チーズはワインのためだけにあらず! 魅惑の乳製品・チーズのアルコール&ノンアルコールペアリング
チーズと相性の良い飲み物はワイン。
全世界共通の常識だが、実はそれだけではない。
様々な種類と風味があるチーズには、その良さを最大限に引き出し、逆に引き立ててくれる相性抜群の飲み物があるのだ。
今回は、アルコール・ノンアルコール、それぞれにベストマッチしたチーズをご紹介しよう。
あなたの余暇の過ごし方にバリエーションを持たせてくれるはずである。
チーズの基本をおさらいしよう!
チーズは、ナチュラルチーズとプロセスチーズの2つに区分される。
前者は、モツァレラ、カマンベール、ゴルゴンゾーラ、パルミジャーノなど。
その製造方法や熟成期間によって、様々な種類がある。
後者は、ナチュラルチーズを加熱溶融し、再度加工し直したもの。
市販でよく売られている“とろけるチーズ”などが該当する。
ちなみに、チーズはとても体にいい乳製品。
その理由は色々あるが、「牛乳の栄養成分をそのまま凝縮させたのがチーズ」と考えてもらいたい。
(実際、チーズ20gをつくるためには、牛乳200gが必要)
タンパク質、脂肪、カルシウム、ビタミンがバランス良く含まれており、それらを手軽に摂取できる。
また、脂肪分が胃の粘膜を保護し、アルコールの吸収を和らげてくれる。
さらに、アミノ酸(メチオニン)が肝臓の働きを助け、アルコールの分解も促す。
お酒との相性が良い理由は“味覚”だけではないのだ。
ドリンクペアリング ー アルコール編 ー
ビール
ほろ苦いビールには、少し苦味のあるチーズが合う。
特にオススメなのが、ナチュラルチーズをスモークさせたもの。
香ばしい風味が相性抜群だ。
また、 “表面”に白カビを植え付けて熟成させる『白カビタイプ』も選択肢のひとつ。
スッキリとした味わいの辛口ビールには、クリーミーな後味のチーズが合う。
● おすすめチーズ:カマンベール
表面が白カビに覆われた小型のチーズ。
中身はクリーム色で、とてもやわらかく、濃厚な味わい。
独特の軽い苦味が、ビールにマッチする。
熟成が進めばトロリとした食感になるので、熟成タイプのカマンベールがオススメだ。
焼酎
チーズと同じく、カビを用いられてつくられる焼酎。
米ベースの本格焼酎には白カビベースのカマンベール、芋焼酎には硬い食感にマイルドな味わいのゴーダ、麦焼酎にはクセの少ないモツァレラが合うとされている。
焼酎の種類によって風味が異なるのに合わせて、チーズの相性も変わるのが面白い。
● おすすめチーズ:ゴーダ
オランダを代表する、オレンジかかった表面が特徴のチーズ。
サンドイッチの具やプロセスチーズの原料に使われるため、日本人には特に馴染みが深いチーズといえる。
熟成の若いものは、クリーミー。
熟成が進めば、香りがたってコクが出る。
芋焼酎との相性が抜群なので、試してみてほしい。
ウィスキー
甘い香りが特徴のお酒・ウィスキーには、熟成期間の長いチーズが合う。
非常に硬く、濃厚な旨味のある『ハードタイプ』がオススメで、チーズの隠れていたフレーバーが引き出されと同時に、塩気がウィスキーの甘さがさらに引き出される。
● おすすめチーズ:パルミジャーノ
イタリアチーズの王様と呼称されるほど、人気の高いチーズ。
削られたパルミジャーノがパスタの上に振りかけられれば、たちまち高級感が増す。
熟成期間が長く、風味豊かな味わいが特徴。
とても硬質なので、専用のナイフや削り器を合わせて購入する必要がある(1,000円ほどで販売されている)。
ポリポリと食感も楽しみつつ、ウィスキーのショットグラスを傾けてみよう。
ドリンクペアリング ー ノンアルコール編 ー
紅茶
フランスでは一般的。
砂糖を少しだけ加えた紅茶には、カッテージ、マスカルポーネ、リコッタなど、熟成期間をとらない『フレッシュタイプ』のチーズと合わせたい。
その優しい味わいが、朝食にピッタリだ。
ちなみに、ハーブティーにはクリーミーな味わいのチーズとの相性が良い。
● おすすめチーズ:フロマージュ・ブラン
乳白色でなめらかなクリーム状のチーズ。
ヨーグルより優しい酸味と生クリームよりあっさりしたコクが特徴。
口どけなめらかな食感が魅力的で、蜂蜜やジャムを加えればデザート感覚で楽しめる。
ただ、鮮度によって味が左右されるチーズなので、一度開封したあとは早めに食べ切ってしまおう。
コーヒー
香り高く、味も濃いコーヒー。
こちらには、その風味に負けないチーズを選びたい。
オススメは、チーズの“内部”に青カビを植え付けて熟成させる『青カビタイプ』や『白カビタイプ』。
チーズの塩気が、砂糖を入れたエスプレッソの濃さやカプチーノのミルクの甘さをまろやかにしてくれる。
また、お菓子の材料に使われるマスカルポーネやリコッタとの相性も良い。
● おすすめメチーズ:ゴルゴンゾーラ
世界三大ブルーチーズとして有名なイタリアのチーズ。
薄く黄色がかったチーズに、断面を見ると青カビが筋状に入っている。
ゴルゴンゾーラは“ドルチェ”と“ピカンテ”の2種類に分けられる。
前者はクリーミーでマイルドな口当たり、後者は辛味がピリッとする味わいが特徴。
コーヒーに合わせるなら、ドルチェがピッタリだ。
煎茶
洋のイメージが強いチーズだが、和の煎茶にも意外と合う。
オススメなのは、外皮を塩水やお酒で洗いながら熟成させる『ウォッシュタイプ』。
緑茶の複雑な風味が、ウォッシュタイプチーズの持つ独特な香りと渋みをほどよく抑えてくれる。
口の中に残るミルクのクリーミーな味わいが絶妙だ。
洋菓子に抹茶などが使われているのも頷ける。
● おすすめチーズ:タレッジオ
表面がオレンジかかった正方形のチーズ。
他のウォッシュチーズと比べて、特有の香りが穏やか。
少しの酸味、クリーミーなコク、もちもちとした弾力性ある口当たりが特徴だ。
とても食べやすいので、ウォッシュチーズ初心者にもオススメ。
まとめ
チーズには様々な種類がある。
ちなみに、主な生産地であるヨーロッパ(EU)では『AOP(原産地名称保護)』を定めており、認定されているチーズは42種類だ。
しかし、それぞれの飲み物とのベストペアリングが必ず存在する。
上記に挙げた例はごく一部。
あなたのお気に入りの飲み物の良さをさらに引き立ててくれるチーズを探してみてはいかがだろうか。