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蕎麦屋を”粋”に嗜むために心得ておきたい 3つの掟

16世紀頃、江戸で完成した蕎麦。
当時は『蕎麦切り』と呼ばれ、職人や商人など、江戸っ子を中心に大人気となった。
そこから、“粋な蕎麦の食べ方・作法”が確立されることとなる。

大手チェーン店が蕎麦屋を展開しているため気付きにくいが、そもそも蕎麦屋は、大人がお酒と共に蕎麦を嗜む粋な場所だったのだ。
今回は、蕎麦屋を“粋”に楽しむために心得ておきたい“3つの掟”をご紹介しよう。

其の一:蕎麦の種類を知っておく。

うどんに並ぶ人気の蕎麦。
しかし、その基本的な知識を知っている人はあまり多くないと思う。

そもそも、蕎麦とは『ソバ』という植物の実からつくられる。
開花すると小さな白い花を咲かせる植物だが、これから採れる実を製粉したものを『蕎麦粉』と呼ぶ。
収穫時期は地域によって異なり、6月中旬~8月中旬が“夏ソバ”、9月中旬~11月中旬が“秋ソバ”となる。
秋ソバで打った蕎麦は、その豊かな香りと味わいから“新蕎麦”と称されている。

次に、蕎麦粉の割合。
蕎麦は、“蕎麦粉”を主にして“水”と“つなぎ”と合わせて作られる。
“つなぎ”とは主に小麦粉のことを指すわけだが、これを使用する割合によって蕎麦の呼び名が変わる。
例えば、つなぎを使わず、水と蕎麦粉だけで打った蕎麦を『十割蕎麦』と呼ぶ。
蕎麦の香りが強くて味が濃厚だ。

しかし、小麦粉を使わないため弾力=コシが強く作るのは大変。
味の濃さから好き嫌いが分かれるが、老舗の名店などで見かけた際には一度食べてみたい。
そのほか、小麦粉2:蕎麦粉8を『二八蕎麦』、小麦粉2:蕎麦粉10を『外二八蕎麦』となる。

蕎麦の食べ方は、大きく分けて『もり』と『かけ』の2種類。
“もり”は、茹でた後に冷やして洗った蕎麦をざるに盛る『ざる蕎麦』のこと。
“かけ”は、温かい出汁に蕎麦を入れたものだ。

江戸で生まれた蕎麦はその後、岩手県の『わんこ蕎麦』、茨城県の『けんちん蕎麦』、京都府の『にしん蕎麦』など、それぞれの地域で独自に進化を遂げる。
もり蕎麦か、かけ蕎麦か、関西風のあっさり出汁か、関東風の濃い目の出汁か、自分の好みを把握しておくといいだろう。

其の二:蕎麦屋で酒を嗜むは“粋”の真髄なり。

蕎麦屋に入ったら、蕎麦といっしょに日本酒と肴を注文する。
それが、粋な大人の蕎麦屋の楽しみ方だ。

その起源を辿れば、昔々の江戸時代。
当時から人気のあった蕎麦屋は、男気溢れる江戸っ子の職人たちが酒を飲みに行く憩いの場でもあった。
考えられる理由は2つある。

理由その1:待ち時間が長かったから。

「打ち立ての蕎麦が1番うまい!」という考え方が根付いており、注文してからの待ち時間がとても長かった。
ただ待っているのは忍びないので、「軽く1杯ひっかけておこうか」という飲んべえ的な言い分から、お酒を嗜むようになったのだ。
ちなみに、『蕎麦前』という言葉を耳にしたことがあると思うが、「蕎麦をたべる前に軽くつまんで飲むこと」を意味している。

理由その2:オリジナルの肴がとても美味しかったから。

こだわりの出汁を使った『出し巻き玉子』、蒲鉾に山葵と醤油を添えた『板わさ』、炒った蕎麦の実と江戸甘味噌を使って焼きあげる『蕎麦味噌』など、独特の肴がたくさんある。
それらをつまんで店主が取り寄せた自慢の日本酒を飲み、メインの蕎麦を待つのが江戸っ子の”粋”だったのだ。

蕎麦屋でお酒を嗜むのに、特別な作法はない。
まだ明るい時間、真昼間にふらりと立ち寄る。
そのユルさがまた、お酒と蕎麦を一層美味しくしてくれる。
とはいえ、あくまでも蕎麦屋であって、居酒屋ではない。
酔い潰れるまで飲むのはご法度だし、長居するのもよくない。
蕎麦屋の雰囲気と味わいを十分に楽しんだら、さらりと店を後にするのが”粋”というものである。

其の三:蕎麦は“中心”から食べるべし。

温かい蕎麦=かけ蕎麦ではなく、もり蕎麦の食べ方を説明しよう。
ざるに盛られた蕎麦だが、あなたは何処からお箸をつけるだろうか。
普通なら端っこからだが、蕎麦の場合は”中心”が正しい。
本来、蕎麦というものは、真ん中から食べるように盛られている。
端の方から取ろうとすると、ぐちゃぐちゃと絡まってしまう。
もちろん、決して守らなければいけない作法ではないが、食べやすいに越したことはないはずだ。

また、“つゆ”の付け方にもポイントがある。
ざるから取り上げた蕎麦を全てつゆの器に浸す人が多いが、それはあまりに風情がない。
基本は“3分の1”ほど浸して食べる。
ただし、これは東京の”江戸蕎麦”に限った話。
江戸蕎麦は、つゆが濃いのが特徴なので、少し浸すだけでも味がしっかりする。
しかし、そのほかの地方、とりわけ関西方面のつゆは比較的薄い。
そのため、蕎麦を器に全て浸した方が美味しく食べられるのだ。
また、薬味をつゆの器に入れるのは、薬味はもちろん蕎麦の風味と香りを損ねる。
薬味を少量とり、蕎麦の上に直接乗せて食べよう。

すすり方にもご注意を。
食事の場で“音”を出して食べるのはマナーに反すると言われるが、蕎麦は逆にズルズルと音を立てて食べよう。
すするときに空気も一緒に口に入るため、蕎麦の味と香りをより楽しめる。
豪快に、勢い良く、ズルズルッと。
蕎麦の醍醐味のひとつである。

おわりに

もり蕎麦を注文すると、ほとんどのお店で『蕎麦湯』を添えてくれる。
蕎麦は『ルチン』や『ビタミンB1、B2』などが多く含まれる長寿食。
栄養価が高く、肥満予防、血中コレステロールの低下にも効果が期待できる。

しかし、茹でるときにこれらの栄養素が抜け落ちてしまう。
そこで、その栄養がたっぷり染み込んだ“茹で汁”を蕎麦湯として提供してくれているのだ。

少し残しておいた薬味を入れて汁物に。
お茶の代わりにほっと一息。
多くの人が蕎麦湯を蔑ろにしているが、最後の〆に蕎麦湯をゆっくり嗜んでこそ“本物”である。

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