ワインを始めたい人に…おすすめの週末ワイナリーツアー

楽しみ方が豊富なワイン

フランスの生化学者であるパスツールは「1本のワインボトルの中には、全ての書物にある以上の哲学が存在する」という言葉を残した。
ワインという飲み物には、作り手の思い、飲み手の気持ちなど実に様々な物語が入っているという意味である。
ワインボトルの容量は、約750ミリリットル。よほどの酒飲みであれば別であるが、一人で全部を飲むには少し多い量である。
もちろん、一人で飲むには一人で飲む良さがあるが、誰かと飲むには誰かと飲む良さがあるのだ。
多数で飲む場合はどんな人とどんな時間を過ごしたいかによってワインを選ぶ。
一人で飲む場合は自分の気分でワインを選ぶ。
そう、ワインとはただの飲み物を越えて「時間」や「場」、「感情」に訴えかけるものなのである。

作り手を知れば、ワイン選びがもっと楽しく！

ワインを覚えるには、基本的には色々飲んでみて、おいしかったものをメモしていくのが手っ取り早い。
客観的な評価を参考にするよりは、まずは自分なりの一本を見つけるのがワインの面白さでもある。
また、ワインのラベル（エチケット）はかなり凝ったものも多い。
「エチケットが気に入ったからお気に入りのワインにする」という楽しみ方もアリだし、「やっぱりフランスが好きだからフランスのテーブルワイン」とか、「情熱の赤っていう響きがいいからスペインかな」という選び方でももちろん良い。
ただ、個人的にお勧めなのは、実際にワインを造っている現場を見に行ってそこのワインを飲んでみるという方法だ。
前述したとおり、ワインには作り手の思いが強く入っている。現場を実際に見に行くことによって、ワインの味も深みが増すというものだ。
また、実際に現場を見ると「このボトルの中に入っているのは、以前見に行った畑で出来た葡萄か」と、知り合いの子供を見るような楽しみが増える。

ワイナリーツアーに行こう

しかし、実際に現場を見るといってもフランスやイタリアまで行くのは少しハードルが高い。
安心してほしい。
日本でもワインは作られているのである。
今回は、山梨県の醸造所であり、ワイナリーツアーを行なっている「勝沼醸造株式会社」を紹介したい。

1937年創業。アルガーノブランドやアルガブランドと言ったワインを「たとえ一樽でも最高のものを」という信念のもとに造り続けている会社であり、ワイン造りを多くの人に見学してもらえるよう、ワイナリーツアーも開催している。

こちらのワイナリーツアー、ワイン初心者でも愉しめる仕掛けが多数あり、デートや家族連れでの秋の行楽に大変な人気なのだ。

＜コースは２種類＞
コースは２種類。実際に醸造・栽培に関わるスタッフが案内してくれるスタッフコースと、６種類のワインのテイスティングが出来るテイスティングコースに分かれている。
スタッフコースでは、醸造・栽培に関わるスタッフが一緒にブドウ畑やワインセラーなどを回ってくれる。
我々が食べる巨峰などの葡萄と、ワイン用の葡萄は何が違うのか、どうして果実からアルコールが発生するのかなど、興味は尽きることがない。
お酒が苦手でも、栽培の話に興味がある場合は案外多い。グループの中にお酒が苦手な人がいてもきっと楽しむことが出来るだろう。
ワインセラーは独特の涼しさと湿気があり、我々を非日常へと連れて行ってくれる。
都会の喧騒とは程遠いその中で日常のストレスを忘れるのももう一つの楽しみ方だろう。
それが終わった後は、ティスティングルームにて厳選されたワインを試飲出来る。
ここからはテイスティングコースと同様だ。
スタッフツアーの所要時間は二時間、料金は2000円ととてもリーズナブルだ。
ただ、畑を見るということもあり、常時開催しているわけではない。
ティスティングコースでは6種類のワインテイスティングが楽しむことができ、料金も500円と気軽に楽しむことが出来る。

どちらも予約が必要なので、ツアーに参加する際は必ず電話で確認を取ろう。

実際に葡萄がなっている畑を見学しワインを飲むのと、家で誰かとボトルを開けるのはずいぶん楽しみ方が違う。
その違いを楽しむのもワイナリーツアーの醍醐味とも言える。
知識ではなく、現場から入るワインというのもスタイリッシュな楽しみ方の一つといえるだろう。