“女磨き”と“男磨き”の違いを探る。
磨く女性達
世の女性達は、自分磨きに余念がない。
我々男性陣にとっては、大変有り難い話だ。
コスメ、ダイエット、ボディメイクにはじまり、しぐさ、趣味、教養…さまざまなジャンルにまたがる。
女性誌や女性向けアプリの豊富さ、SNSでの情報共有力はその証だ。
その一方、我々男性はどうだろう?
女性同様、カラダ作り、趣味、教養、旅行など男性でも多くのジャンルに触れている人は多いだろう。
私自身もさまざまなジャンルに興味がある方だ。
だが「磨く」は違和感を覚える。磨くではなく、逆に「汚している」のはないかと思う場合もある。
「磨く」とはどんな意味だろう?
デジタル大辞泉によると「磨く」とは
1 物の表面を研いでなめらかにする。
2 こすって汚れをとったり、つやを出したりする。
3 念入りに手入れをして美しくする。
4 努力して学問や芸をますます上達させる
5 栄えを増す。光彩を加える出典: goo辞書「磨く」の意味
なめらか、艶、美しい、光彩など女性を連想させる言葉が並ぶ。
やはり男である私には、やはりあまりピンと来ない。
しかし、文章のうち“研ぐ”というキーワードには、目が留まった。
ここにヒントがありそうだ。
“研ぐ”という言葉を見た瞬間。
職人が刀や包丁を研ぐ風景が脳裏に浮かびあがる。こんなイメージだ。
研ぐ彼らの手は決して美しいとは言い難いのだが、そんな“研ぐ手”から生まれた包丁や刀は息をのむほど、美しい。気迫さえ感じられる。
若かりし頃、女性に手が綺麗だと言われたことがある。
彼女は“褒め言葉”として言ってくれたのだが、私はストレートに受け取ることができなかった。
その時の私の気分はかなり複雑だった。
私はその言葉を“研ぐ仕事”を一切していない男と捉えてしまった。
その経験から逆に、汚れがつかない職業を選んだ私だが、どこかで意気地をもって、自分の手がボロボロになろうが、研ぎ済ましてモノを作りたい。と思っている自分がいることに気付いた。
匠に憧れているからこそ、その彼女の一言に傷ついたのだ。
実際、私は、匠達の働く姿を映し出すテレビ番組や雑誌特集には、今でもついつい目が奪われてしまう。
これは、職人だけの話ではない。
自分のカラダと、必要以上にストイックに向き合うスポーツ選手。
クライアントの要求に応えようとする営業マン。
自分の中に持つ美しさを表現しようと、もがく美術家。
研ぐべきポイントを決めて、ひたすら研ぎつづける。
性以外は基本、男は浮気性ではないのだ。
仕事だけではない。
アニメや鉄道などに趣味に没頭するのも、対象が異なるだけで、同じだ。
自分自身の表面を研いで滑らかにするのではなく、火花を散らすほど摩擦がおきても、自分自身をすり減らしてでも“刀”を作りたいのが男の本能なのだ。
私が男磨きという表現に違和感を覚えるのは、そこだったのだ。
だから本当は“男研ぎ”が正しい表現なのかも知れない。
女性のみなさまへ
「仕事と私どっちが大事なの?」という普遍的な台詞がある。
きっと男はこう言うだろう。「比べられない。」
男の“研ぎ”は本能なのだから治らない。対象が仕事/趣味 いずれでも・・・
だが、本命の女性は“研ぎ”の対象には絶対ならない。
研いだ“刀”を最終的に褒めてほしい対象こそが、あなた達、女性なのだから。