会いもあるため、一緒に挑戦する仲間もできそうだ。
「登山はハードで大変だから、とてもする気にならない」という人でも、登頂を目指さないトレイルならハードルは低い。
新しいアウトドアの楽しみに挑戦してみてはいかがだろう。