何のために本を読む? 豊かな人生を育む、読書をする3つの理由。
ビジネスマンたるもの、読書を習慣化しなければならない。
そんな言葉は耳にタコができるくらい聞いたし、
あながち間違ってもいないなと気付いている人も多いだろう。
とはいえ、絶え間なく仕事に追われる毎日だ。
本を読んでいる余裕はないし、文字を眺めることさえ苦痛に感じるのは当然である。
一方で、本と共にある生活への憧れは途絶えない。
だったら、読書の見方を少し変えてみてはどうだろうか。
“成長するため、ビジネス面に活かすために本を読む”といった義務感ではなく、
自分にとって必要なかたちで、必要な本に出会い、必要なときだけ読書をする。
何を当たり前のことを、と思うかもしれないが、
基本中の基本である読書の在り方を、私達は忘れがちだ。
今回は、そんな読書の向き合い方を再確認できる機会となれば幸いである。
心に”ゆとり”をもたらす。
あなたのストレス発散方法はなんだろう?
スポーツを通して身体を動かすこと、心地よい音楽を鑑賞すること。
それは千差万別だが、なかにはその方法が分からない人もいるだろう。
そこでオススメしたいのが、“読書”という名の気分転換である。
本を読むこと。
それは、どこか自分を鏡に投影しているかのような感覚を持つ。
自己啓発本にせよ、物語が綴られた小説にせよ、
文字を読み進め、内容を頭のなかでイメージしている。
しかし、同時に「自分はどう思うだろう?」と自問自答しているはずだ。
“読書は精神統一にもなり得る”と耳にしたことがあるが、それは自分という自分を落ち着いて見つめられるからなのだと思う。
それはつまり、自分自身を見つめ直せるということ。
自分が何に怒っていて、何に悲しんでいるのか。
その正体を認識できるということである。
例えば、怒りをコントロールする手法において、
まずは深呼吸し、自分がなぜ怒っているのかを整理することを勧めている。
それと同じような効果が、読書にも期待できるというわけだ。
とはいえ、そもそも活字に抵抗感を持つ人もいるだろう。
そんなときは、“自分を肯定してくれる本”を探して読んでみるといい。
自分と同じ価値観が書かれている本、抱えている問題を解決してくれる本。
人は褒められたり、励まされたりすると、とにかく嬉しくなる生き物。
そんな本を読むことで、自然と心に”ゆとり”が出来てくる。
何事も寛大に許せる心境になるはずだ。
迷ったり、自信をなくしたり、怒ったり、悲しんだり。
精神面に不安定さを感じたら、読書を通じて心のコントロールを図ってみよう。
乱読で、”必要な情報”を仕入れる。
最近、わけもなく悶々とする。
その解決策を探りに、ふらりと本屋に足を運んでみる。
店内をぐるりと回っていると、ピンとくるタイトルがあった。
目次を読み、パラパラとめくってみた結果、自分が求めていた本と出会えた。
さぁ、帰ったら読むぞ!と意気込む。
……そこで、あなたはどのページから読み始めるだろうか。
規則正しく、冒頭からじっくりと読み進める人が大半だと思う。
しかし、この読書方法は少しばかりもったいない気してならない。
あなたがその本を選んだのは、自分が求めている回答や情報が書かれているからだ。
だったら、その答えを真っ先に知るのが当然。
それに逆らってまで、冒頭から読んでいく道理はない。
ただでさえ、仕事や家庭で自分の時間を持つのが困難なのだ。
効率よく読書を進めるべきではないだろうか。
しばしば、本は読むものではなく、使うものと言われる。
言い得て妙で、確かに自分が求める情報を仕入れるため、私達は本を使っている。
だとすれば、「読書は冒頭からきっちり読み進めなさい」という、
ありもしない決まりに従うことはない。
読書は自由である。
もちろん、本の読み方は千差万別。人それぞれに適した方法があるだろう。
1ページ目から読むのが体に馴染んでいるなら、それに身を任せたほうがいい。
しかし、どこか自分の読書に満足がいっていないのなら。
時間がないといって、読書にありつけていないのなら。
騙されたと思って、“本を使う”という意識を持ってみてはどうだろうか。
本を通じて、”自分の本”を探す。
大きな本棚に、好きな書籍をずらりと収める。
自宅にそのような光景があればと、夢を描く人も多いはずだ。
しかし、そう簡単に得られないのが現実。
自称・読書家の共通の悩みは、本を収めるスペースがないことだと思う。
だからこそ、電子書籍に注目が集まりつつあるわけだが、
やはり紙の書籍の良さがあるし、そう簡単に離れられるものではない。
そこでオススメしたいのが、”図書館”を活かした解決方法だ。
『図書館「超」活用術』の著者・奥野宣之さんは、
図書館を利用して”熟読に値する本を探すこと”を勧めている。
図書館でパラッとみていて、『あ、これはちょっとじっくり読みたいな』と思ったらどうするかというと、まず借ります。
で、家でゆっくり読んだ結果、『これは本気でいい本だ。熟読したい』と思ったら、さっさと返却して、書店でその本を買うのです。
また、返却してしまった本を『あの本、もう一度読みたいな』と思ったときも、借りずに、すぐ買うことにしています。
(中略)
この方法で本を買っていると、家の本棚がどんどん筋肉質になってきます。
一度しか読まないような本が消え、何度も参照したり、くり返し読むような本ばかりになってくるからです。
好きな本しかない本棚というのは、見ているだけで気分が良くなるし、再読のたびに頭を活性化させてくれます。
要点は2つ。
・借りた本を、じっくり読みたくなったら買う。
・返却した本を、もう一度読みたくなったら買う。
これらを意識し、自分が生涯必要とする本と出会おうというわけだ。
そのための第一歩として、通いやすいMY 図書館をまずは見つけてみよう。
週1回、土日祝日に訪れたり、金曜日の帰宅時に立ち寄れる。
そんな、気軽に利用できる図書館があればベストだ。
もちろん、すぐに本屋に行って最新本を探すのもひとつ。
しかし、「読みたい本が分からない」「自分に必要な本が見当たらない」と思うのであれば、本を探す場所を図書館に変えてみるのも、ひとつの方法だと思う。
おわりに
本は自分を肯定してくれるものだと、先に述べた。
管理職など、上の立場になればなるほど、人は褒められる機会を失う。
しかし、どんな大人になったとしても、
肯定されたり、背中を後押しされたいという承認欲求はなくならないはずだ。
それを、本が埋めてくれるというわけだ。
とはいえ、本を読み進めているうちに、否定的な意見と出くわすこともある。
そこで、「なんだ、思っていた本と違ったな」と投げ捨てるのか、「こういう意見もあるのか」と受け入れるのか、たった2択でも大きな違いが生じる。
果たして、あなたはどちらだろうか。
いずれにせよ、読書は私達に様々なことを気づかせてくれる。
あなたの人生をより豊かに育んでくれる、そのことだけは間違いないのだ。