来年こそは!寒くても心が温まるスノーマジックを~さっぽろ雪まつり
人ははかないものに、意味をみいだそうとする。
そして、はかなくて消えゆくものからは目を離すことができない。
さて、ここ北海道で究極に“はかないもの”とはいったいなんだろう。
それは雪だ。
気温の上昇とともに、優に1mを越すかたまりも跡形もなく姿を消してしまう。
そんな消えゆく雪に、大きな意味をもたせたもの、それがさっぽろ雪まつりだ。
そこにあるのは、さまざまな形に彩られた雪、そしてそれを見る人々。
溶けない雪像に、心を溶かされる不思議な感触。
そんなアートなスノーマジックを体験してきた。
地元民ならではの「さっぽろ雪まつり」の楽しみかたをお伝えする。
期間と会場について
2016年の今年、開催期間は2月5日から11日までとなっている。
札幌市東区にあるつどーむ会場のみ、さらに18日まで開催されている。
例年この厳寒期の2月にさっぽろ雪まつりは開催される。
会場はこのつどーむ、大通り、すすきのと計3カ所での開催である。
会場ごとに特色があり、それぞれ思う存分楽しめる工夫がされている。
心に刻む?戯れる? 会場ごとに特色がある!
大通り会場
大通り会場は札幌の玄関であるJR札幌駅から至近距離。
周囲にホテルや飲食店が立ち並び、地下鉄も整っておりアクセス抜群だ。
小雪像から大雪像までそろえられ、ステージ上ではイベントも数多く行われる。
すすきの会場
すすきの会場は、さっぽろの歓楽街「すすきの」にある。
氷のアートを目と心に刻みたいなら、こちらの会場だろう。
これほどまでにライトアップと相性がよい場所は、他では探せない。
つどーむ会場
つどーむ会場は、氷のすべり台が設置されている。
そのほか、雪を題材にした様々な体験をすることができる。
大人も子どももアクティブに雪と戯れることのできる、ファミリーにはうれしい会場だ。
雪まつりを見る計画をたてよう!
雪まつりを見ようと計画するとき、まず考えるのは食事をどうするかだ。
厳寒期に戸外で行われるまつりという事情ゆえ、食事でのエネルギー補給は大切な計画のひとつとなる。
雪まつり各会場には様々な食の屋台が出るため、見物と軽めの食事が同時進行できるのもこの“まつり”の特徴だ。
計画するうえで、見物に行く時間帯によりおおむね3つのパターンを把握しておこう。
1.朝の見物
家で朝食を済ませ、わりと早い時間帯から午前中にかけて見るパターンだ。
こちらは午後から別な予定のある人向けだ。
ランチは雪まつり会場内ではなく、付近の飲食店を利用することも多い。
また出発は家族皆でも、まつり会場をあとにしたら解散という図式もこちらのパターンだ。
お互いに用があっても、少しだけ同じ時間を共有できるそんな楽しみ方ができるのが朝の見物のよさだろう。
また朝は、なんといっても人が少ないのがよい。
大きな雪像も至近距離からかぶりつきだ。
この時間帯は雪像の芸術を目に焼き付け、澄んだ冷たい空気に軽く深呼吸しよう。
はかない雪がこれだけの力強さを与えることに感動する。
雪国に住んでいてよかったと思う瞬間である。
2.昼から午後にかけての見物
会場内で飲食をすることを想定して、昼食は食べずに向かう。
1丁目から順に見ていくと、屋台街のある6丁目位で丁度よく空腹に襲われる。
適度に食べると、その先にある12丁目まで満足した状態で見物ができる。
屋台は基本的に温かい、できたての食事が提供される。
公共交通利用であれば、ホットワインで温まってみるのはいかがだろう。
その他、おなかに優しい甘酒、各種お酒、ホットなスープなど大人も子どもも皆で楽しめる飲みものが売られている。
ステージ上では演劇や音楽のイベントなどが、行われており温まった体でそれらをゆっくり見ることができる。
つどーむ会場は小さなお子さん連れのご家族には安心のスケジュールが組める。
家族連れなら、車移動が安心かもしれない。
だが地下鉄駅からシャトルバスも出ており、雪道の運転が不安ならこちらを利用するのもよいだろう。
家族連れに優しい屋内会場も準備されており、飲食は屋内でできる。
この会場のウリである氷の滑り台をおもいきり子どもたちに滑らせよう。
いっぱい楽しんだらその日子どもたちは心地よい疲労からよく眠ってくれるだろう。
3.夜の見物
夜はなんといってもライトアップが目当てだ。
行くのが平日の場合、会場そばで待ち合わせ、見てから一緒に帰るという計画もありだろう。
ライトアップされた雪像は、幻想的な雰囲気に包まれる。
日中よりも混雑するのはしかたがない。
またカップル率も高い。
雪まつりは、実はまだ手をつないだことのないカップルに公然と手をつなぐ理由ができる最高のイベントだ。
滑って転ぶと危ないからね。そう言って片手を差し出してみよう。
夜の食事は会場内飲食である程度済ませよう。
炭火で焼きたての北海道産牛肉、殻つきのホタテ貝、てんこ盛りの焼きうに、とろけ落ちるチーズそれらを食べずして、雪まつりは語れない。
同伴者により、帰りにさらに一杯飲もうという流れになるのも致し方無い。
そんなときのために、すすきの会場は手を広げて待っている。
ちなみにすすきの会場にはアイスバーという特設バーもある。
温かい飲み物で冷える体を温めよう。
雪まつりに参加するための準備とは?
寒さ厳しいこの時期、このまつりを楽しめるかどうかは、服装にかかっていると言っても過言ではない。
薄くて保温効果の高い下着の活用度は高い。
カイロも持つ。
コートから出ている部分、帽子、手袋の着用はもちろんのことだ。
ところで、意外なのが靴である。
実は雪まつり会場内はキレイに除雪されている。
そのため雪に濡れることを想定しての長いブーツなどは特に履かない。
重視する点は靴底だ。
実は会場内の除雪路面が、人が大勢歩くことでさらに磨かれてしまう。
そのため滑って転倒しないため、靴底は特に滑りにくいとうたっている物を選ぶ。
混雑しているときは特に転倒は危険だからだ。
といっても、要所々に警備員の配置がされており、凍結面には砂まきなどの転倒回避対策が行われている。
装備さえきちんとしておけば、見物に集中し楽しめるだろう。
おわりに
さっぽろ雪まつりとは、ただ雪を形づくっただけの“まつり”ではない。
大人数でワイワイと。
口数の少なくなったご夫婦は久しぶりのデート気分。
お子さんのいるご家族は、家族みんなの一体感を深める。
つきあいたてのカップルさんは、さらに仲良しさんになる。
もちろん、独りでもふらっと立ち寄って、いずれ消えゆく芸術に静かに思いをはせる。
地元民にとって雪はやっかいな要素が多いものだ。
連日の雪かきや天候悪化による交通の乱れなどでテンションのさがるこの時期。
しかし人の手で丁寧に作り上げられ、命を吹きこまれた雪の像。
「キレイだったね。また来年も行こうね。」そう頬を寄せあって言いあえるイベント、それがさっぽろ雪まつりだ。
天から落ちてくる白い雪。
まるで妖精の涙のようなその雪を、手のひらですくい命を吹きこむ。
見る人の表情に自然な笑顔をもたらすさっぽろ雪まつり。
未体験のあなたにも、ぜひその感動を味わってほしい。