乱用禁止!女性がシェリー酒を飲んだら「今夜はOK」のサイン?
花言葉のように、酒にも「酒言葉」があるのをご存知だろうか。
たとえば、スクリュードライバーは“心を奪われた人”、モスコミュールには“仲直り”という意味があったりする。
そして、酒は大人の嗜好品として古くから歴史があり、男女の色恋に関係する酒言葉も多い。
なかでも興味深い酒言葉が「シェリー酒」について。
同席する女性がBARでシェリー酒をオーダーしたとき、または男性が女性にシェリー酒を勧めて断られなかったとき、“あなたと今夜は一緒に寝たい”といった意味があるとか。
しかし、シェリー酒の原産国・スペインではこのような酒言葉は知られていない。昭和の後期に日本で洋酒が物珍しかった頃、粋な男女が遊び心で言っていたというのが一説である。
介抱してほしい、が正解
シェリー酒は飲みやすいわりにワインよりもアルコール度数が強いため、つい飲み過ぎてしまい気がつけば酔いが回ってノックダウンする人もいる。
このことから、「女性が自ら強い酒を飲む=酔っぱらったら介抱してほしい」という“こじつけ”があり、酒場で遊ぶ男女の色恋が生んだシャレだったのかもしれない。
それが転じて、シェリー酒を勧めて女性が飲んでくれれば“今夜はOK”のサインになったのではないかと。
つまり、そばにいて介抱してほしいという意味合いになる。
さらに、女性から「シェリー酒を飲んでいい?」と聞かれたときは、「あなたと今夜は一緒に寝たい」という逆パターンもあるようだ。
また、「女性は酒を飲むと直ぐに酔う」といった社会通念が昔の日本にはあり、そうしたことも含めて「酔いたい気分=今夜はOKのサイン」と解釈されてきたのだろう。
マンガやドラマの影響も大きい
シェリー酒の酒言葉が広く知られるようになったのは、漫画「レモンハート」の影響が大きいと思われる。レモンハートはBARに訪れる人の人間模様をマスター主観で描いた漫画。
昭和61年に連載が始まり、2015年には中村梅雀さん主演でドラマ化もされ、第3話(10月19日)でシェリー酒の酒言葉も登場している。
常連の男性客(松ちゃん)が取引先の女性をBARに連れてきて、その女性は何かを覚悟した雰囲気で2杯目にシェリー酒のティオペペをオーダーする。
「ねぇ私、シェリー酒を飲んでもいい?」
そう聞かれた松ちゃんは「どうぞ、飲んでください」と気さくに返答する。
女性がシェリー酒を一口飲んだあと、松ちゃんにこう聞く。
「今夜の予定は?」
すると松ちゃんは「家に帰って寝るだけです」と笑って答えた。
それを聞いた女性は激怒し、松ちゃんの頬をビンタして店を立ち去るのであった。
状況を理解できない松ちゃんはマスターに尋ねた。マスターは困った顔で松ちゃんにシェリー酒の酒言葉を教えてあげる。
「シェリーを女性が飲みたいと言ったときは、今夜は一緒に寝てもよいという意味なんです」と。
松ちゃんは「えーっ」と驚き、彼女が怒って帰った意味を理解する。そばで見ていた常連客(メガネさん)が、「酒言葉に精通した女性はなかなかいない」と締めくくられる。
そして、この回ではシェリー酒に乗じてポートワインの酒言葉も登場する。
ポートワインの酒言葉は“愛の告白”という意味があり、男性が想いを告げるときにポートワインを女性に勧め、飲んでくれたら両想いという通説がある。
そのことを聞いた松ちゃんはポートワインを女性に勧め、すべて飲み干したのでOKだと思ってホテルに誘ったが頬にビンタされてしまう。
相手の女性はポートワインの酒言葉を知らず、ただ美味しかったから飲み干しただけ。「そもそも酒言葉を知っている人のほうが少ない」という結末で物語は終わる。
男女の色恋で酒言葉を嗜む
レモンハートの松ちゃんのように、相手の女性が知らなければ酒言葉は雑学に過ぎない。
シェリー酒にしてもポートワインにしても、酒言葉を応用するときには“前振り”が必要になる。
たとえば、ワイン好きの女性がいたら、こんな感じでセッションしてみよう。
♀「それ何?」
♂「スペインで限定生産されている白ワインだよ」
♀「おいしいの?」
♂「飲みやすいけどアルコール度数が高いワインだよ」
♀「試しに飲んでみようかな」
♂「ちなみに、シェリーには酒言葉があるんだよ」
♀「酒言葉?」
♂「女性がシェリーを飲んだときは“今夜は介抱して”って意味があるんだって。度数が高いワンだから酔っぱらったら介抱してね、ってこと」
その女性があなたのお気に入りなら、どんな反応を示してくるか楽しみだ。
「じゃ、飲まない」と言われたらショックも大きいだろうが、そんな前振りを聞いたあとでも「飲んでみようかな」と言ってきたら“脈あり”と思っていいのではないだろうか。
酒言葉で意中の相手に気を確かめてみるのも大人の粋。
ワイン好きの女性は多いし、たまにはBARで酒言葉を嗜むのも悪くない。
ただし、うんちく話で煙たがられるのはご用心。スマートに話を運んでこそ紳士というもの。
サラッとフランクに話して、大人の品や雰囲気を損なわないようにしよう。