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星野源「YELLOW DANCER」とあの名盤達。共通する魅力とは?

星野源のアルバム「YELLOW DANCER」が売れている。
紅白への初登場。オリコン1位。TBSドラマ「コウノドリ」への出演。
とにかく話題に事欠かない旬な男だ。

俳優/ミュージシャン/文筆業など多彩なフィールドで活躍する彼だが、IKITOKIの視点でその魅力に迫ってみたい。

 
「YELLOW DANCER」を聴いた。
続けて、異なるミュージシャンの2作品を聞きたくなった。

1枚目は、YMO「SOLID STATE SURVIVOR」。
もう1枚は、小沢健二の「LIFE」だ。
いずれも、日本の音楽史に残る名盤だ。

SOLID STATE SURVIVOR
YELLOW MAGIC ORCHESTRA

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YMO「SOLID STATE SURVIVOR」は、1979年発売。
35年以上の年月が経過しているが、何度となく再発売されており、また、iTunesStoreでのエレクトロニックチャートでもいまだにランキングしている。
沖縄独特のリズム跳ね方が使用されたり、現代音楽の影響があったり、ブルースのコード進行を取り入れたりなど、テクノというフォーマットを使用しながらも、彼らの音楽知識が総動員された「音楽図鑑」だ。
音楽誌が2010年代でも名盤として、いまだ本作品を取り上げ続けるのも納得できる。
私が、音楽という泥濘にズボズボとハマったキッカケの一つだ。

LIFE
小沢健二

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一方、小沢健二の「LIFE」はどうだろう?
この作品も、渋谷系という狭いカテゴリーから飛び出して、約80万枚ヒットを記録した。
Isley Brothers、Stevie Wonder、Curtis Mayfieldなどから抽出したエッセンスが随所に使用されており、私の記憶が確かであれば、大手レコードショップでは、LIFE“元ネタ”コーナーが設置されたほどだ。
渋谷系男子たちの興味をSOUL/FUNK/R&B系へと広げた一枚。
かく言う私も“元ネタ”を探した口だ。

日本音楽史に残る名盤

MUSIC MAGAGINE/Rockin’onなどの音楽誌が名盤として取り上げる作品は、歌唱・演奏・アレンジなどのテクニックが素晴らしいもの。
もしくはメロディやコンセプトが新鮮なもの。
この2点はどの音楽ジャンルの名盤においても、共通することだ。
多くのマニアックな音楽ファンが唸るものが名盤として語り継がれる。

この2つの名盤は、それだけでなく「キャッチー」も「マニアック」も同時に持ち合わせている。

「YELLOW DANCER」は名盤か?

今回の星野源の「YELLOW DANCER」もどうだろう。
非常にキャッチーな作品である上、音楽番組/ドラマ/バラエティーなどへの出演による認知拡大も、もちろん売上貢献の大きな要因だろう。
だが、それだけではない。

星野源、自らのエッセイで“幼少の頃からマイケルが好き”“両親の影響で、NinaSimoneなどのジャズが好き”と記している。
本作品からも、JazzやSOUL系が本来持つグルーブ性を感じるアレンジも多々見受けられ、幼少期の彼の音楽体験や趣味の多様性が分の血となり、肉となっている様子が分かる。

この作品もまた「キャッチーかつマニアック」なのだ。
だからこそ、先の二作品との共通項を見出し、自然と続けて聞きたくなったのだ。

もし、本作品を聴いたライト層がいれば、是非 彼が愛してやまない音楽にも触れて欲しい。
視野を広げるチャンスだ。

■ジャズ通へのファーストステップ、 初心者のためのジャズバー入門
https://iki-toki.jp/692/

多様な「好き」から名作が生まれる

また、俳優/ミュージシャン/文筆家など、今では多くのジャンルで成功を手に入れた彼だが、エッセイ『働く男』では、第三者から「文筆の才能はないから、音楽に絞れ」「音楽の才能ないから、俳優だけ」などの意見を多々浴びたと告白している。

才能がないからやるという選択筋があってもいいじゃないか。
そう思います。
いつか、才能ないものが、面白いものを作り出せたら、そうなったら、
才能のない、俺の勝ちだ。

なにかを「好きになる」ことと、プレイヤーとして「楽しむ」ことの間には、多くの苦悩が存在するのは確かだ。
星野源自身も、音楽だけでなく、文章を書くこと、演じること、様々なことでの「好き」を広めてきた。
その道中の苦悩から、同書の一文が出たはずだし、また、その苦悩から少し抜け出した先に「YELLOW DANCER」があるのではないだろうか?
星野源のエッセイや音楽を、時間軸で追ってみるのも「粋」のヒントが隠されているのではないかと思われる。
5年後「YELLOW DANCER」を聴いたユーザーが、ミュージシャンにならなくとも、キャッチー(モテ)かつマニアック(こだわり)を持った大人になり、面白い音楽や商品/サービスを生み出してくれるのではないかという壮大な期待すら持たせてくれる。

働く男 (文春文庫)
星野 源 (著)

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最後に

1曲目の「時よ」は、「SOLID STATE SURVIVOR」の1曲目「TECHNOPOLIS」でのかけ声“TOKIO”と掛かっているのか?
そんな偶然?戦略?も、また粋である。

YELLOW DANCER
星野 源

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