「すべての男がSEX以外に考えていること」を読む。
すべての男がSEX以外に考えていること
原題は「What Every Man Thinks About Apart From Sex」
2011年に発売された書籍だ。
著者は、オックスフォード大学で心理学を学んだというシェリダン・シモーヴ教授。
センセーショナルなタイトルと内容で、発売当時は、多くのメディアが取り上げているため、ご存じの方も多いだろう。
私自身もこれらの記事やレビューから、本書の存在は知っていた。
それから約4年の月日を経、「粋における媚態」について、思い巡らせている最中にフト、本書を思い出した。
本来は書籍のネタバレはご法度だが、先に結論を言ってしまうと、内容は全200ページ「空白」だ。
「男はセックス以外何も考えていない。」というかなり大胆な結論だ。
何年にも渡る緻密な調査をした上での結論、彼(シェリダンド・シモーヴ)は、男性がSEX以外に何を考えているかを解明し、男性のマインドを、明白に、かつ美しく暴き、ついにその謎をひもといた。
と背表紙に記述してある。
さらに帯には「ノートしても使えます!?」と記述してある。
しかし、果たして「空白の書籍でノートとして使える?馬鹿馬鹿しい」と片付けてしまってよいのだろうか?
「本」と「ノート」という側面から、この商品を探ってみたくなった。
「すべての男がSEX以外に考えていること」を書籍として読む。
「空白ページ」を読んでみる。めくってみる。
男の考えていることは、本当に「SEX以外」ないのだろうか?という疑問が湧く。
実際「性欲」に関する商品やサービスは、世の中に溢れている。
だが、直接的には、それだけでもない。
車/洋服/飲食店が“セックス”に直結している訳ではない。
だが、それらの商品/サービスにおける価格は、必ずしも機能性だけで決定されている訳ではない。
高価なものは、機能性+αの価値を与えている。
では、+αとは何なのか?
+αは付加価値であり、その商品が持つ付加価値を身に纏うことで、世の女性達からの「モテ」を得ようとしているのではないだろうか?
多くの消費活動は、「SEX」に何かしら繋がっていると捉えることもできそうだ。
そして、世の中の男達の多くは、ガムシャラに働く。
その目的は“収入”だけなのか?少し異なるように見受けられる。
労働する理由、それは生活するためのカネを稼ぐためだけではなく、狩猟本能が掻き立てられているからなのではないだろうか?
狩猟本能とは何か?
それは、「モテ」であり、「セックス」だ。
仕事も「セックス」の本能と繋がっているのではないか?
狩猟能力を研ぐには、「意地」も必要となる。
本書の空白ページは、決して「無」ではないのだ。
雄弁に男の本質を説いている。
「すべての男がSEX以外に考えていること」をノートとして見た場合
本品を「ノート」の側面から見た場合は、どうだろう?
世の中には、多くのノートが存在する。
定番の大学ノート、デザイン性に優れたノート、紙感に拘ったノート。
さまざまだ。
だが、この商品はどれにも当てはまらない。
「タイトルを付けることでインパクトを与える」という、「ノート」という商品開発において、誰も思いつかなかったジャンルの創造を、本商品は成し遂げられている。
アイデアの勝利だ。
シェリダン・シモーヴ氏は、この書を出版するにあたり「男が考えていること 」について、調査/追及を繰り返したのだろう。苦悩もあった筈だ。
その苦悩があったからこそ、「書籍」かつ「ノート」という粋な“アイデア”が生まれたのだ。
「アイデアが生まれる」
どこか他力本願的な匂いがする言葉だが、決してアイデアは降ってこない。
情報のインプットや考察という“緊張”と、商品という枠からはみ出してみるという“リラックス”の繰り返しで、アイデアは、生まれてくるのだ。
空白から学べること
空白の中からでも、学べることは沢山あるのだ。
どんなことでも面白がってみる。考えてみる。体験してみる。
そのことを、この商品は教えてくれる。
なお、Kindle版も発売されているようだが、こちらは“ノート”の側面が欠落しているため、ご注意を。
すべての男がSEX以外に考えていること
シェリダン・スモーヴ (著)