【谷中路地の旅 その1】谷中の小京都に迷い込んでみる。
下町風情が残る東京・谷中。
レトロな雰囲気漂う下町感が人気を呼び、「谷中銀座」は、都内でも有数の散歩コースとしても人気を博している。
もちろん「谷中銀座」も観光の意味では、おさえておきたいが、谷中らしい街並みを路地裏に感じるには、少し路地裏に入ってみることをオススメする。
脇道、細道、曲がり道。
男の冒険心をくすぐる、谷中・路地裏の旅へとご案内しよう。
日暮里駅の西口を出て、御殿坂を登る。
谷中銀座方面へと向かう途中、左手に何やら裏道に繋がるの匂いが……
今回の路地裏旅は、この路地裏へと続くであろう入り口から始めるとしよう。
住宅と住宅の間に見つけた、石畳の細道。
ここを通るか、遠ざるべきか。
そんな不安や葛藤と向き合うのが、路地裏旅の常である。
しかし、ここで面倒だと通り過ぎるのはよくない。
たとえ、この先が行き止まりであろうとも、思い切って飛び込んでみるのが、路地裏を楽しむコツである。
ずんずんずん、と進んで行く。
まだ、行き止まりには、たどり着かない。
向こう側へと続く道が見えた。
どうやら、今回の思い切りは成功のようだ。
このとき、「おお……繋がった……!」という、ちょっとした興奮を覚える。
路地裏旅の醍醐味。
大人にして、子供の頃に立ち返ったような、冒険心をくすぐられる、そんな感じだ。
病み付きになる。
なんと、この路地裏は『旧谷中初音町二丁目』に通じていた。
せっかくなので、ぷらぷらと歩いてみよう。
まず、目に飛び込んできたのが『朝倉彫塑館』。
近代日本を代表する彫刻家 朝倉文夫のアトリエ兼住居だった建物だ。
現在は、美術館として介抱しており、朝倉氏の代表作や収蔵品の展示を行っている。
何よりも目を引くのが、その黒い外観だ。
なんというか、不気味な感じ。
屋上庭園もあり、なかなか楽しめそうな美術館だ。
ちなみに、国登録有形文化財に指定されている。
住所:〒110-0001 東京都台東区谷中7-18-10
電話:03-3821-4549
入館料:一般 500円
開館時間:9:30~16:30
休館日: 月・木曜日(祝日と重なる場合は翌日)・年末年始 (臨時休館あり)
http://www.taitocity.net/taito/asakura/
朝倉彫塑館を出て、右手にすぐ。
これまたディープな趣の『初音小路』がある。
奥へと続く細道の両脇には、居酒屋がずらり。
立ち入るのに少し勇気がいるが、ママの対応、常連客の温かい歓迎、格安の美味しい料理など、なかなかの穴場スポットらしい。
居酒屋、スナック、BARが立ち並ぶなか、異色ともいえる『都せんべい』は有名な老舗。
昔の駄菓子屋のような風貌に、懐かしさを覚えるはずだ。
胡麻、ザラメ、醤油など、手焼きのせんべいは美味。
芳ばしい薫りが、あたたかいお茶にぴったりである。
住所:〒110-0001 東京都台東区谷中7丁目18-13
電話:03-3828-4435
営業時間:9:00~18:30
定休日:月曜日
http://tabelog.com/tokyo/A1311/A131105/13117004/
さて、初音小路を出て左に向かおう。
明治、大正、昭和に造られたと思われる、年季の入った建物やお寺が続く。
その昔、この一帯には『谷中初音町』という町があったそうだ。
“初音”とは、その年に初めて鳴く鶯などの声を指す。
“鶯谷(うぐいすだに)”に因んで、その町名が付けられたとか。
その名残が今も残っているのだろう、旧谷中初音町二丁目は、谷中の小京都とも呼ばれる観光ロードのひとつだ。
小洒落たレストランや居酒屋、雑貨店などが軒並み続いている。
朝倉彫塑館と同じく、登録有形文化財に指定されている建物。
享保年間(1716~1735)から昭和15年(1940)まで小倉屋質店を営業していたらしい。
2002年に、登録有形文化財の仲間入り。
質屋店舗や土蔵を活用・存続するため、現在は『すぺーす小倉屋』と銘打って、アートスペースとして提供している。
http://www.oguraya.gr.jp/
谷中の小京都を突っ切り、右手に少し進んでみよう。
三崎坂が見える手前、酒蔵を改装した自転車SHOP『tokyo bike』が見えてくる。
「東京を走るための自転車」というコンセプトのもと、オリジナル自転車を製造・販売。
スピードよりも、踏み込んだ瞬間の軽さ、上り坂をすいすい上れる気持ち良さにこだわっており、若者や自転車通勤者に人気だ。
東京都内や海外に直営店を展開しているが、谷中店ではレンタサイクルも行っている。
路地裏旅は難しいが、谷中周辺を幅広く散策するにはオススメ。
料金も1日:1,000円と良心的だ。
〒110-0001 東京都台東区谷中4-2-39
営業時間:平日11:00-18:00 土日祝11:00-18:00
レンタルサイクル営業時間:平日11:00-17:30 土日祝11:00-17:30
定休日:水・木曜日(祝日は営業)
https://www.tokyobike.com/
おわりに
谷中といえば、谷中銀座に足を運びがち。
もちろん、観光名所のひとつなので是非とも立ち寄りたいが、せっかくなら、谷中らしい街並みを路地裏に感じてみてほしい。
すぅっと深呼吸すれば、下町の長閑さを身体中で味わえるはずだ。