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【伊藤由美さんインタビュー】“粋”の美学とは、さり気なく、さらりとできるか?ということ

男性に大切なのは「想い」

伊藤由美さんは銀座でも一流のお店「クラブ由美」を経営されていて、多くの男性を見てこられています。その経験のなかで男性に必要なことは何だとお考えでしょうか?

やはり、「想い」しかないのではないでしょうか。仕事に対する「想い」。「覚悟」「情熱」と言ってもよいかもしれません。
そのひと言に尽きると思います。最近の人たちは熱意がないからやる気も起らない。自信もなければ夢もない。
そんな男性が多いから現状維持を望む社会になったのではないでしょうか。
やはり、仕事に対して「想い」がないと成功はあり得ません。それはどんな仕事でも同じです。
ひとつのことを成し遂げている人は、長く続けられる意志の強さと決意がある。だから成功できるのです。

想いのある人とない人は分かるものですか?

分かりますね。内に秘めた想いは見た目ではわかりませんが、お話しをすれば分かります。
芯の強さや、『自分はこうなりたい』という夢や信念。それから人生観。
そういう「想い」を持っていらっしゃらない方は、易きに流されて、単純に『なんとかなるさ』と考えていらっしゃる。
それは悪いことではありませんが、やはり、成功されたいのなら、不熱心では無理かと思われます。
たまたま運よく成功者になれたたとしても、それは本当の意味での「成功」ではありません。
「運」と「成功」は自分の手で掴み取るものです。そして、チャンスの神様が来ると必ず掴み取り離しません。そうでない人は見逃してしまう。『あれ?どこ行っちゃったのかな』と(笑)。

耳が痛いお話です。

世の中の皆さんはうわべしか見られない人もいます。そこにある背景まで見ようしない。うわべでしかものを考えられない人は、「運」とは出合えません。

由美ママのお店に来るお客様は成功者ばかりなのでしょうか?

成功されている方は多いですね。私はこのお店を始めて35年が経ちます。いろんな方を見てきたなかで成功できた人とデキない人の何が違うのかと言うと、ちょっとした差だと思います。
気遣いだとか、人に対する思いやり。人としての可愛らしさや素直に謝れることができる人など…そんなところから随分と違ってくるんですね。
やはり、片意地張って、プライドばかりが高い人、「俺が謝れるか」という方は損なさいますね。

気遣いが大切とのことですが、気遣いできる人とできない人の差はどう違うのでしょうか?

気遣いができる方は相手の気持ちがわかります。
でも、世の中には様々なタイプの方がいて、いつも気遣われるのが当然のような方は、上から目線で人に対する気遣いができない方もいらっしゃいます。

気遣いすることで自分に返ってくる?

たとえ気づかれなくても、世の中はギブ&テイクです。
人間関係での一方通行はありえないと思います。自分に返って来なくても、世のため人のためになれればと、陰徳を積むようなものですね。

人から学んで日々、勉強

由美ママはお客さんのことを忘れない。記憶力の達人とか?

マスコミでは記憶力の達人とされていますが、達人たる所以はやはり、覚えようという気持ちがなせる業です。
私はお名刺を頂いたら、まずお客様のお名前を文字ではなく、画像として記憶します。
そして、相手のお名前の上にお話しした内容を貼り付けていきます。エピソードを感情が絡んだ「情動記憶」に換えるのです。
ご家族とか、お好きな歌や趣味などをインプットします。すると、次にお会いしたとき、前回のお話し後の記憶に巻き戻せます。

名前にいろんな情報を肉付けしていくんですね。それで覚えられるものですか?

もちろん、帰宅後に復習します。さらにお客様にお手紙を書き、その内容にもお店お話しした“ひと言”を添ます。
そうするとお客様にも自筆で書いているということがわかっていただけます。
なぜ自筆にこだわるのかは、『どうせ、誰かに書かせているんだろう』と思われることが多く、『毎日ブログも書いて、メルマガも書いて、連載も持っている。そんな時間があるはずない』と。
でも、私は朝早くに起き、ブログも連載も手紙もすべて自分自身で書いています。たとえば、「プレスリーの声とそっくりですね!」と添えるだけで、お客様は、あの時のシーンを覚えてくれていると喜ばれます。
次に見えられたとき、「また、プレスリー」をとお話ができる。そのお客様が1年後、2年後にいらっしゃっても前回のお話の続きができるのが、まさしくプロだと思います。

1回、手紙を書くだけで覚えられるものなのですか。

覚えてから間を置かずにすぐに“書く”。早い時期に反復し、復習する。それが“由美流記憶術”です!

そこの差なんですね。

人に関心をもつことは大切だと思います。相手を知りたいという好奇心がなければ、このお仕事は成り立ちません。私は決して話し上手ではありませんが、お客様に合わせたお話で、お客様の良いところやお好きなことをお聞きしてお話しさせていただいた方が、会話は続きます。

18歳から銀座で活躍されていて、それでもまだ日々勉強だと。

そうですね。日々、人との交わりの中で感性を磨き、出逢った方々の教養や優しさ、懐の深さ、“粋”な所作など、その方の立ち居振る舞いから『自分もこうありたいな、こうできたら』と思います。
若い頃は、「想い」が強すぎるゆえに、一意専心と、ただひたすら我が道を突き進んでおりました。

ご自身も変わって行かれたのですね。

私は名古屋から銀座に大いなる夢を抱いて上京しました。最初はただ生きることに精一杯でしたが、でも、歳を重ねるごとに人としての幅が広がり、物事の見方も変わりました。
まず、自分に力をつけないと人には優しくできないし、人のために生きることはできません。
日々、鍛練し内面を磨きたく、さまざまな経験や勉強をしました。
その努力ゆえに、お客様から認めていただけるようになり、素晴らしい方々との交流や人脈を増やすことができました。それによって今度は、私がお客様にいろんな方をご紹介できるようになりました。

伊藤さん自身もギブ&テイクとして、人を紹介されているのですね。

恩義に報いられればとの想いですね。
お客様同士で突然、お声をかけることはできません。そこで私が橋渡しをすることで、交流が生まれることもあります。
ただし、大切なのは人間性です。オーラのある方というのは自然と人を惹きつけます。
一方、お金が好きな方は、その欲望が顔に出てしまい、品格に欠けてしまいます。自分に余裕がある方は、まず相手に敬意を表し、人柄を見られます。

欲望をむき出しではいけないわけですね。

物欲は足るを知れば必要ないかもしれません。が、欲しいものは自分で手に入れないと価値はありません。人から与えられても、自分が欲しいものでないと満足感は得られません。自分が選んだ道、自分で勝ち得たものなら、その過程で失敗したとしても納得できる。命ある限りやり直しはできると私は思っています。

お酒はスタイリッシュに飲むもの

由美ママは長い間、一流の方々と接してこられたわけですが、今でも『この方はすごいな』と思うことはありますか?

毎晩すごい出逢いばかりです(笑)。少しでも吸収し学びたいと思います。ですから、心を掴めるよう好みを覚えて気に入っていただけるように頑張ります。大成功されている経営者の方でも、おちゃめなところを発見すると、その人柄のフランクさに『さすが!』と思いますね。
ちょっとした仕草や人に対する接し方、お酒の飲み方ひとつにしても、自然と周りを和ませる人間力にあふれていらっしゃる。そして、誰からも好かれて人気がある。だから人もお金も成功の神様も付いてくると思いますね。

お酒の飲み方は大切ですか?

基本的に酒癖の悪い人はダメです。普段のストレスをお酒で晴らそうとするのは大間違いです。やはり、お酒は“酒品”を保ち、“粋”にカッコよくダンディズムに飲むものです。

銀座のクラブで働くのも大変なように思います。

確かに、若いうちはちやほやされます。でも、“若さ”を自身の魅力と勘違いして、自分を見失ってしまう子もいます。思慮が足りない子は謙虚に振舞えない。次第に『この子は性格や育ち悪いのかな』と思われます。一方、賢い子は自分から積極的にお客様の好みに関心を持ち、覚えていただけるよう一所懸命に努力します。よい環境に身を置くことでどんどんセンスが磨かれ、レベルアップしていきます。そうすると上質のお客様に好かれるようになります。昭和っぽくカッコ悪いと思われがちですが、「努力」しか成し得ません。
──いや、とても格好いいと思います。
お客様の「人間力」のお話しをさせていただきましたが、私たちも人間力しかありません。人としてのパワーや気風、さらに心意気をご理解いただいたうえで応援いただく。要は自分のファンになってもらうのです。

サロンで男を磨いて“粋”になる

由美ママはどうしてそんなにパワフルなんでしょうか?

それは「想い」があるからですよ。
銀座の美学を維持するためには私たちが頑張らないといけない。
そうしないと今後「銀座」という文化もなくなってしまうと思うんです。

男として銀座のクラブで飲むことは憧れます。でも、10歩くらい引いてしまう(笑)。

引かなくてもいいですよ(笑)。ただ、銀座のクラブはお酒を飲む場、というよりサロンですね。上質で気の合った方々が人脈を広げられる場。毎日こられる方もいますが、1年に1回という方もいらっしゃいます。

男にとってサロンは必要?

サロンは男を磨くところだと思います。
やはり、自分を成長させようと思われるなら、目上の知的な男性に学ぶしかないと思うんです。
独自の美学とダンディリズムをお持ちの方から、遊び方を学びたいというお客様もいます。
ただし、自分に財力や地位がなければ学べないのですが、だからこそ、『頑張ろう』という方は多いですね。『いつか銀座で飲みたい』と。

由美ママにとって、“粋”とはなんでしよう?

着こなしとか立ち居振る舞いじゃなくて、「一流」だということが大切だと思います。
一流の方は周りへの気配りや礼節を重んじます。そういった人生に対する姿勢とか心構えが本当の意味での“粋”だと思います。
「オシャレだから“粋”」というのも確かにあると思います。けれど、やはり内面ですね。

“粋”な人になるにはどうすればいいのかと考えます。

私が思うに、繰り返しになりますが、人への心配り、気配りに尽きると思います。「皆さんのおかけで私はある」そう思えるか?あと、「何かの役に立ちたい」そういう想いを持つことではないでしょうか。
「役に立つ」というのは、どうも白々しく感じてしまいます。
違うんです。自然とできる人はいるんです。
本当に人のために努力を惜しまない人というのはさりげなくありませんか?それが“粋”だと思います。
だから“粋”の美学というのは、さらりとできるか?ということだと思います。決して恩着せがましくするのではない。その違いだと思います。

伊藤由美(いとうゆみ)
東京生まれの名古屋育ち。銀座「クラブ由美」オーナーママ。
18歳で単身上京、クラブ「紅い花」に勤務。その後、19歳で「クラブ宮田」のナンバーワンに。さらに22歳で勝新太郎の店「クラブ 修」のママに抜擢される。1983年4月、23歳でオーナーママとして「クラブ由美」を開店。
「シャンパーニュ騎士団」よりフランスの芸術文化勲章オフィシエ(将校)を女性経営者として初叙任。
女優の杉本彩さんが理事長を務める「公益財団法人動物環境・福祉協会Eva(エヴァ)」の理事も務め、動物愛護活動をライフワークとする。
著書に『スイスイ出世する人、デキるのに不遇な人』『銀座の矜持』(共にワニブックス)、『粋な人、無粋な人』(ぱる出版)、『記憶力を磨いて、認知症を遠ざける方法 銀座のママと脳神経外科医が語る、記憶の不思議とメカニズム』(ワニ・プラス)などがある。

粋な人、無粋な人/自分では気づかない恥ずかしいこと
伊藤由美

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