ポストモダン建築の牽引者。 世界各国で活躍する建築家・磯崎新の作品を観る。
世界的に有名な建築家・磯崎新。
直近では新国立競技場への言及で話題となった、日本を代表する建築家の一人である。
機能性を追求した近代モダニズム建築を批判し、装飾性を重んじた”ポストモダン建築”の牽引者。
日本のみならず、世界中に作品を残しており、建築世界において多大なる影響を与えた。
最近で隈研吾や安藤忠雄などの名が挙げられているが、建築を語るのであれば磯崎新は決して外せない。
現在に至るまで、彼がどのような”証”を築いてきたのか。
今回は、その入り口となれたら幸いである。
【茨城】水戸芸術館(1990)
水戸市の市政100周年を記念してつくられた施設。
1辺9.6mの正三角形を組み合わせて築かれた奇形なタワーがランドマークとなっている。
その辺りは芝生が取り囲むように広がっており、市民の憩いの場としても親しまれているようだ。
しかし、驚くのは外観ばかりではない。
エントランスに入れば、大きなパイプオルガンが出迎えてくれるのだ。
コンサートホールにもなる芸術施設。
ライブイベントも行われているようなので、チェックしてみてほしい。
ちなみに、タワーは登ることができるので旅の思い出づくりにもオススメである。
【山口】山口情報芸術センター(2003)
劇場、図書館、映画館、レストランなどからなる複合施設。
全長約170mの横に長い建物で、屋根が波打っているのが特徴的。
そのデザインから、”ビッグウエーブやまぐち”という愛称で親しまれている。
アートと社会を結ぶメディアの実験場と位置づけており、連日ワークショップが開催されているが、工事はとにかく難航したようだ。
2003年には山口市長選挙の影響で中断、2004年には台風18号が直撃して屋根が損壊。
数々の壁を乗り越えて、現在の『山口情報芸術センター』があるのだ。
当時の磯崎新がどのような心境だったのか。
実際に訪れた際に想像してみてほしい。
【岐阜】北方町生涯学習センターきらり(2005)
岐阜県営北方住宅内。
磯崎新を総合コーディネーターとして迎えてつくられた市民施設。
生涯学習センターと建築情報センターで成っており、最大500人を収容できるホールが併設されている。
ポストモダン建築を牽引した磯崎新のこだわりを垣間見れるのは、外観の特徴だ。
鉄筋コンクリート造による”くねくね”とした屋根がシンボルマークになっており、自由曲面シェルという構造を採用している。
滑らかな曲線をじっと見つめていると、精神が和らぐような、そんな感覚を抱けるはずだ。
おわりに
これまで数多くの建築作品を残してきた、磯崎新。
最も古いものだと、1957年に建てられた東京都新宿区の『新宿ホワイトハウス』がある。
それ以降、生まれの大分県を中心に様々な建築に携わってきたが、現存していないものも多い。
現在は間近で見られる作品も、いつかは見ることができなるかも。
そう考えると、磯崎新はもちろんだが、名だたる建築家の著名な作品を今の内に自身の目で見ておきたいものだ。