神仏の仕業か? 日本に点在するミステリアスな巨石・奇石
その重量感の奥に、どのような歴史が潜んでいるのか。
日本中に点在している、巨石、奇石。
未知なる力と考えざる得ないような、不思議な石が数多く存在している。
ただの石だろう、と侮るなかれ。
その様を目にしたとき、あなたはその場に立ち尽くし、何らかの力を感じるはずだ。
今回は、そんな巨石・奇石のなかでも特に奇怪なものをピックアップ。
この夏、一風変わったミステリーツアーに出かけてみてはいかがだろうか。
【茨城】太刀割石
茨城県、堅破山。
ハイキングコースとしても人気な花貫花園県立自然公園内には、数多くの奇石が点在している。
不動石、手形石、烏帽子石など、「言われてみればその通り」となる石ばかり。
なかでも飛び抜けて面白いのが、『太刀割石』である。縦直径7m、横直径6m、高さ2.5mの巨石は、まるで真っ二つに切り裂かれたかのような綺麗な断面。
伝承によれば、永保3年(1083)奥州遠征の途中、八幡太郎源義家が神から授かった大太刀で切り割ったという。
真意は定かではないが、そう思わざるを得ない、綺麗な断面なのだ。
東京方面からのアクセスも便利なので、ハイキングがてら立ち寄ってみてはいかがだろうか。
【長野】万治の石仏
なんとも奇怪な石仏である。
丸くてっぷりとした自然石の上に仏頭が乗っている様は、一度見たら忘れられない。
伝説によると、諏訪大社下社春宮に石の大鳥居を造ろうとしたとき、この石仏を材料にしようと試みた。
そのとき、鑿(のみ)を入れたら、傷口から血が滴り落ちてきたという。
恐れ慄いた職人たちが、この石仏を阿弥陀如来として祀ったとされている。
地元では”浮島の阿弥陀さま”と呼ばれている『万治の石仏』。
正面はもちろんだが、側面からの胴長な容姿も奇怪。
思わず祈りを捧げたくなる石仏である。
【奈良】酒船石
奈良県・飛鳥地方に数多く残る、謎大き石造物のひとつ。
上面には円や楕円の浅い凹みがみられ、細い溝がそれらを繋いでいる。
正確な利用目的は判明していないが、酒を搾る槽、油や薬を作るための道具という説が有力。
しかし、近年では『酒船石』へ水を引くための土管や石樋が発見されたため、庭園施設の一部だったのではという考えも出てきている。
昭和2年(1927)には、国の史跡に指定。
かつて都だった奈良、その歴史の片鱗に触れてみてはいかがだろうか。
【兵庫】石宝殿
生石神社の御神体『石宝殿』は、竜山と呼ばれる岩盤をくり抜いて作られた。
下には水の溜まった池があり、水面から40㎝ほど浮き上がった状態。
それが、まるで浮かんでいるようにみえることから、別名・浮石とも呼ばれている。
いつ、だれか、なんのために作ったのか。
はっきりとした事実は分かっていないが、飛鳥時代に蘇我馬子と対立していた物部守屋が作ったものだという記録が残っているらしい。
文政9年(1826)には、日本を旅行したシーボルトも生石神社を訪れ、石宝殿のスケッチを残した。
異国人を感動させるほど、石宝殿はミステリアスな光景なのだ。
【岩手】鬼の手形石
名須川地区の三ツ石神社。
そこに祀られている『鬼の手形石』は、岩手県名の由来となった3つの巨石だ。
かつて岩手山が噴火したときに飛んできたとされ、以来、三ツ石様と呼ばれて信仰を集めてきた。
伝説によると、この地方に羅刹という鬼が住んでいて、人々を困らせていた。
そこで、住民らが三ツ石の神に鬼退治を祈ったところ、境内にある巨大な三ツ石に羅刹を縛り付ける。
羅刹は二度と悪さをしないと誓い、その証拠に手形を石に押し付けさせて逃がしてやった。
今では風化で見られないが、手形らしき文様が見られたそうだ。
もしかすると、あなたには確認できるかも?
ご自身の目で確かめてもらいたい。
おわりに
怖いもの見たさとはよく言ったもので、
私達はミステリアスな存在や現象に、度々興味を惹かれてしまう。
冒険心が備わっている男性は、それを顕著に感じるのではないだろうか。
背景にあるのは、”ロマン”という魅力。
今回ご紹介した巨石・奇石にも、きっと感じられるはずである。