思いがけないことを発見するチャンスは“書店”にあり……本屋でセレンビリティを。
書籍の購入、簡単すぎではないか?
「書籍は買っているけど、ネットで買っている」そんな方が多いのではないだろうか?
大手ネット通販サイトで1つ書籍を見ると、“よく一緒に購入されている商品”“この商品を買った人はこんな商品も買っています”“この商品を見た後に買っているのは?”と様々な手法でプレゼンテーションをしてくれる。
それらの本は、求めている知識をより深化させたい場合、強めたい場合に非常に便利だ。
ビッグデータの成せる業だ。
活用しない手はない。
では、一番最初の書籍を、あなたはどう選んだのだろうか?
自分の知りたい内容に関連するキーワードや作家名、書籍名を入力して、「検索」ボタンを押下した方が、ほとんどだろう。
便利な世の中だ。
欲しい書籍が、本屋から自宅まで運ぶ手間もなく、日本全国どこに居ても買えるのだから。
だが、一つ疑問が残る。
自分自身が知らない「キーワード」は検索できない。
これが習慣化していくと、下手をすると「知らない」ことすら忘れていくのだ。
知らないキーワードとは?
学生時代は、ゼミ仲間、サークル仲間、バイト仲間、高校の同級生など多種多様な繋がりが存在する。
さまざまな「知らないキーワード」を教えてくれる繋がりだ。
就職し働き出す。
徐々にそんな仲間達とも疎遠になり、会社の同僚や先輩・上司達が、大きな情報元となる。
就職したばかりの期間は、そんな彼らについていくのに必死だろう。
だが彼らは、近い価値観の仕事をし、近いエリアに生き、同時代に生きている。
あなたと類似した情報を持ち合わせた人間なのだ。
かなり乱暴に言うと、社会に出てから知り合った人間は、知識をより深化させるレコメンデーション機能と大差ない。
「いや!会社の先輩は、変わった趣味を持っていて会話が楽しいし、色々教えてくれることもある」と反論もあるだろう。
そんな人は、その恵まれた環境を大切にした方が良い。
しかし、それは「知らない」ことすら忘れていくリスクも同時に孕んでいる。
仕事の打ち合わせが、煮詰まってなかなか前に進まない。
いつものプレゼンテーションの資料が、今回ばかりは使えない。
クライアントの担当者が超曲者でトークが弾まない。
彼女とのデートの会話がマンネリで楽しくない。
こんな時「知らない」で済んでたことが必要だったと気付く。
ピンチを感じた時には、もう遅い。
だが、同じピンチを減らすことはできる筈だ。
まずは本屋を“一巡”
そこで提案だ。
近くの本屋に行ってみるのはどうだろう。
オススメは大きな本屋だ。
東京の大きな本屋なら、例えばここ。
http://www.junkudo.co.jp/mj/store/store_detail.php?store_id=1
紀伊国屋 新宿本店
https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-Main-Store/
八重洲ブックセンター本店
http://www.yaesu-book.co.jp/
丸善 丸の内本店
http://www.junkudo.co.jp/mj/store/store_detail.php?store_id=3
いずれも1,000坪以上ある大型店だ。
大型書店に行ったことのない人にとっては、書籍数だけで驚きだろう。
これらの大型書店にある書籍を全て読むと、かなりの知識人だ。
寝る時間も、デートの時間も、働いてる時間も削るか?
1日24時間しかない。無理だ。そもそも本末転倒である。
そこで、書店の全フロアーを巡って見てほしい。
買わなくても良い。只々、本屋を“一巡”する。
適当に本のタイトルを見ながら…。
すると、「重力」「野蛮」「デザイン」「スペイン」「心理学」「細胞」「社会」さまざまなキーワードが飛び込んでくるはずだ。
今まで興味のなかった「アート」もだ。
「知らないことを、忘れている」ことにハタと気付かされるだろう。
眠っていた“知的好奇心”が目覚めた瞬間だ。
気になった本をペラペラとめくってみるのもいいだろう。
椅子が用意してあるお店もあるので、何冊か腰を据えて「はじめに」の部分だけ読んでみるのもいいだろう。
お店を出て、印象に残った「キーワード」を後にスマホで検索してみてもいいだろう。
こんな他愛もない行動で、あなたの知的好奇心は徐々に育ち、いつの間にか、打ち合わせ、資料作り、コンパ、デートのピンチにいつか役に立つはずだ。
さらに、また面白いのが書店員のキュレーション力だ。
「こんなアイデアがありますよ」「こんな感性が磨けますよ」と本の陳列によって雄弁に訴えかけてくる。
まるで店員さんが、全ての本を読んだ如くだ。
彼らを例えるならば、学生時代にさまざまな「知らないキーワード」を教えてくれた友人のようだ。
付き合わない理由はない。
その友人達は、ピンチを減らすあなたの大切なサポーターになるはずだ。
そんな彼らとの出会いの場所をなくさないためにも“一巡”して「この本持ってると女子ウケしそう」なんて、邪な動機でもいい。
一冊買ってみよう。
きっと彼らもまた喜んでくれるだろう。
その邪な動機で購入した本でも、机の上や本棚に飾っておけば、数年後、フトした拍子に「こんなアイデアありますよ」と語りかけてくれるはずだ。