解説の”キャッチコピー”が秀逸! 知識がなくても『東洋文庫ミュージアム』が楽しめる3つの理由。
医学? 東洋学? 東洋医学?
そんな小難しい学問の知識がなくても、十分楽しめるのが『東洋文庫ミュージアム』。
東洋学の貴重な研究書を集めた『東洋文庫』が手がける、一般者向けの観光ミュージアムだ。
平日・休日問わず、あまり混み合わない静けさがポイント。
1人でふらりと、散歩がてらに立ち寄りたい場所である。
東洋学に全く興味がなくても、ミュージアムを出る頃には「もっと深く知りたい!」という欲求に駆られること間違いナシ。
今回は、そんな東洋文庫ミュージアムの魅力についてご紹介しよう。
理由その1:解説がとっても分かりやすい!
医療関係者でもない限り、あまり縁のない学問=東洋学。
ちらほらと耳にしたのは学生時代の歴史の授業だけ。
それ以降、口にしたことも、紙に書いたこともない人がほとんどだと思う。
つまり、私たちには東洋学の知識が皆無なのだ。
しかし、東洋文庫ミュージアムは、そんな初心者にとても優しい。
入場口から入って、まず目に飛び込んでくる大きなパネル。
そこには、「東洋学とはなにか?」「東洋文庫とはなにか?」という、基本的なことから分かりやすく語ってくれている。
「なるほど、東洋学は西洋で生まれた学問で、東洋文庫に蔵書されている3割が洋書なのか」と、とりあえず超・基本的な知識を身につけた上で歩みを進められるのだ。
それ以外にも、館内の各展示物に添えられている解説は全て初心者仕様。
東洋学……という言葉だけで身構えてしまう人も、全く予備知識がなくても、十分に楽しめるので安心して足を運んでほしい。
理由その2:解説の”キャッチコピー”が面白い!
知識がない、興味がない。
そんな人は決まって解説を読み飛ばし、どんどん奥に進んでいくだろう。
しかし、東洋文庫ミュージアムではそんな初心者の気持ちを見透かしたかのように、各解説の冒頭に書かれている”キャッチコピー”にこだわりを持っている。
例えば……
やっぱり、”食”って大事ですよね
飲食の大切さを説いた『本朝食鑑』解説より。
コロリと死んでしまうコレラの恐怖!
江戸時代のコレラ大流行を綴った『安政箇労痢流行記』解説より。
この1冊で、今日からあなたも蘭学入門
蘭学の基礎知識をまとめた『蘭学階梯』解説より。
コピーライターがスタッフ陣にいるのか?
そんなことを思わせられるほど、上記以外にも秀逸なキャッチコピーが並んでいる。
歴史を知らなくても、東洋学の知識がなくても、その展示物がどんな意味を持っているのかを瞬時に理解できるし、続きの解説も読みたくなるのだ。
展示物とキャッチコピー付きの解説が期間ごとに入れ替わる企画展ブースもあるので、定期的に足を運んでみたい(取材時の2016年1月は、解体新書展が行われていた)。
気がつけば、東洋学に夢中になっているはずだ。
理由その3:洋風レストランへと続く、知恵の小径!
小径とは、小さな道のこと。
本館から中庭に出る扉を開けば、石畳の小さな小道が続いている。
その脇にずらりと並んでいるのは、見たことのない文字が書かれた黒い石板。
実は、そこにはアジア各地の名言が刻まれている。
しかも、ご丁寧に薄っすらと日本語訳付きである。
上記写真は、ヒンディー語。
「知は力なり」という文字が綴られている。
こちらも、ヒンディー語。ただし、作者はガンディー。
「暴力は弱者の武器であり、非暴力は強者の武器である」と綴られている。
これら以外にも、名言がたくさん。
あなたのお気に入りを見つけてほしい。
ちなみに、知恵の小径の先には洋風レストラン『オリエント・カフェ』がある。
小岩井農場と共同プロデュースしたとあって、メニューは本格的。
館内をぐるりとまわったあと、昼食がてら休憩してみてはいかがだろうか。
おわりに
東洋学における貴重な研究書などを1箇所に集めた『東洋文庫』。
1924年に設立され、2011年に一般者向けの『東洋文庫ミュージアム』が開設された。
展示されている書物には、野口英世、杉田玄白、貝原益軒など、日本の医学の礎を築いてきた著名な人物の名前ばかり。
彼ら、彼女らの努力があったからこそ、現代の私たちの生活があるのだと、しみじみと感じられた。
是非、ゆっくりと1人の時間を楽しんでもらいたい。
また、冒頭でもお伝えした通り、人はさほど多くない。
「ゆっくり館内をまわられるご予定でしたら、平日の昼間が時間の流れが穏やかでオススメです。休日は多少混み合ってしまいますが、朝方はまだ余裕がありますよ」とスタッフさん。
目の前にある六義園の散歩コースのひとつとして、組み込んでみてはいかがだろうか。
住所:〒113-0021 東京都文京区本駒込2-28-21
電話:03-3942-0280(ミュージアム)
開館時間:10:00〜19:00(入館は18:30まで)
休館日:
毎週火曜日(ただし、火曜日が祝日の場合は開館し、水曜日が休館)
年末年始、その他、臨時に開館・休館することがあります。
http://www.toyo-bunko.or.jp/museum/museum_index.php