新宿一の癒しスポット「新宿御苑」…都会の喧騒に疲れたアナタのオアシス
大都会「新宿」。
高層ビルやデパートが立ち並び、昼夜問わずビジネスマンや買い物客、国内外からの観光客で溢れかえる、言わずと知れた日本有数の大都会。
その中にあって、静寂に包まれ、緑に覆われ、水面を揺らし、都会の喧騒に疲れた人々の心にそっと寄り添う癒しスポットがある。
そう、それが新宿御苑。
環境省が管理する、数少ない国民公園の一つだ。
その歴史は古く、徳川家康の家臣・内藤氏の江戸屋敷がルーツと言われている。
その後、明治に入り農事試験場、皇室の園庭へと姿を変えていき、第2次大戦後の昭和24(1949)年に国民公園として一般に公開された。
広さ58.3ha(約18万坪)、周囲3.5km。新宿区と渋谷区に跨る広大な敷地。
各線「新宿駅」南口から歩いても10分。
「新宿駅」を利用した際に、ふらっと寄れるのは嬉しいポイントだ。
チケットを購入し、いざ入園。
柔らかな木漏れ日が頬を撫でる「森の散歩道」
新宿御苑の外周は、木々で覆われている。
そのため、移動時間は自然と森林浴を楽しむことができる。
時折、頬を撫でる木漏れ日もどこか優しく、何だか新宿御苑に歓迎されているようだ。
仏、英、そして和…それぞれの風情を1日で
新宿御苑は明治時代を代表する近代西洋庭園で、国内では数少ない風景式庭園の名作だ。
フランス式整形庭園・イギリス風景式庭園・日本庭園が巧みに組み合わさり、唯一無二の味わいを醸し出している。
フランス式整形庭園
まず目を引くのは、庭園中央に堂々と構えるバラ花壇。
バラをはじめ110種類ほどの花々が植えられているので、季節毎に違った顔を楽しむことができ1年を通して見飽きることのない花壇だ。
その極彩色の気品ある姿に思わず、見惚れてしまうことだろう。
花壇を中心に約200メートル、計156本のプラタナスが4列に並ぶ「プラタナス並木」。
その整然とした様に、フランスの美意識の高さを思い知らされる。
プラタナス並木の中はどこか哀愁漂うヨーロピアンテイストが、異国に迷い込んだような気持ちにさせる。
紅葉シーズンはまた一段と渋い景色になるので、紅葉目的に来るのもオススメだ。
イギリス風景式庭園
見渡す限りの芝生が広がるイギリス風景式庭園。
中央にはひときわ大きなユリノキがそびえ立ち、端々では巨樹が生き生きと枝葉を伸ばしている。
非常に開放感溢れるつくりになっている。
日向ぼっこしながら昼寝するも良し、木陰で談笑するも良し。
昼休みで一息つくワイシャツ姿のサラリーマンも目にした。
その牧歌的で温かな光景に、こちらの表情も自然と緩む。
イギリスでは誰となく広場に集まり、こんな風にゆったりとした休日を過ごすのだろうか。
ここが新宿であることを忘れさせる。
のんびりとした時間が、イギリス風景式庭園には流れている。
日本庭園
新宿御苑には3つの池があり、上の池・中の池・下の池が園内の東西にかけて川のように繋がっている。
その緩やかな池の流れを活かしてつくられたのが、池泉回遊式の日本庭園だ。
特に、上の池周辺は整備され、古き良き日本の伝統を感じられる場所となっている。
ぽつんと浮かぶ小島には盆栽をそのまま大きくしたような松の木が我関せずとただ寡黙に立っている。
その一つひとつの要素が絡み合い、和を凝縮した箱庭を成しているのだ。
「旧御涼亭」は昭和天皇がまだ皇太子のとき、ご成婚記念に台湾在住の日本人が贈った歴史建造物。
中国建築の建物だが、その他とは一線を画したエキゾチックな佇まいは不思議と日本庭園にマッチしていた。
2013年公開された『言の葉の庭』は、この日本庭園を舞台にしたアニメーション映画。
靴職人を目指す少年と、歩き方を忘れてしまった年上の女性が、雨の日の日本庭園で逢瀬を重ね惹かれ合っていく恋物語。
ストーリーもさることながら、魅力的なのはその映像美。
晴天ではなく、雨の日にあえて新宿御苑に行きたくなるような美しい情景を堪能できる作品だ。
晴れの日も、雨の日も、違った風情を楽しめる、それが新宿御苑の日本庭園だ。
さいごに
空を見上げるとNTTドコモ代々木ビルが天高くそびえ立っている。
その姿を見た瞬間に思い出す、「あぁ、ここは新宿だったんだ」
「新宿駅」の1日平均乗降者数は約335万人(2013年)。
ギネスブックにも載った、乗り降りが世界一多い駅「新宿」。
日常の一部として利用している人も多いはず。
我々の知っている新宿とは、全くの別世界が広がる新宿御苑。
リピーターが多いのも納得だ。
都会の喧騒に疲れたときに新宿御苑のことを思い出し、訪れてほしい。
きっとアナタのことを優しく迎え入れてくれるから。