広い空を臨める 癒しのスポット。『東京大神宮』は、都会の喧騒を忘れられる小さな森だった。
各線「飯田橋駅」から徒歩8分。
ビルが連なる街並みを歩いていると、『東京大神宮』に茂る木々が見えてくる。
縁結びのパワースポットとして知られているが、それはひとつの顔に過ぎない。
ほっと一息つきたい、広い空が見たい、企画やアイデアを練りたい。
そんな一人の時間を過ごすのにピッタリの都会のど真ん中にぽっかりと空いた憩いの場なのだ。
「東京のお伊勢さま」と大昔から親しまれている東京大神宮。
今回は、その魅力をご紹介しよう。
東京で叶う、お伊勢参り。
明治13年に建設された、東京大神宮。
日本国民の総氏神である”天照皇大神”、農業・諸産業・衣食住の守護神”豊受大神”が祀られており、いずれも三重県伊勢市にある『伊勢神宮』の御祭神と同じ。
東京大神宮に参拝すれば、伊勢神宮に参拝したと同義になることから、「東京のお伊勢さま」と称されている。
建造されたきっかけは、江戸時代に流行した「お伊勢参り」。
人々にとって、伊勢神宮に詣でることは生涯をかけての夢だったそうだ。
しかし、首都・東京から足を運ぶのはなかなか難しい。
そこで、「東京にいながらも、お伊勢参りができるように」と明治天皇が伊勢神宮の遥拝殿(※)創建を促した。
最初は、『日比谷大神宮』として日比谷に鎮座していたが、昭和3年の関東大震災の影響で現在の飯田橋に移動。
戦後は社名を『東京大神宮』と改め、今に至る。
遠方からでも、参拝したと同じ効果・ご利益が得られるように作られた場所のこと。
ちなみに、東京大神宮は『東京五社』のひとつ。
明治神宮、靖国神社、日枝神社、大國魂神社に並ぶ、格式高い神社である。
参拝が目的ではないとはいえ、訪問時は手を清めてから鳥居をくぐろう。
都会に佇む小さな森で、喧騒を忘れる。
東京大神宮の敷地は、正直そこまで広くはない。
しかし、立派な大木が立ち、緑が生い茂る様は、まさしく都会のオアシスだ。
例えば、参道の脇に流れている小川。
メダカやドジョウが泳ぐほど清らかで、夏には蛍の舞う姿も見られるらしい。
まるで小さな森のようだが、神社の係員自らが「訪れる人たちの憩いの場になってほしい」と、日々手入れを行っている。
また、参道から少し外れた場所には、木々に囲まれた空間がある。
冬場は流石に肌寒いが、夏場は良い避暑スポットになるだろう。
企画立案に煮詰まったときに足を運ぶもよし、仕事モードを解除するもよし。
気持ちの良い空気を思いっきり吸い込んで、心身ともにリフレッシュしよう。
鎮守の森に浮かぶ、キャンドルの灯火。
東京大神宮では、毎月17日にキャンドルナイトを催している。
創建日にゆかりのある17日を縁日とし、国家の繁栄と国民の幸福を祈願する『月次祭(つきなみさい)』を行っているのだ。
日没頃から21時頃までとなるが、キャンドルの優しい灯りに照らされた参道は幻想的。
昼間以上に、神々しい東京大神宮を楽しめるだろう。
また、『十七日寄席』と銘打った落語も開催。
芸能にゆかり深い『飯富稲荷神社』にあやかってのことだ(入り口付近にある)。
ちなみに、不世出の名優と謳われた歌舞伎役者、9代目市川團十郎が信仰を寄せていたとも知られている。
落語の席は、毎月16日12時までの先着順で申し込み可能。
最近は落語ブームなので、機会があれば楽しんでみてはいかがだろうか。
おわりに
東京大神宮は、神前結婚式の発祥としても知られている。
明治33年、当時の皇太子殿下(後の大正天皇)がご結婚の礼を行ったことをきっかけに、一般の人々にも普及していった。
つまり、日本で初めて神前結婚式が行われた場所なのだ。
そんな背景も相まって、現在では多くの女性が”良き出会い”を祈願するため連日のように訪れている。
早朝は、気持ちの良い朝日を浴びながら、透き通った美味い空気を味わってほしい。
また、西日に照らされた本殿が美しい、夕暮れ時もオススメ。
早朝よりも人は多いが、仕事の合間に、ほっと一息つくのも良いだろう。
飯田橋~九段下周辺に訪れた際は、是非とも足を運んでもらいたい。