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都会の真ん中で深呼吸してみない? 音・風・光が織りなす、根津美術館の美しい庭園の魅力。

根津美術館は、芸術に疎くても楽しめる。
その最大の理由は、日本の情緒を感じられる美しい『庭園』があるからだ。

美術館という言葉を聞くと、どうしても小難しいイメージを持ってしまう。
しかし、根津美術館に関しては例外。
敷地の大半を占める広い庭園は、都会にいることを忘れさせる。
メインは展示品ではなく庭園だと言わざるを得ないほど、四季折々の日本の風情を感じられる空間なのだ。
訪れた際に注目して欲しいのは、音・風・光の3つ。
これらのポイントに沿って、根津美術館の魅力をご紹介しよう。

入館口までの石畳に、心地よい”風”を感じる。

各線「表参道駅」から徒歩数分。
ブランドショップが軒並み続く道を抜けた先に、根津美術館はある。
表参道ならではの、華やかな雰囲気から一変。
門をくぐれば、竹藪に包まれた、石畳の異世界が広がっている。

漆黒の石畳は、あなたを美術館の入り口へと誘う道。
外の現実を遮るように生い茂る竹藪も相まって、ゆっくり歩みを進めるたびに、都会の感覚が徐々に失われていくはずだ。
また、吹き抜ける風も心地よい。
表参道駅から歩いてきたときに火照った頬をじんわりと冷やしてくれる。
笹の擦れる音も風情があって美しく、夏は涼しさを感じられることだろう。

鹿威しの”音色”に、日本の風情を感じる。

冒頭でもお伝えした通り、根津美術館の庭園はとても広い。
休憩しつつ、ゆっくりと巡れば、軽く1時間~2時間は経つだろう。
館内と違い、庭園は撮影OK。
趣ある景色を是非とも写真に収めてほしい。

1階の庭園口を抜け、階段を降りていく。
ただ散歩するだけかと思いきや、所々に仏様をはじめとした貴重な展示物が並ぶ。
自然と見事に調和した哀愁漂う姿に、自然と手を合わせてしまうほどだ。
また、庭園の真ん中には、小さな池がある。
耳を澄ましていると、どこからか「カッコン」という音が。
辺りを見渡すと、茶会用の日本家屋の脇に”鹿威し(ししおどし)”を見つけた。
日本庭園ならではの、趣ある空間演出に欠かせない音色だ。

さらに奥に進めば、道中にひっそり佇むベンチがある。
近くに流れる川のせせらぎ、遠くで鳴り響く鹿威しの音を背中に感じられるので、是非とも休憩してもらいたい。
また、深呼吸するなら、ここがベストスポット!
澄んだ空気がとても美味しい。
近くに小さな滝があるので、もしかしたらマイナスイオンが出ているのかも?
表参道という都会の観光地のど真ん中とは思えない空間である。

冬は少々肌寒いが、夏は絶好の避暑地になるだろう。
また、春は近くの山桜が咲き誇り、秋は彩り豊かな紅葉を観られる。
四季折々の自然の移り変わりを、根津美術館で感じるのもいいかもしれない。

温かな日差しの”光”に包まれたい。

庭園の池や川の流れを堪能したら、ゆっくり本館へ戻ろう。
その道すがら、上り階段の途中にあるベンチで一息つくのも気持ちが良い。

日当たり良好。
天気が晴れなら、大寒の冬でも暖かい。
また、高台にあるので眺めもいい。
のんびり日向ぼっこをしながら、庭園を見渡してみてはいかがだろうか。

ここまでくると、川の流れや鹿威しの音は聞こえない。
その代わり、色んな鳥のさえずりを鑑賞することができる。
運が良ければ、大きな羽を広げた”シロサギ”の姿を見かけられるだろう。

庭園の外周にも魅力あり。
まず、大小2つの鳥居が構えられている『天神の飛梅祠(てんじんのひばいし)』。
天神となった”菅原道真”の姿を表した、渡唐天神像が祀られている。

そこから左方向へ道を下ると、見えてくるのは『薬師堂の竹林(やくしどうのちくりん)』。
“宝形造(ほうぎょうづくり)”という、正方形の建築様式が用いられている。
澄んだ空気、背景の竹林、笹の擦れる音しかしない静けさが見事に調和した空間。
竹林の間に射す木漏れ日と共に、その美しさを体感してほしい。

庭園内に併設された、リーズナブルなカフェ。

開館時間は、朝の10時。
カメラのシャッターを切りつつ、ゆっくりと庭園を廻れば、次第に小腹が空いてくるはずだ。
そこでオススメなのが、併設された『NEZU CAFE』。
壁面の大部分をガラスが占め、庭園内の自然を眺めながら食事ができる。

写真は、B.L.Tサンドイッチ。
このボリュームで、1,000円ぴったり!
そのほか、『本日のパスタ(\1,000)』『ミートパイ&サラダ シングル(\800)』『ホット・アップルパイ ベリーソース添え(\850)』『NEZUブレンドコーヒー(\650)』と、いずれもリーズナブル。
もちろん、味は本格的で満足すること間違いなしだ。

おわりに

今回は庭園にフォーカスを当てたが、館内の展示も見逃せない。
東武鉄道の社長などを務めた、実業家・根津嘉一郎(1860~1940年)。
彼が生涯を通して集めた日本・東洋の古美術品コレクションを、保存・展示するために作られたのが根津美術館だ。

紀元前、室町、桃山、江戸など、大昔から愛でられた鏡や屏風、振袖。
今もなお息づく、日本の歴史をそこに感じることができる。
館内案内用の音声ガイドもあるので、根津美術館の魅力を深く感じたいのなら、ぜひ利用してほしい。

根津美術館を廻る順番は、庭園→カフェ→館内がオススメ。
展示ブースから先に鑑賞するのがベターだが、それに従う必要はない。
他のお客さんが展示品を眺めている間に、あなたは誰もいない庭園をゆっくり散策しよう。
平日・休日、共に客入りは多め。
画像投稿アプリ『Instagram』の影響で、外国からのお客さんも多い。
とはいえ、朝方は比較的空いているのでオススメだ。
根津美術館の庭園の真髄は、静けさの中にあり。
是非、開館時間を狙って足を運んでみよう。

■根津美術館
住所:〒107-0062 東京都港区南青山6-5-1
電話:03-3400-2536
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日・展示替期間・年末年始(月曜日が祝日の場合、翌火曜日)
http://www.nezu-muse.or.jp/
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