おせち料理の“意味“をかみしめて、新年を
あなたは毎年、「おせち」を食するだろうか?
今やおせちは、百貨店やスーパー・コンビニでも販売し、その形も和食に限らず、中華・フレンチなど様々に形を変えているものも多い。
贅沢な方は料亭、旅館・ホテルなどでいただく方もいることだろう。
しかし、おせちもいいけどカレーもね。というCMが存在するように、正月に「おせち」を頂かないという方も少なくないだろう。
お正月の過ごし方は多種多様であるが、初詣に出向いて祈願をするならば、おせちも同様にとらえてみてはどうだろう。
あらためて「おせち料理」に込められた意味を確認してみよう。
おせちの由来
「おせち」は、漢字では「御節」と書き、季節の変わり目(節日)に、「神様に供える料理」である【御節供(おせちく)】が語源とされる。
「御節供」は、奈良時代から平安時代にかけて、宮中行事の節句を祝う「節会:せちえ」という宴の料理の1つであった。
節句には、今で言う「七草の節句:1/7」「ひな祭り:3/3」「端午の節句:5/5」「七夕:7/7」「重陽(菊の節句):9/9」の五節句があり、これらのお祝い料理であった。
式日として1/1の元日は別格とし、やがて“年の初めに豊作と新年の幸福を祈る”という、一年で最も重要な正月料理を「おせち料理」とするようになったとされる。
おせちは、新年を迎える前までに準備をする。
これは、新年に「年神様」を迎える際、“台所を騒がしくしない” ”火の神を怒らせない”など、一定期間、神をまつるにふさわしい「物忌み」と言われる風習からとされる。
そのためにおせちは、日持ちがする料理が中心となっている。
他には、お正月は女性を台所から解放するという意味もあるようだ。
おせちの由来には諸説あるが、「節」その中でも正月を重視し、日本人の大切な祈りや配慮が脈々と引き継がれたことは間違いなさそうだ。
ひとつ一つの食材の意味
おせち料理の食材には、ひとつ一つ意味やいわれがある。
地域によってもいろいろなものがあるが、代表的な料理をピックアップしてみる。
数の子
数の子はニシンの卵で、多くの卵があることから子宝・子孫繁栄の願い。
昆布巻き
「よろこぶ」にかけて、祝いの席には欠かせない縁起物。
黒豆
まめに、まじめに働き、元気で健康に暮らせるように。
きんとん
「金団」と書き、黄金色を財宝に見立て、豊かさ・繁盛を願う。
紅白蒲鉾
半円形のかまぼこは日の出の象徴。
新しい門出として、紅は慶び、白は神聖・清浄を表す。
煮しめ・筑前煮
れんこん、ごぼう、たけのこなど多くの根を張る根菜類を一緒に煮ることで、家族仲良く、末永い繁栄を願う。
海老
腰が曲がるまで丈夫にという長寿の願いと、赤色は魔よけと晴れやかの意。
ぶり
ぶりは成長と共に名前が変わる出世魚であることから、出世祈願
伊達巻
「伊達政宗」の派手好きから華やかさを表す言葉となり、反物(着物)が巻き物であり、掛け軸や書物も巻き物の形であることから、繁栄・文化や知識の発展を願う。
あらためて、ひとつふたつ、縁起ものとしてぜひ食したいと思う。
併せてお正月には、お餅にも神が宿るとされ、「お雑煮」も正月料理には欠かせないものとなっている。
お正月ならではの料理には、前年の収穫物に感謝の気持ちを込め、良き一年を願うという意味があるのだ。
おわりに
おせちは、宮中料理から庶民の料理へと、時代とともに変化してきた。
これからも多様化するだろう。
だから、現代の料理を楽しめばよいと思う。
だが、「おせち料理」に込められた意味や願いは普遍的なもの。
お正月にお寿司やカレーもいいが、一年の大切なはじまりとして、お正月の食事に少しでも「おせち」を摂り入れてみる。
あなたの願いから、1品でもチョイスして、味わってみてはいかがだろうか。
食材を食しながら、その意味をお子さんに伝えるのもアナタの役割だ。