あなたの「魂」と呼応する! 4大スピリッツーウォッカ・ラム・ジン・テキーラの魅力を徹底解説&その名店リスト
スピリッツ=精神。
お酒の世界では「蒸留酒」のことを指す。高温で熱してつくられるお酒で、アルコール度数が極めて高い。
それは、まさしく人間の魂に揺さぶりをかけるほどの刺激だ。
体を温め、活力を与える効果もあり、極寒の地では古来より重宝されてきた。
そんな特徴から、人は蒸留酒のことを「スピリッツ」と呼ぶようになったのだ。
今回はその中でも、4大スピリッツと称される「ウォッカ」「ラム」「ジン」「テキーラ」の魅力に迫ると共に、それらの奥深さを満足ゆくまで味わえる、オススメの名店をご紹介しよう。
スピリッツの楽しみ方
アッパーとダウナーという言葉がある。
主に薬物に使われる言葉で、アッパーはテンションをあげて楽しい気持ちにさせるもの、ダウナーは気分を落ち着かせて心地よい気分にさせてくれるものである。
スピリッツにもそれと似た側面があり、ジンとウォッカはダウナー、ラムとテキーラはアッパーなイメージで語られることが多く、味や香りにもそのような効果を感じられるという人もいる。
このように、4者4様の性格を持ったスピリッツ。では、それぞれどのように違うのか?以下、詳細な説明である。
ウォッカ — ロシア語で「生命の水」—
12世紀にはロシアの地酒として飲まれていたウォッカ。
トウモロコシ、大麦、小麦、ライ麦、ジャガイモなどの穀類と麦芽を蒸留したのち、活性炭処理や濾過処理を行う。これにより、ウォッカ最大の特徴である「クリーンで臭みの少ない風味」を作り出している。
ロシアで生まれたウォッカだが、生産国1位はアメリカだ。
1933年の禁酒法撤廃を機に製造が盛んとなり、ジュースで割る「カクテル」も流行。
特に柑橘系との相性が良いとされており、オレンジで割れば「スクリュードライバー」、ライムジュースとジンジャーエールを使えば「モスコミュール」など、様々なお酒へと姿を変える。
ウォッカの持つクリーンな味わいが、素材の魅力を引き立てるのだ。
ウォッカの種類は主に2つ。
レギュラータイプ
クセのない無色・透明なウォッカ。
アルコール度数が70%以上と高いものが多く、低くても40〜50%。
カクテルのベースとして使用されることが多く、アメリカで中心に生産されている。
フレーバード・ウォッカ
名前のとおり、香りつの付いたウォッカ。
フルーツや草根木皮などで香り付けをしたり、糖分を加えたりする。
ウォッカをストレートで飲むことが多いロシアで中心に生産されている。
柑橘類などのフルーツを漬け込んだものが人気だ。
また、生産国によっても特徴が異なる。
アメリカ・ロシアのほかに、ポーランドでは主原料である「ライ麦」の香りが強く、フィンランドでは「小麦」の柔らかい風味を感じられる。
製造方法と共に頭の片隅に入れつつ、お店でお気に入りのウォッカを見つけてみよう。
ジン — ボタニカルの爽快な風味を楽しむ —
原材料はウォッカとほぼ同じ。
麦芽、トウモロコシ、ライ麦などの穀類を醸造・蒸留したあと、「ジュニパーベリー」などの草根木皮で香り付けするのが特徴だ。
ジュニパーベリーとは、杜松(ねず)の実のこと。盆栽などでも愛でられる松の木の果実である。
無色透明で香りが高い。爽やかでクセも少ないため、カクテルのベースに用いられることが多い。
世界各国で生産されているジンだが、今回は3カ国の特徴を紹介しよう。
イギリス
ドライジン
カクテルのベースとして、最も広く流通している辛口のジン。
純度が高く、ジュニパーベリーや柑橘系の軽快な味が特徴的。
オランダ
ジェネヴァ
昔ながらの単式蒸留器で蒸留を行うジン(現在は大量生産に便利な連続式蒸留器が主流)。ちなみに、イェネーフェル、ホランズなど、呼び名は様々だ。原料の風味が濃厚で、麦芽の香りも残っているため、ストレートで飲まれることが多い。
ドイツ
シュタインヘーガー
ビールの前に1〜2杯のジンを飲む習慣があるというドイツで生まれたジン。
生のジュニパーベリーを使うため、穏やかな香りを楽しむことができる。ストレートからカクテルまで、飲み方は幅広い。
オススメしたい飲み方はストレートかロック。
失恋、喧嘩、失敗など、何らかの原因であなたの心が傷ついているとき、ジンのピリリと辛い口当たりと柑橘系の爽やかな香りがあなたの心にじんわり染み渡るはずだ。
特にジェネヴァジンがある際には是非味わってほしい。
ラム — カリブ海の島々で生まれるスピリッツ —
サトウキビを原材料とする、西インド諸島原産の蒸留酒。
サトウキビの糖蜜を発酵、蒸留するだけのシンプルな工程だが、製法によって味が大きく異なる。ウィスキーのようにストレートで味わえるもの、カクテルのベースになるクリアなものなど、様々だ。
ラムは「風味」と「色」の2つで分類される。
風味
無色透明で柔らかい口当たりが特徴の「ライトラム」がある。
カクテルベースにも用いられ、独特の甘い風味を最大限に生かせる。
逆に、「ヘビーラム」は、豊かな風味と強い香り・コクが特徴。20年熟成させたものには、ブランデーのような皇潤な風味があり、ストレートやロックで味わうのがオススメだ。
色
淡色・無色で雑味がなく、とてもクリアな「ホワイトラム」がある。
ライトラムと同じく、カクテルベースに用いられることが多い。このホワイトラムにカラメルなどで色付けしたものを「ゴールドラム」と呼び、ウィスキーやブランデーの琥珀色に似ている。
ラムの蒸留所は、毎年新しいが立ち上がっては消えている。
そのため、銘柄が豊富なのも特徴のひとつだ。
今年はこの種類のラムが製造されたのか、と定期的に新しい銘柄に挑戦してみてもいいだろう。
ちなみに、寒い時期にはラムを使ったホットカクテルがオススメ。
シナモン、砂糖、レモンジュースを温めたラムに入れてみよう。
優しい甘さとシナモンの香りが体の芯まで温めてくれるはずだ。
ホッと一息つきながら映画を鑑賞するのもいいし、少し疲れ気味な彼女や奥さんにつくってあげたら喜ばれるはずだ。
テキーラ — テキーラ村周辺でのみ蒸留を許されるスピリッツ —
穀類ではなく、「竜舌蘭(リュウゼツラン)」と呼ばれる植物の株からつくる。
糖分を多く含んでおり竜舌蘭を絞り、発酵・蒸留・熟成させたものがテキーラだ。
地元メキシコでは、ライムを絞りながらストレートで飲むことが多く、その他の国ではカクテルのベースとしても用いられている。芳醇な甘さと香りが特徴のスピリッツだ。
テキーラは、その熟成期間の違いで分類されている。
ブランコ
熟成させずに瓶詰めされるテキーラ。
無色透明でキレのあるフレッシュな香りと味わいが特徴。
レポサド
2ヶ月以上、1年以内の短期熟成のテキーラ。
樽の香りを少し感じられ、ほのかな甘さを味わうことができる。
薄い黄色かかったことから「ゴールドテキーラ」とも呼ばれることが多い。
アネホ
オークの樽で1年以上貯蔵熟成されたテキーラ。
ブランデーのような濃厚な琥珀色をしており、まろやかな味わいになっている。
飲み方としては、本場さながらのストレートで味わってみたい。
まず、ライムをかじり、塩を舐める。
そして、ショットグラスに注がれたストレートのテキーラをグイッと飲み干す。
心も体もカッと元気になるはずだ。
メキシコ人に明るいイメージを持つ人が多いが、それは地元でしか生産されないスピリッツ・テキーラの爽快さが大きく影響しているのかもしれない。
4大スピリッツの魅力を最大限に味わえるお店
ウォッカバー ナカニシ
全国でも珍しい、ウォッカ専門のBAR。
世界中のウォッカを600円から楽しめる。鴨川の近くに佇む大人の隠れ家。カウンターのみの小さなお店で、マスターの温かい対応が心地よい。
京都でぶらり一人旅をしたあと、人情味あふれる1杯を嗜んでみてもいいだろう。
電話番号:075-221-0302
営業時間:平日18:30~24:00 土・日・祝日17:00~24:00
http://tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26004757/
Sol Cubano
店名の意味は、「キューバの太陽」。
ほのかに甘いラムと大人の嗜みであるシガーに力を入れており、両者の相性は抜群。
ショットグラス片手に葉巻をふかすのは最高のひと時だ。
オススメは、ラム酒を3年以上熟成させた「ダークラム」。クラッシュアイスで飲むと、味わいを最大限に楽しめる。
電話番号:03-3498-9080
営業時間:平日19:00~05:00 祝日18:00~24:00
http://www.sol-cubano.com/
BAR JUNIPER
その名前からも分かるように、ジンに力を入れているBAR。
世界各国の100種類以上のジンを楽しむことができる。
オススメは、自慢の銘柄を使った「ジントニック」。大人の隠れ家のような落ち着いた雰囲気で、バーテンダーの真骨頂を味わってみて欲しい。
電話番号:06-6348-0414
営業時間:17:00~翌3:00
http://tabelog.com/osaka/A2701/A270101/27057361/
alcozy
札幌にある、テキーラ専門のBAR。
全国でも珍しいテキーラソムリエがおり、舌だけでなく、知識でも堪能できる。200種類以上のプレミアムテキーラの中から、オススメの1杯を選んでもらうのもひとつの楽しみ方だ。
電話番号:011-562-1252
営業時間:21:00~翌5:00(L.O 翌4:00)
http://tabelog.com/hokkaido/A0101/A010104/1014684/
おわりに
スピリッツは魂のお酒。
あなたにそっと寄り添いながら共に夜長を楽しみ、ときにはビシッと心を叩いて勇気付けてくれる。
普段は何気なく飲んでいる4大スピリッツも、その1瓶には壮大な物語や強い生産者の想いが詰まっている。
グラスに注がれた美しい魂に想いを馳せながら、ゆっくりと味わってみてはいかがだろうか。