神の息遣いを感じる。 東大阪・生駒山に佇む、”石切劔箭神社 上之宮”。
大阪府と奈良県にそびえる生駒山。
その山中に佇むのが、石切劔箭神社(通称:石切神社、石切さん)である。
県外の人が関西地方を訪れて、まず立ち寄らないであろうマイナーな場所。
しかし、その歴史は古く、700年前の足利時代には既に記述が残っているほど。
“病気平癒”のご利益があるとされ、昔から大阪の庶民に親しまれている。
今回は、そんな石切神社をご紹介するが、今回は、”上之宮”に焦点を絞ってみようと思う。
生駒山を下った場所にあるのが石切劔箭神社の”本宮”。
しかし、実は、生駒山を登った中腹にも神社がある。
その場所こそ”上之宮”で、所在を知る者は少なく、すれ違う人も数人ほど。
自然と一体化した、まさにパワースポットと呼ぶに相応しい雰囲気である。
一目散に本宮に足を運ぶのではなく、まずは上之宮から巡るのがオススメ。
一人散歩スポットにピッタリなので、是非とも足を運んで頂きたい。
歩きやすい靴でのお越しを。
石切神社の最寄駅は、「石切駅」。
奈良と大阪難波を結ぶ、近鉄奈良線の駅である。
南出口を出れば、大きな鳥居がお出迎え。
地図を見れば分かるように、
石切駅から、近鉄東大阪線「新石切駅」に向かって下れば本宮。
生駒山を登っていけば、上之宮がある。
山登りほど険しくはないが、坂道がずっと続く。
別段こだわらなくても良いが、歩きやすい靴の方が無難だ。
ちなみに、上之宮をさら超えて登っていけば、生駒山上にも続いている。
ハイキング目的で訪れるのもオススメ。
山頂に行けば、夜景でも有名な大阪の街並みを見下ろせるパノラマビューを見られる。
途中にあるのが、”爪切地蔵”。
小ぢんまりとした社の中には、大きな岩があり、仏の絵図が刻まれている。
言い伝えによると、弘法大師が一夜にして爪で刻んだという。
室町時代の作品とされ、以来、ずっと生駒山を見守っているのかもしれない。
爪切地蔵を超えれば、上之宮もすぐ。
“石切神社上之宮”と書かれた鳥居、ずっと上に続く石段が待ち受ける。
現在は、生駒山を下った場所にあるのが本宮。
しかし、もともとは、この上之宮が本元だったと言われている。
明治時代初期に廃止となり、昭和46年に再興された。
とはいえ、創建時期すら分かっておらず、謎のベールに包まれた場所なのだ。
階段を上がれば、社が見えてくる。
石畳の道、社と一体化した木々、背後の生駒山が相まって、ひんやりとした雰囲気が漂う。
聞こえてくるのは風になびく、草木の擦れる音だけ。
思わず深呼吸してしまうほどに、気持ち良い空間が広がる。
社の入り口付近にある、”百度石”。
本殿前でお参りし、入り口に戻り、再び本殿前でお参りする。
その所作を100回繰り返すと願いが叶うとされる”お百度参り”のために置かれた石だ。
上之宮はもちろんだが、現在の本宮にもあるので、一度試してみてはいかがだろうか。
公式HPによると、決して100回でなくてもいい。
大切なのは、「自分の想いが神様に届きますように」と一心にお参りする気持ちである。
敷き詰められているのは、白い砂利。
なんとも美しく、そして、神々しい光景だろうか。
坂道と石段を登って疲れた体、まずはここで一息ついてもらいたい。
上之宮、その奥へと進む。
上之宮の面白いところは、本殿からさらに奥へと道が続いていること。
3つの社、小さな滝、小さな池がある。
重々しい石段を上がる。
細い道を抜けた先にあるのは、小さな滝。
修行のために使われるのだろうか、聖域な場所なのは間違いない。
また、滝の水が流れる先には、御礼池がある。
小さな子亀を模した陶器が置かれていて、本宮にある水神社にて祈願した事柄が叶ったとき、この御礼池で”御礼亀”を放つのが習わしなのだそうだ。
ミステリアスな”八代竜王社”。
上の社の散歩。
最後を飾るのは、”八代龍王社”だ。
釈迦の眷属(けんぞく)のひとつである、八大竜王が祀られている。
しかし、石切神社との関係性は不明。
大阪の街を生駒山から見守るためなのか、はたまた、その他の由縁があるのか。
いずれにせよ、八代龍王社には、まさしく神が宿っているかのような雰囲気が漂う。
この場所に立ったとき、あなたはどんなことに想いを馳せるのだろうか。
おわりに
上之宮を参拝したら、今度は本宮へと足を運ぼう。
石切駅から本宮までの参道は約1km。両脇には食堂、土産物屋、漢方薬専門店などが立ち並び、休日は多くの観光客が訪れている。
なかでも有名なのが、占い屋だろう。
軒並み続く占いの看板に少々臆してしまうが、占いの名所として有名なのだ。
上之宮からの本宮参拝。
森林浴と神々の息遣いを存分に味わい、気分もリフレッシュ。
関西観光の折には、散歩やハイキングがてらに足を伸ばして頂きたい。