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「とりあえず、ビール!」乾杯の前にそもそもビールって何だ?

居酒屋での最初の一杯。
「とりあえず、ビール!」とビールを注文する人は少なくないはずだ。
まずはビールで喉を潤す。
声が漏れ出るほどの至福の時…。

ビールを飲まない友人から「やっぱり缶ビールとは違って生がいい?」と聞かれた。
家飲みも美味しいが、フト「あれ?缶ビールって?生って?」と自問してみた。
単にジョッキだから? 雰囲気?…何とも曖昧。

あなたはどうだろう?
今さらだが、あらためてビールのキホンを確認してみたい。

ビールの歴史

ビールは、ワインに次ぐ古い酒であり、紀元前8,000年~4,000年頃のメソポタミア時代に遡ると言われる。
初期のビールは、大麦や小麦を発酵させ、薬草や香草を加えたもので、あまり美味しものではなかったようだ。
15世紀頃、ドイツのバイエルン地方で、アサ科の多年草「ホップ」が使用されるようになり、ビールは様変わりしていく。
ホップは、“香り・苦み・泡立ち・腐敗を防ぐ働き”をもたらすことから、ホップを使う醸造法がビール製法の定番となる。

日本にビールが伝来したのは、江戸時代初期、長崎県平戸が始まりとされる。
江戸末期に試醸され、明治5年(1872年)から本格的な製造・販売が始まる。
数多くのメーカーが生まれたが、やがて酒税がらみにより大手メーカーに集約されていった。
現在、日本では5大ブランドはもちろん、全国の地ビールや自家製ビールも非常に多く、まだまだ味も香りも進化し続けている。

ビールの定義とは

ビールとは、大麦を発芽させた麦芽に、ホップ・水などを加えて発酵させた発泡性の醸造酒のこと。
ビールの原料は、「大麦麦芽」「酵母」「ホップ」「水」の4つが基本。
その他、副原料として、米・とうもろこし・でんぷんなどがある。

ビールとされるには以下の条件がある。

・麦芽の割合が原料の67%以上(2/3以上)である
・麦芽以外の副原料が麦芽の半分を超えないこと
・アルコール度数が20%未満

ビールと名乗るには、「麦芽の使用量」がポイントとなる。
酒税法により、これらの条件を満たさないものは、ビール以外に分類されるのだ。

ビールの分類とは

ビールは、製造法や原材料などによって以下のように分類される。

酵母の種類

ビール酵母には2種類あり、「ラガー酵母」と「エール酵母」に大別される。
・ラガービール
ラガー酵母の発酵液が下に沈む性質があるため「下面発酵ビール」とも言う。
10℃前後の低温で、長時間かけて発酵させる。
日本の大手ビールメーカーの商品は、ほとんどがラガーである。

・エールビール
エール酵母の発酵液が上に浮く性質があり、「上面発酵ビール」とも言う。
20℃前後の常温で、短期間に発酵させる。
イギリス、ベルギーなどで主流とされる。

原料での分類

・麦芽100%・ホップ・水だけを使用したビール…麦の香味が強くコクのある
・麦芽67%以上、米・とうもろこし等の副原料を使用したビール…味が軽快になる

熱処理の有無

酵母などによる変質を防ぐために、加熱処理されているか、いないか。

色の分類

ビールの色は、麦芽の種類や、麦芽を乾燥させる温度によって変わる。
色の濃淡によって、淡色ビール、中濃色ビー ル、濃色ビールに分類される。

ビールの工程とは

ビール作りは、麦から麦芽を作る製麦から→焙燥→仕込→発酵→熟成→ろ過の工程がある。

・製麦…大麦を水で浸して発芽させた麦芽(モルト)のでんぷんを糖化させる
・焙燥…麦芽の成長を止めるために乾燥させ、煎る
・仕込…砕いた麦芽と副原料をお湯と混ぜ、ホップを入れて煮沸し麦汁をつくる
・発酵…麦汁を冷却し酵母を入れる。1週間程で糖分がアルコールと炭酸ガスに分解。若ビールとなる
・熟成…若ビールを貯蔵タンクに移し、2~3週間程熟成させる
・ろ過…発芽のもろみなどを除去。透き通った琥珀色のビールとなる

これらの工程でも、使用する麦芽の種類、使用量、原料の組み合わせで、さまざまな味や風味など特徴が決まるのだ。
実際に目で見て、試飲もできるビール工場見学がオススメだ。

発泡酒や新ジャンルとは?

発泡酒は、麦芽が66%以下。
ビールと同じ麦芽を使用していても、副原料にビールでは使用できないものを使うと発泡酒に分類される。

また、ビールでも発泡酒でもない、新ジャンル(第3のビール)も盛んだ。
この中でも、酒税法で「リキュール」と「その他の醸造酒」に分けられる。
「リキュール」は、従来の発泡酒に麦由来のスピリッツや蒸留酒を混ぜたもの。
「その他の醸造酒」は、麦芽使用量は0%。ビール風味の発泡性飲料ということになる。

生ビールって結局なに?

「生ビール」とは、「加熱処理を行わないビール」という意味だ。
酵母は生きているため、過発酵にならないように、ビール製造の初期は「加熱処理」をして発酵を止めていた。
これを「熱処理ビール」と呼んでいた。

ちなみに、現在でもキリンクラシックラガー、サッポロラガーなど、熱処理された昔ながらの味わいを好む人も多い。
1960年代になると「ろ過技術」が飛躍的に向上し、加熱処理をしなくても酵母を十分に取り除き、発酵を止めることができるようになった。
現在、日本のほとんどのビールは「非加熱処理」のため「缶」「瓶」問わず「生ビール」なのである。

家でビールを美味しく飲むために

居酒屋の生ビールが美味しいと感じるのは、実は「泡」にヒントがあるようだ。
缶でも瓶でも「生ビール」であるが、より美味しく飲むためには、いかに“クリーミーな泡”を作るかである。
缶ビールをそのまま飲むのではなく、グラスに「3度つぎ」すると良いだろう。
グラスを冷やしておくと尚良し。
始めはゆっくり、途中から勢いよく→2度目は泡を1㎝程に→最後に継ぎ足して泡を1~2㎝盛り上げる。
料理や気分によってグラスを変えると、一層楽しめる。

ちなみに、ビールといえば「枝豆」だが、これは美味しいだけじゃない。
枝豆には、アルコールの分解を助ける・代謝を促進させる・肝臓の働きを高める栄養素が豊富なため、二日酔いを軽減する働きがある。
ビールの良き友として、枝豆も楽しもう。

おわりに

「とりあえず」と片付けるには、もったいない実は、奥が深いビール。
樽の中で静かに熟成していく様に、思いを馳せてみる。
身近にある色々なものを原点回帰すれば、また新しい楽しみ方も、きっと見つかるだろう。
今、あなたが「とりあえず」や「当たり前」だと思うことを、調べてみるキッカケになれば幸いだ。
さぁ今宵、どこでビールを愉しむか?

■参考サイト
ビール酒造組合
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味わう味わう片付ける片付ける弄う弄う纏う纏う創る創る正す正す和む和む愛でる愛でる磨く磨く
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