世は立ち飲み戦国時代！ 今一番行きたい立ち飲みの名店～赤羽・立石編～

日本の大衆居酒屋は奥が深いが、その中でも今、最もアツいのが「立ち飲み」と呼ばれるスタイル。
千ベロ（千円でべろべろ）とも呼ばれ、そのお財布への優しさと、仲間、デート、一人で……と、どんなパターンにも対応する気軽さは現代に一番マッチした外食スタイルとも言えるだろう。
その風潮も合ってか、銀座や六本木など高級と言われるエリアにも新しい立ち飲みの店が次々にオープンしている。
が、しかし。
チャラついたうわべだけの新規オープン店よりも、吉田類の酒場放浪記に登場するような店を愛するディープな酒飲み諸氏は、きっと昔ながらの名店に目が向くはず。
銀座より赤羽。六本木より立石。
渋いオトナはまず、ディープな老舗の集うエリアで「これぞ立ち飲み！」という王道スタイルから攻めてみてほしい。
立ち飲みの神髄を味わえるはずだ。

千ベロの生みの親！ディープな赤羽は立ち飲みの聖地！

ディープなお店が並ぶ赤羽。
戦前は軍の施設が大量におかれ、軍人町とも呼ばれていた。
その名残もあり歴史ある飲み屋街として有名である。
千ベロという言葉は赤羽で生まれた、といっても過言ではないくらい、財布に優しいお店が立ち並ぶ。
スタイリッシュなデートと言うよりも、新鮮さを求めるカップルにお勧めの街である。
なかなかディープな街なので、初めてのデートに使うのはオススメしないが、ホッピーや大衆居酒屋の雰囲気が好きな女性であればどのお店を選んでも感動すること請け合いである。

いこい

赤羽の立ち飲み屋といえばここ。
千ベロ御用達のお店である。
お財布を気にせず「飲める！」「食べられる！」と人気だ。
訪れた際に、是非試してみたいのは「シャリ酎」。
その名の通りシャーベット状になった焼酎がビールジョッキに入って出てくるのだが、ここにホッピーを一気に流し込む。
関東風ホッピースタイルというよりは、関西で主流の３冷ホッピーに近いスタイルである。
「焼酎くさいのが苦手」、「ビールに近いほうが良い」という方は是非シャリ酎を頼んでみよう！
また、「シャーベットハイボール」というシャーベット状になったウィスキーのハイボールも他では中々楽しめない味だ。

ホッピー発祥の地、立石は名店多し

葛飾区立石。
戦後は闇市で発展した町である。
闇市の流れから大衆居酒屋が多く立ち並ぶようになり、浅草と近いこともあって江戸っ子が集まるようになった。
赤羽同様なかなかディープな町並みなので、デートでいく場合は相手が大衆居酒屋を好むかどうか確認しておきたい。
また、一説によればホッピーの発祥はこの立石であるとも言われている。その歴史を探るのも、ひとつの楽しみ方かもしれない。

毘利軒

串カツの立ち飲み屋さんである。
名前の由来は、大阪通天閣にいるビリケンさん。関東ホッピーの中心地で大阪の串カツを味わうのはまさに最高の贅沢である。

「二度付け禁止！」という言葉を聞いたことはあっても実際に見たことない、味わったことがないという方は暖簾をくぐってみよう。
薄めの衣がついた串かつはサクサクでジューシー。肉や魚介類だけでなく、素材本来の味や食感を楽しめる野菜串も試してもらいたい。
ブレンドにこだわった甘辛いソースを絡めるもよし、サッパリと塩で食すもよしだ。
これら串かつを片手に、「毘利軒のビールはうまい！」と自慢するビールを飲む。きっと、仕事の疲れなんて吹っ飛ぶだろう。

夜の闇に、赤ちょうちんが映える。
お店の中から漂う脂っこい煙の匂いは食欲をそそる。
やや濡れたビールジョッキには冷えたビール。
焼き鳥を片手に一気にビールを流し込む。
冬は熱燗。ほかほかのおでんを手元に、日本酒を煽る・・・。
高級レストランでワインをたしなむのも粋だが、立ち飲み居酒屋で80円のハムカツを肴に200円の生ビールを一気に流し込むのもまた粋。今週も待ちに待った金曜日がやってくる。
あなたの気持ちはどちらに傾いただろうか？